概要
「あまちゃん」とは、2013年度(平成25年度)上半期に放映されたNHK朝の連続テレビ小説である。
2013年4月1日から2013年9月28日まで放送された。
脚本は宮藤官九郎。
岩手県にある久慈市をモデルとした「北三陸市」を舞台に、北三陸と東京、そして過去と今を巡った「小さな田舎の地元アイドルによる町おこし」を描いた物語。
「故郷編」「東京編」そして「震災編」の三部作。
久慈市にまつわるキーワードである海女、三陸鉄道、まめぶ汁、琥珀、南部もぐりや、80年代アイドル、秋元康とAKB48、そして「東日本大震災」と震災復興がモチーフとなっている。
タイトル「あまちゃん」には「海女ちゃん」と、「人生の甘えん坊(甘ちゃん)だったヒロインの成長を描く」という意味が込められていた。
下記の通り、放送中に爆発的な人気を呼び「あまちゃんブーム」と呼ばれる社会現象を巻き起こした。
また作品内で使われた方言「じぇじぇじぇ」は流行語大賞に選ばれた。
Twitterにアマチュア、プロを問わず、多数のファンアートが投稿され、それらは「あま絵」と呼ばれた。
そしてpixivにも多数の「あま絵」が投稿されている。
またその人気に後押しされる形で2013年の紅白歌合戦にドラマ「あまちゃん」特別編と称された、寸劇を含めたステージで出演者たちがゲスト出演した。
あらすじ
東京で生まれ育った天野アキは、平成20年7月、祖母の危篤の知らせを受けた母に連れられ、母の郷里である岩手県北三陸市を初めて訪れる。
しかし、祖母の危篤は嘘で、海女の後継者不足に悩む地元民たちが、母に白羽の矢を立てた画策であった。
海女を継ぐ気が無い母は早々に東京に戻ろうとするが、アキは初めてのものであふれる北三陸市に興味津々で帰りたがらない。
祖母ら海女たちの勇姿に感激したことと、過疎化が進む北三陸の現実を知ったアキは、暗く引っ込み思案な今までの自分を払拭し海女になる決意をする。
空前のあまちゃんブーム
視聴率
ビデオリサーチ調べによる初回視聴率は関東地区で20.1%、関西地区で14.6%を記録。
関東地区においては、前作『純と愛』の初回視聴率(19.8%)を上回り、平成18年度下半期の『芋たこなんきん』(20.3%)以来の視聴率20%超えとなった。
その後も第5週を除くすべての週で最高視聴率が20%を超えているが、これは地上波本放送のみの視聴率であり、週刊誌上では「再放送や録画を含めると視聴率50%を超えるといわれる」との言及もある。
ロケ地
ロケ地となった岩手県久慈市には、放送開始から多くの観光客が訪れており、特に素潜り漁シーズンである7・8月には小袖海岸に前年同時期の約23倍となる約7万5千人の観光客が訪れている。
劇中・オープニングに登場する北三陸鉄道リアス線のモデルとなった三陸鉄道北リアス線は、久慈駅 - 田野畑駅間の7月から9月における総乗降者数が前年の5割増となった。
また、6月1日より久慈駅 - 田野畑駅間で企画列車「お座敷列車北三陸号」の運行を土休日に行なっており、当初は9月23日までの予定であったが、連日満席となるほどの人気を受けて10月14日まで延長された。本作による岩手県経済への波及効果は32億8,400万円に上り、誘発される就業者数は465人になるという。
音楽
平成25年5月10日より配信されている「あまちゃん オープニングテーマ(ロングバージョン)」は、配信開始日のレコチョク着うたデイリーランキングで1位を記録し、5月15日 - 21日集計の週間ランキングでは2位、翌週の5月22日 - 29日では1位を記録した。
ランキングの関係者によれば、インストゥルメンタルがトップ10に入ることも異例であるが、1位を獲得するに至っては史上初のことである。
また、6月19日発売のアルバム『連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック』は、初週1.2万枚を売り上げ、オリコンの7月1日付週間アルバムランキング5位に初登場。
テレビドラマのサントラとしては異例のヒットを記録した。
前年上半期放送の『梅ちゃん先生』のサントラの累計売上(約2500枚)の約6倍に達するなど、音楽の面でも大きな話題となっている
登場人物
演:能年玲奈(現芸名:のん)
本作のヒロインにして主人公。
東京から母:春子に連れられて「北三陸」にやってきた。
祖母:夏を含めた北三陸のありとあらゆる物に興味を引かれ、自身の地味な性格を変える為に海女を目指す。
そして親友となったユイと共にアイドルを目指す。
※画像右
演:橋本愛
もう一人のヒロイン。
北三陸の名家の娘で、北三陸一の美少女。
東京に憧れ、アイドルを夢見る。
アキと親友になり、共にアイドルを目指して「潮騒のメモリーズ」を結成する。
天野家
※左より、祖父:忠兵衛、祖母:夏、アキ、母:春子、父:黒川正宗
演:小泉今日子
アキの母親。
家出同然に出奔した故郷の北三陸に、アキを連れて帰郷した事から物語が始まる。
気分屋でヒステリックかつ暴力的。しかし娘:アキを想う心は本物で、アキを支えようと懸命になっていく。
「潮騒のメモリー」にまつわる「春子の過去」が物語の根幹となる。→若春子
演:宮本信子
春子の母親、アキの祖母。
通称「夏ばっぱ」
北三陸で長年海女を営んできた、北三陸の地元の重鎮。
帰郷した春子と北三陸にやってきたアキと同居することに。
アキの進む道の指針となり、春子との関係を修復していく。
演:蟹江敬三
春子の父、アキの祖母、そして夏の夫。
遠洋漁業の漁師で一年間に10日ほどしか家にいないが、それでも夏との夫婦仲は良い。
豪快かつ優しい性格であり、孫:アキを可愛がる。
演:尾美としのり
アキの父親、春子の夫。
東京にやってきた春子と出会い、結婚してアキが生まれた。
個人タクシーの運転手であり、北三陸に来る時はもっぱらタクシーで来る。
春子がアキと共に北三陸へ戻ったのを機に、別居、そして離婚をする羽目に。
優しく真面目だが、それが裏目に出ることも。
「潮騒のメモリーズ」にまつわるあれこれを知る一人。
足立家
演:小池徹平
ユイの兄。
大学を出て上京したが、地元に戻り燻っていた。
父親に罵られた言葉からアキから「ストーブさん」と呼ばれている。
「ヒロシです………」がある意味持ちネタ。
アキに一目惚れして、アキに関わり、北三陸の人びとに関わり、家族に降りかかった困難を乗り越えながら成長していく。
後に観光協会のWeb担当及び「海女カフェ」担当になる。
演:平泉成
ユイとヒロシの父。
岩手県議会議員を務める地元の名士。
元教師で春子や大吉の担任もしていたので、皆からは「足立先生」と呼ばれる。
ユイが上京する前夜、倒れてしまい、「ユイの第一の災難」となってしまう。
演:八木亜希子
ユイとヒロシの母。
今は専業主婦だがかつては元アナウンサーだった。
病に倒れた夫にうろたえた末に失踪。
「ユイの第二の災難」となってしまう。
北三陸駅
演:杉本哲太
北三陸駅駅長。
北三陸の「町おこし」の為に春子を呼び戻した張本人。
春子の幼馴染みであり、春子に長年片想いしており忘れられないでいる。
勢い余って気合いが空回りしがちな熱血男。
「ゴーストバスターズ」が持ち歌。但し掛け声だけ。
基本的にはコメディリリーフだが、いざという時には駅長としてリーダーシップを発揮する。
演:荒川良々
北三陸駅副駅長。
主に大吉の相棒兼大吉への突っ込み役。
一見大人しくすっとぼけているかと思えばかなりの毒舌家。
かと思えばさり気なくサポート役に回ることも。
※左より花巻珠子、今野弥生、天野夏、長内かつ枝、熊谷美寿々。
演:渡辺えり子
海女。
口がうるさく大声で喋るため「騒音ババア」と呼ばれている。
会話の間に挟む「んだんだんだんだんだ!!」が口癖。
奇抜なファッションが好きでブティックを経営している。
歌唱力抜群で、アキとユイに対してレッスンを施す。
演:木野花
海女。
夫:六郎が漁協組合長であることから何かと口うるさく、しかもお金にうるさい。
そのため「眼鏡会計ババア」と呼ばれる。
過去にいろいろあったため、実は六郎とは離婚再婚を繰り返し、今は内縁関係にある。
演:美保純
海女。
「恋多き女」であり、相手の男と事ある事に、日本や海外など、様々なところへ駆け落ちを繰り返していた。
そのため「フェロモンばばあ」と呼ばれている。
北三陸にやってきた水口にも惚れ、ちょっかいをかけていた。
演:片桐はいり
海女兼漁協事務員。
通称「あんべちゃん」
春子や菅原の同級生。
そして大吉とは昔結婚して半年で別れた元夫婦の間柄。
地元の郷土料理「まめぶ汁」を愛して止まず、まめぶ汁を広める為に北三陸を出る。
そして東京に流れ付き、上京していたアキの心の支えになっていく。
演:伊勢志摩
安部ちゃんの後任の漁協事務員。
なのだが、よく海女クラブに出入りしている。
娘2人を育てるシングルマザー。
毒舌家で怒りっぽく、裏では「白ばばあ」と呼ばれている。
洋楽好きで「花巻フレディ」になったりする。
「わかる奴だけわかればいい」との名言あり。
北三陸観光協会
演:吹越満
北三陸観光協会長。
大吉の後輩かつ春子と安部の同級生。
春子に想いを寄せ交換日記にこぎ着けるが三日で終わり、春子にも覚えられていないなど、とにかく地味。
大吉とは議論という名の口喧嘩仲間。
その一方で飲み仲間でもあり、町おこしの為には一致団結する間柄。
演:安藤玉恵
観光協会の女性職員。
北三陸では数少ない若い女性のため「ミス北鉄」など様々なイベントに巻き込まれる。
またヒロシと付き合ったりもした、のだが。
北三陸高校
※右手前が種市浩一、左下奥が磯野心平。
演:福士蒼汰
北三陸高校潜水土木科で「南部もぐり」を学ぶ高校生。
アキの一年上の先輩であり、アキが一目惚れした初恋の人。
しかしユイに惹かれており、ユイと付き合う事になり、告白したアキは振られてしまう。
卒業の後に上京し就職した、のだが。
演:皆川猿時
北三陸高校潜水土木科教師で、アキのクラスの担任。
愛称「いっそん」。
でっかい揉み上げの巨漢。
編入してきたアキに「南部もぐり」について教える。
突発的な出来事に弱く、アキが突拍子でもない事をしては振り回される。
アイドルとしての推しはユイであり、ユイがスナック「梨明日」を手伝うようになってから出入りするようになり、大吉や菅原や吉田らと連むようになっていく。
北三陸の関係者
演:でんでん
かつ枝の夫。漁協組合長。
海女と漁師の間で板挟みに遭いがち。
過去にいろいろあり、実はかつ枝とは内縁の仲。
演:塩見三省
北三陸名産の「琥珀」職人。
気が小さく口下手なので存在感が薄いが、なんだかんだで「勉さん」と呼ばれ親しまれている。
アイドルを目指し始めたアキとユイを暖かく見守る。
北三陸にやってきた水口を弟子とする。
演:大方斐紗子
北三陸鉄道によく乗ってるおばあちゃん。
皆から「鈴木のばっぱ」と呼ばれ親しまれている。
出番こそ少ないが重要な場面に登場する。
「ゆべし」が名場面の一つ。
東京の人びと
演:薬師丸ひろ子
アキが憧れる大女優。
上京したアキと出会い、アキを付き人とし、何かと気にかけてくれるようになる。
しかし「潮騒のメモリーズ」に関わるとある秘密を抱えていた。
演:古田新太
多くのアイドルグループをヒットさせたプロデューサー。
水口を通してアキやユイをスカウトする。
のだが、実は全ての元凶であった。
演:松田龍平
荒巻の部下であるスカウトマン。
愛称「ミズタク」
北三陸にやってきて、密かにアキとユイについて調べていた。
そして二人をスカウトし、アキが上京をするきっかけを作る。
後にアキの専属マネージャーとなる。
演:松岡茉優
「埼玉」担当。リーダー。
愛称「しおりん」。
演:大野いと
福岡、と最初は言っていたが実は「佐賀」担当。
愛称「真奈ちゃん」。
演:山下リオ
「徳島」担当。
愛称「アユミさん」。
彼氏の存在がバレ、脱退してしまう。
演:蔵下穂波
「沖縄」担当。
「なんくるないさー」が口癖の癒し系。
演:優希美青
「宮城」担当。
アキと「潮騒のメモリー」の主役の座を争う。
ベロニカ
演:斎藤アリーナ
山梨県民の父とブラジル人の母とのハーフ。
よって「ブラジル」担当。
地元、とは。
演:足立梨花
元「アメ横女学院」センター。
「アメ横」のプライドからか、GMTメンバーを軽蔑している。
演:水瀬いのり
「上から読んでも下から読んでも『なりたりな』」がキャッチコピー。
演:ピエール瀧
寿司屋「無頼鮨」の大将。
寡黙な職人だが、取り繕ったような笑顔が特徴。
都会で彷徨っていた種市を雇うなど、渋い活躍を見せる。
甲斐
演:松尾スズキ
原宿にある純喫茶「アイドル」の店長。
「アイドルオタク40年」のアイドル通。
GMTをクビになったアキをアルバイトとして雇う。
実は昔、上京していた春子もアルバイトとして雇っており、その時から何かと重要な場面に遭遇する事に。
演:村杉蝉之介
アイドルオタクのカメラ小僧。
ユイがネットに出始めた頃から北三陸に出没していた「常連」。
アキとユイのアイドル活動と北三陸の集客活動を分析しアドバイスする。
後にアイドル評論になり、「袖が浜のカメラマン」に。
本人。
アキと子ども番組「見つけてこわそう」で共演する。
震災後、「海女カフェ」復活に協力する。
本人。
昔、袖が浜にやってきて夏とデュエットした。
夏が上京する動機となる。
演:勝地涼
映画「潮騒のメモリー」リメイク版でアキと共演する。
その余りにも気持ち悪い仕草から、アキにこんな不憫な徒名を付けられてしまう。