『アビス・ホライズン』(英語:Abyss Horizon / 簡体字:深渊地平线 / 繁体字:深淵地平線)は、iOS/Android対応のアクションRPG。
日本では2018年6月28日にMorningTec Japan(MTJ)からリリースされたが、同年末に香港の煜顔国際有限公司(Y.Y. Global)へ運営権が移っている。
艦船擬人化ジャンル内でよく使われる「艦◯」式の略称は主に「艦A」が使われるが、リリース以前の一部現地報道では原題「深淵地平線」のピンイン表記“Shenyuan Dipingxian”から「艦D」と言う略も見られた(現在は『ガーディアン・プロジェクト』が原題の『超次元大海戦D』から「艦D」と略されているため、基本的に使われない)。
キャッチコピーは「キミはまだ本物の海戦を知らない」。
概要
日本での艦これブーム以降に中華圏で数多く製作されている艦船擬人化を題材にしたスマホゲームの一つ。同じく中国製で先行する『アズールレーン』と同様、最初から日本市場もターゲットに開発されている。
2019年1月16日には台湾・香港・マカオで龍成網絡が繁体字中文版を、同年5月16日には日本版と同じY.Y. Globalが韓国版を、12月25日には香港のIllusion Studiosが英語版をそれぞれリリースしている。開発国の中国では日本版のスタート直後に心動網絡(X.D.)が運営元に内定したものの、政府によるゲーム審査の停滞で延期が繰り返されて2020年7月23日に日本版からまる2年遅れでようやくスタートした。
開発メーカーは中国の重慶煜顔文化(shinecolor)で、2016年にクラウドファンディングで開発費用を調達した『艦隊2次元』(仮題)が前身。設定やシナリオ協力では日本側からQualia(代表作に『チェインクロニクル』『陰陽師』他)やエレファンテ(代表作に『アナザーエデン 時空を超える猫』『誰ガ為のアルケミスト』他)が参加している。
ゲーム画面や3Dで描画されたキャラクターの動作は艦これアーケードに近く、複数プレイヤーの協力モードやARモードが搭載されている。2018年の4月13日からクローズドベータテストが行われ、既にその時点で何人かの艦姫には試験的にARモードが実装済み。やり方も非常に簡単で、実装対象になっている艦姫本人の公式イラストを読み込ませるのみ。
正式サービス開始後も協力プレイの実装はしばらく見送られ、配信開始から1か月経過後に期間限定のPvPモードが実装された。
2019年4月下旬のアップデートで、艦姫との誓約(要は結婚)が実装。現在は初期レアリティが4以上、レアリティ2とレアリティ1に少数の全体の一部のみに留まっている。同年11月のアップデートにて、メインミッションの第四部が追加された。その後のアップデートで第七部までメインミッションは拡張。
また、時折一部の艦姫および鬼姫のキャラクターデザイン自体が差し替えられており、この場合は以前のデザインは以後完全に使用不能となる。
知的財産紛争
日本版リリース直後の2018年7月、艦これアーケードを運営するセガ・インタラクティブと艦これの原著作権者であるC2プレパラートは、艦これACの著作権侵害及び不正競争防止法違反を主張して東京地方裁判所に本作の配信停止を要求する仮処分申請を行ったと発表した。
当時の運営元であったMTJとの法廷闘争は双方の主張が噛み合わず平行線をたどったが、2018年12月に双方が和解協議へ入ることを了承(この事実はMTJ及びYY側の発表のみで言及されている)。同時期には開発元のshinecolorがMTJに対して日本版の運営権譲渡を申し入れ、MTJ側はセガ側に対して2018年末を以てshinecolorが香港に設立したY.Y. Globalへ日本版の運営権譲渡について説明したと発表している(セガ側の発表では、MTJ側が日本版の運営から撤退することのみ言及)。
2019年1月11日、セガ側は「MTJの運営撤退により一定の目的を果たした」として仮処分申請を取り下げる方針を表明したが、MTJ及び新運営のYYは12〜13日に経過報告を行い、その中でセガ側が法廷で和解を申し出たことを明らかにすると共に(ただし、セガ側は一部報道で和解を申し出た事実を否定している)新体制でサービスを継続することを公表した。
法廷闘争の期間中、ゲーム内では艦これの「連装砲ちゃん」に似たキャラクターが別の海洋生物に描き換えられるなどの影響が見られた。日本版の運営体制変更については13日に「グローバル展開のため」と説明されたが、2月5日付の「開発チームからのご挨拶」では開発側の能力不足や法廷闘争の影響で初年度の売上が目標に達しなかったことが運営権譲渡の一因である旨を認めている。
運営譲渡後は、公式サイトで配布されていたMMDモデルが全て削除された。
2019年5月に韓国版がリリースされた前後からは「日本で盗作認定されて発禁処分が下されたのに違法配信を続けている」と言うデマが現地で拡散しているため、運営のYYではNAVERカフェを通じて上記の経緯説明を行いデマの拡散に加担しないよう注意を呼びかけている。
2021年1月8日に、同年2月21日をもってサービス終了する事が発表、1月13日のメンテナンス後に有料アイテムの購入が出来なくなる。なお、日本より後にサービスを開始した他国版のいくつかの国は既にサービスが終了している。
世界観
西暦20XX年、人類は重イオン衝突実験中の事故により発生した次元の裂け目で繋がれた多元並行世界「アビス」からの侵略により、急速に生活圏を奪われる危機的状況に瀕していた。
「アビス」からの侵略者たちは「アビソール」と呼ばれ、存亡の危機に瀕した人類は叡智を結集してアビソールの高知能個体「鬼姫」の装甲に対抗し得る新型艤装「姫艦装甲」を開発する。そして「艦姫」(ふなひめ)と呼ばれる姫艦装甲の適合者たる少女たちに人類の命運が託された--。
登場キャラクター
公式サイトやニュース記事で発表されている登場キャラクターは以下の通りである。
艦姫(プレイヤー側)
本作では登場する艦姫同士が複数の陣営に分かれて争っていると言う設定は無い。登場艦船は第二次世界大戦の時期に限定されておらず、冷戦時代や21世紀に建造された現役の艦船も登場している。
一部の艦姫は、史実の実艦とは艦種が異なっている者もいる(名前のみ継承した次世代の護衛艦など)。また、中国大陸版では同ジャンルの他のゲームで変名にされることが多い日本艦のみならずドイツ艦、イタリア艦を含む旧枢軸国全般が(第二次世界大戦期に限らず冷戦期・現代艦も)変名の対象とされている。
大日本帝国海軍/海上自衛隊
- 戦艦
- 三笠、金剛、比叡、榛名、霧島、扶桑、山城、伊勢、日向、長門、陸奥、大和、武蔵
- 空母(正規空母・装甲空母双方の総称)
- 信濃、翔鶴、瑞鶴、加賀、赤城
- 軽空母
- 龍驤
- 重巡洋艦
- 古鷹、青葉、最上、三隈
- 軽巡洋艦
- 夕張、阿賀野、能代、矢矧、酒匂
- 駆逐艦
- 潮、暁、響、雷、電、時雨、夕立、陽炎、不知火、雪風、秋月、冬月
- ミサイル護衛艦
- あたご、あしがら
アメリカ海軍
- 戦艦
- メリーランド、ノースカロライナ、ワシントン、アイオワ、ニュージャージー、ミズーリ、ウィスコンシン
- 空母
- ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネット、エセックス、ミッドウェイ
- 軽空母
- カボット、バターン、チャージャー、レンジャー
- 重巡洋艦
- ポートランド、インディアナポリス、ニューオリンズ、ウィチタ、アラスカ、デモイン、セーラム
- ミサイル巡洋艦
- ロングビーチ、バージニア、テキサス、ミシシッピ、アーカンソー、タイコンデロガ
- 駆逐艦
- モーリー
- ミサイル駆逐艦
- メイソン、チェイフィー、マイケル・モンスーア
- 工作艦
- ヴェスタル
イギリス海軍
- 戦艦
- ウォースパイト、ネルソン、キング・ジョージ5世、デューク・オブ・ヨーク、ヴァンガード
- 空母
- グローリアス、イラストリアス、クイーン・エリザベス、プリンス・オブ・ウェールズ、ハボクック
- 軽空母
- アヴェンジャー、シーシュース、ユニコーン、インヴィンシブル、アーガス
- 重巡洋艦
- エクセター
- 軽巡洋艦
- リアンダー、アキリーズ、ダイドー、フィービ
- 駆逐艦
- アバンスゲイト、アマゾン、エクリプス
- ミサイル駆逐艦
- デアリング、ダイヤモンド
ドイツ海軍
- 戦艦
- アドミラル・グラーフ・シュペー、ビスマルク、ティルピッツ
- 空母
- グラーフ・ツェッペリン
- 重巡洋艦
- アドミラル・ヒッパー、ブリュッヒャー、プリンツ・オイゲン
- 軽巡洋艦
- ケーニヒスベルク、カールスルーエ、ケルン、ライプツィヒ
- 駆逐艦
- レーベレヒト・マース、ゲオルク・ティーレ
- ミサイル駆逐艦
- ブランデンブルク
フランス海軍
- 戦艦
- プロヴァンス、ロレーヌ、ダンケルク、リシュリュー、ジャン・バール
- 空母
- ベアルン、クレマンソー
- 重巡洋艦
- アルジェリー
- 軽巡洋艦
- ジャンヌ・ダルク
- 駆逐艦
- ル・ファンタスク、ル・テリブル、ヴォークラン、モガドール
- ミサイル駆逐艦
- フォルバン
イタリア海軍
- 戦艦
- ヴィットリオ・ヴェネト、リットリオ
- 重巡洋艦
- ザラ、フィウメ、ゴリツィア
- 軽空母
- ジュゼッペ・ガリバルディ、カヴール
ロシア/ソ連海軍
- 戦艦
- ガングート、マラート、ソビエツキー・ソユーズ
- 軽空母
- キエフ、ミンスク
- 軽巡洋艦
- マクシム・ゴーリキー
- ミサイル巡洋艦
- スラヴァ、マーシャル・ウスチノフ、ヴァリヤーク、ウクライナ、キーロフ、フルンゼ、カリーニン
- 駆逐艦
- タシュケント
- ミサイル駆逐艦
- ソヴレメンヌイ
中国海軍
- 軽巡洋艦
- 逸仙、寧海、平海、重慶 ※いずれも中国大陸版限定
- 防護巡洋艦
- 致遠 ※いずれも中国大陸版限定
- ミサイル駆逐艦
- 基隆
大韓民国海軍
- ミサイル駆逐艦
- 広開土大王、世宗大王 ※いずれも韓国版限定
海賊
- ガレー船
- クイーン・アンズ・リベンジ
鬼姫(敵キャラクター側)
アビソールの高知能個体。日本の伝承に登場する鬼のような角を特徴とすることから、人類側からは「鬼姫」と呼ばれている。序列順がある模様。
名前の由来は、ソロモン72柱の悪魔。ゲーム中でドロップする「霊魂」を集めることにより一部の艦姫が浄化、プレイアブルキャラクターとして使用が可能となる。
- ウァレフォル(6位)→金剛
- アモン(7位)→赤城
- パイモン(9位)→ビスマルク
- グシオン(11位)→ウィスコンシン
- エリゴス(15位)→三笠
- バティン(18位)→タシュケント
- モラクス(21位)→青葉
- イポス(22位)→リットリオ
- アイム(23位)→ジャン・バール
- ロノウェ(27位)→マラート
- ベリト(28位) →ガングート
- フォラス(31位)→日向
- ガープ(33位)→逸仙
- ウヴァル(47位)→龍驤
- クロケル(49位)→ハボクック
- バラム(51位)→グローリアス
- カイム(53位)→メリーランド
- オセ(57位)→ケルン
- アミー(58位)→雪風
- アンドレアルフス(65位)→イラストリアス
- キマリス(66位)→ウィチタ
- アムドゥスキアス(67位)→ユニコーン
限定イベント
- リゾート島防衛作戦 前編『アイドルと軍神』 後編『ゆうわく♡サマービーチ』
- 『灼熱の侯爵と海煌の翼』
- 『深海に現れし復讐の女王』
- 『情熱チョコレート戦争』
備考
リリース前の予告段階から大和型戦艦が大和、武蔵、信濃(建造段階で装甲空母化)の3隻とも揃う艦船擬人化ジャンルのゲームとしては初の快挙を成し遂げている。
上坂すみれ(大和、ヴァリヤーク、ガングート)は艦隊これくしょん、戦艦少女R、アズールレーン、最終戦艦withラブリーガールズに続いて本作に出演したことで、艦船擬人化ゲームの出演本数が前人未踏の5作となった。これは日本でリリースされた艦船擬人化ゲーム全部に関わっていると言う事にもなり、2019年にはガーディアン・プロジェクト(現在サービス終了)への出演で記録を6に伸ばしている。
アプリのデータがとてつもなく大きく、アプリストアでダウンロードする際に1GBを平然と超えており(しかも初公開の時点で)、モバイルデータ通信でのダウンロードは余程データ通信容量を余らせていない限りはオススメできない。クローズドベータ版においても500MB以上だと言及があった。
クローズドベータテストの時点で、テストプレイヤーがSNSにアップロードした画像で「一部の鬼姫はドロップする」事が判明、同時に瑞鶴が実装予定である事も判明した。正式サービス開始後、瑞鶴は初課金特典として入手可能(建造などでも入手可能)。鬼姫の扱いは直接部隊に組み込む事は出来ず、撃破し捕えた後に多段階に渡る浄化を完遂する事でレア艦姫が加入するという扱いになった。
その後、スキン限定で鬼姫とは別の艦姫悪堕ちバージョン「壊」形態が追加(第一弾を阿賀野とし、以後順次追加)された。