「これに見えるはわが出身世界……年代にして2005年の頃だ」
「貴様に許されているのはこの中でただ1人の戦士に力を貸すことだけだ」
「ウルトラマグナス…」
「ただ1人を選ぶならば君をおいて他にない!」
概要
1986年12月5日にタカラより発売されたファミリーコンピュータ用アクションゲーム。製作はイスコ、開発はトーセが担当。しばしば誤解されがちだが、プレイヤーが操作する自機はタイトルにも出ているコンボイではなく、ウルトラマグナスである。
ゲームシステム
ゲームは2人まで参加可能だが、同時プレイではなく一方のプレイヤーがミスした後に交代する交互プレイ方式である。ステージは全10ステージで構成され、1、2、4、5、7、9ステージは横スクロール方式、3、6、8、10ステージは縦スクロール方式となっている。各ステージの最後に待ち構えるボスを倒すとクリアとなり、最終ステージをクリアすると2周目に突入する。
トランスフォーマーらしく、ジャンプが可能なロボット形態と地上を高速で移動し対地攻撃が可能なカーキャリア形態の2種類の形態に変形可能だが、変形時には僅かの間無防備な状態となる。
各ステージに出現するスカイワープを倒すとショットの発射方向が増えたり飛行能力を得るなどの様々な効果のあるエネルゴンキューブ(アイテム)が出現し、更に「R」「O」「D」「I」「M」「U」「S」のアルファベットが刻まれた赤いキューブを全て集めた状態でクリアすると2周目からウルトラマグナスに代わってロディマスコンボイが使えるようになる。(性能はウルトラマグナスと同じ)
具体的な評価
その理不尽な難易度から『たけしの挑戦状』や『いっき』などと並んでクソゲー界を代表する伝説のクソゲーとして有名で、『ゲームセンターCX』の有野課長は初プレイ時わずか数秒でゲームオーバーになり、ゲームオーバー最速記録を更新してしまった。
このゲームはアメリカ主導の『トランスフォーマー』シリーズでありながら日本でしか発売されていない。AVGN曰く、「こんなクソなんぞ誰も遊びたくないからだよ!」。伝説のクソゲーの代名詞的存在の本作だが、有名なのは以下のような要素。
- オープニングで初っ端から赤・水色・黒と激しく光るポケモンショック彷彿させるまばゆい点滅がプレイヤーを襲う。
- 敵の弾が2×2の4ドットの白単色で、スタート地点をはじめ、背景のある場所では非常に見づらい(実はステージ2以降はそれほどでもない)。
- 敵が小さく素早いので攻撃を当てにくい。それに対して自機は大きく攻撃を受けやすい。
- 攻撃を受けやすいにもかかわらず敵や敵弾に触れると一発で即死(一応、取ると3発まで敵の攻撃に耐えられるアイテムがあるにはある)。
- すぐゲームオーバーになるのにコンテニューが隠しコマンド(公式攻略本に記載あり)。
- ステージ9は決められたルートを通らないとスタート地点までループしてしまい、いつまで経ってもクリアできない。
- コンドルやラットバット、ジェットロンにブリッツウィングなどがザコとして無限に出てくる(しかも体当たりはマグナスが絶対に負ける)。
- それ以外のザコ敵は基本的にゲームオリジナル。更にステージボス最多登場はデストロンのエンブレム。
- 合体兵士(メナゾール&ブルーティカス)とメガトロン、ダイナザウラーがほぼ同じ大きさ。
- コンボイのスペルが間違っている。 → ○CONVOY ×COMVOY
- 他に登場するサイバトロン戦士はバンブルのみ。しかも隠しキャラな上に一緒に戦うような事は無い。
- ボーナスステージでは、カールおじさんみたいなキャラクターが天井からブロック(撃つと得点アイテムに変化。ただし当たればミスとなる)を降らせてくる。
- エンディングの文章がローマ字で非常に格好悪い。↓
本作は1986年の夏に日本での公開を予定していた『トランスフォーマーザ・ムービー』と連動させる形で製作が進められていたが、諸般の事情により映画の公開が中止されたため、コンボイが続編で離脱する経緯をゲームで知ってもらおうという「コンボイが死んだ」と銘打ったキャンペーンの一環で販売された。しかし、ゲーム中は会話やイベントなども無く淡々と進み、肝心のコンボイが死んだ理由は全てのステージをクリアしても結局謎のまま。答えは一応あるのだが、ボーナスステージをクリアしないと出ない上に映像のみの簡素なものである。
まさかのバーチャルコンソール版配信
2008年6月10日、何をトチ狂ったのかWiiのバーチャルコンソール(VC)で本作の配信が開始された(514Wiiポイント)。その前年に実写映画が公開され大ヒットを記録したばかりで、タイミング的にそれにあやかろうと思い配信されたと考えられる。てかそうとしか思えない。
あまりにも高難易度のため、タカラトミーのスタッフのブログでは異例の注意喚起が行われていた。(現在は削除されている)
ちなみにスタート時とステージクリア時の激しい点滅は修正され、マイルドになっている。
(赤・青・白・黒の背景色から赤が削除され、点滅スピードも遅くなった)
その後
VC版の配信以後、謎の扱いを受けている。
- 日本版『トランスフォーマーアニメイテッド』にてウルトラマグナスの玩具付属キャラ解説にG1版ウルトラマグナスの紹介が記載された際、何故か本作が触れられている。
- 玩具シリーズ『トランスフォーマーオルタニティ』にて、本作の世界が1つの別次元世界として語られている。(本記事冒頭の台詞はその物語からの引用)
- それによると、本作は別次元のコンボイとメガトロンが介入したことによって行われた死と苦しみに満ちたゲームであり、とある未来のメガトロンがこのゲームと同じように強化されたウルトラマグナスに敗北しており、「自分の敗北は偶然である」ということをコンボイに証明するためにこのゲームを持ちかけたのだという。
- ゲームのルールは「メガトロンがデストロン軍団に異常な強さを与え、コンボイは選んだサイバトロン戦士一名に自分の力を与える」「選んだサイバトロン戦士が死亡するたびに、一番最初のステージから始まる新しいパラレルワールドを生み出し、デストロン軍団が100勝すればメガトロンの勝利、100通りのパラレルワールドの中から一回でもウルトラマグナスが勝利する歴史が生まれればコンボイが勝ち、メガトロンが現在進行中の新しい計画の『謎』について聞き出せる」というものである。
- なお、メガトロンの「謎」とは二次元宇宙の法則と同化し、生きた膜宇宙に進化した「プラニクロン」と呼ばれる群体を犠牲にする宇宙の操作盤「コズミック・ドライバー」を使用し、多次元全能に近いコンボイの集合体本体とメガトロンの集合体本体の拮抗した争いに終止符を打つというものである。
- 『超ロボット生命体トランスフォーマープライム』内の「アームズマイクロン劇場」にてマイクロン達が本作をプレイするシーンがある(わずか数秒で即死も再現)。
キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎
2014年8月、iOSとAndroidのアプリソフトとして『キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎』と題した本作のリメイク版が登場。制作は株式会社DLE。チョロQ風玩具『キュートランスフォーマー』のメディアミックスの一貫としてのソフトである。(※2016年3月28日にゲームのサービスが終了。現在はプレイ不可となっている)
2015年1月からはTOKYO MXにてアニメ版も放送が開始された。
ちなみにアニメ版では、ゲームが61万本売れた事に対し、「61万人を不幸にした」と公式で罵倒し、当時の様子やゲームの難しさを知る者の笑いを誘った。
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