概要
白土三平の劇画『カムイ外伝』でカムイが編み出した、変移抜刀霞斬りと並ぶ必殺の忍術。
空中で敵の胴体を背後から抱きかかえて拘束し、逆さまに落下して敵の脳天を地面に叩きつける技。この技を喰らった者は大半が即死し、カムイが手加減したので生き残った者も打ち所が悪かったせいか記憶を喪失しおバカになってしまった。
パイルドライバーと違い、敵と自分の頭の向きが全く同じであり、自分より小柄な相手に使う場合は位置に気を付けなければならない。
地上戦でしか使えない変移抜刀霞斬りが通用しない敵に対抗するため習得した、という経緯から、基本的に高所からの落下で相手の脳天を砕く又は首をへし折る空中戦向けの技であるものの、それを見越して平地で戦う事で技を封じようとした相手に対しては変則的な組み付き方とその勢いを利用して立木に脳天を叩きつけるという応用技も使っている。
この技を破ろうと多くの刺客たちが苦心し、遂には技そのものをコピーしたものまで登場。
しかしカムイも万一に備えて返し技を編み出しており、使った刺客は返し技の餌食となった。
作中では読心術を身につけた刺客に技を読まれ、変わり身の術で破られた事がある(といっても技を決める事が出来なかっただけで返し技を受けたわけではない)。
考案
新技を編み出そうとしていたカムイは、ある日飯綱が山鳥を狩ろうとしているのを目撃する。食らい付かれた山鳥はそのまま飛び上がるが、空中で力尽きて墜落する。このままでは共倒れと思われたその時であった。
飯綱は山鳥に食い付いたまま空中で体勢を立て直し、山鳥の体を緩衝材とすることで怪我をせずに済んだのだ。
これを見たカムイは、飯綱のように掴んだ相手だけを地面に叩きつける技を発案した。それが飯綱落としである。
つまり、飯綱落としとは「飯綱を落とす技」ではなく、「飯綱のように相手を落とす技」なのだ。
忍者の投げ技
現在では『忍者の投げ技』の代表格として認知され多くの後続作に影響を与えている。
- 『サムライスピリッツ』シリーズ 服部半蔵 忍法もず落とし、忍法もず落とし-颯-、忍法爆炎微塵隠れ
- 『アルカナハート』シリーズ このは 飯綱落としの術
- 『ストリートファイター』シリーズ バルログ イズナドロップ ガイ イズナ落とし、武神イズナ落とし、回転イズナ落とし
- 『NINJAGAIDEN』シリーズ リュウ・ハヤブサ 飯綱落とし
- 『デッドオアアライブ』シリーズ リュウ・ハヤブサ 飯綱落とし。他にも「飯綱」と名の付く技を多く持つ。
- 『ヴァリアブル・ジオ』シリーズ 増田千穂 飯綱落とし
- 『星のカービィ』シリーズ カービィのコピー能力「ニンジャ」とそのコピー能力元兼ヘルパーのバイオスパークのいづなおとし、「ファイター」能力が使用できる作品もある。
- 『ポッ拳 POKKEN TOURNAMENT』 ジュカインのリーフストーム。原作技の物理攻撃アレンジ
- 『NARUTO』 ロック・リー 「表蓮華」
- 『ニンジャスレイヤー』 ニンジャスレイヤー 暗黒空手奥義アラバマオトシ
- 『Gの影忍』 Gの影忍 大気圏突入奥義・イズナ落とし
- 『666~サタン~』 イズナ落とし ジャスティスというオーパーツの力で大気中の水分から電気を取り出し雷を落す技。
- 小説版『ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ』 シャドーファルコン 飯綱落とし 高所からの落下により技をかける
- アニメ版『絶園のテンペスト』第2話 主人公の滝川吉野が超音速移動魔法と防御結界を使用してエヴァンジェリン山本にこの技をかけたことがある。
上述したように元々は空対空の状況で使う技なのだが、これらの後輩の技のせいかいつの間にか「地上で相手を掴んでから自分で相手ごと飛び上がって落とす技」に解釈されることもある模様。
関連項目
山田十平衛:コマンド投げ「いずな落とし」「大いずな落とし」「ダイナマイトいずな落とし」として使用。これは対戦格闘ゲーム史上における飯綱落としの元祖である(前述のモズ落としを使う服部半蔵が出演するサムライスピリッツの1年前に、十兵衛が出演する餓狼伝説2がリリースされているため)。
テイルズオブシリーズ:こちらでは、敵の頭上から斬りかかる技になっている。主な使用者は藤林すずとジェイ。
ペガサスローリングクラッシュ:聖闘士星矢の主人公ペガサス星矢の必殺技。飯綱落としとほぼ同様の技だが、相手に背後から組み付いて錐もみ回転しながら上昇し、地面に叩き付ける技。こちらは敵に破られてもいる。
風鳴弦十郎:家屋の屋根の上からの飯綱落としを食らっても、しばらく動けなかっただけで、何の後遺症もなく平然とすぐ復活した、人間かどうか疑わしい人(なんの特殊能力もないれっきとした人間である)。