概要
首都はダブリン。現地名は「エーレ」。「エール」と呼ばれることもある。古くは「エリン」とも呼ばれた。
地理
国土は全体に低平で、緯度の割には寒くならない。4つの地方(アルスター・レンスター・マンスター・コノート)に分かつが、うち北部アルスターはイギリス領北アイルランドとして知られている。
経済
20世紀の前半まではヨーロッパの最貧国であったが、1995年から2000年代にかけて「ケルトの虎」と呼ばれるほど驚異的な経済成長を遂げた。今となってはイギリスを上回るほどの高所得国となったが小国ゆえに世界情勢に経済を振り回されやすく、2008年に金融危機に陥った。
IT産業を主とし、各税率を低く設定し外国企業の誘致をしている。
歴史
古代にはヒベルニアとも呼ばれたこの島は、ローマの支配下には入らなかった。そのためか、島の各地に小王国とそれを緩やかに統合する上位君主がいる、という形が長く残った。ク・フーリンやフィアナ騎士団といった伝説群も、このような社会を背景に語られた者である。5世紀ごろまでケルト神話の神々(トゥアハ・デ・ダナーン)が信仰され、キリスト教もこの基盤の上に広がっていく。
10世紀~11世紀にかけ、アイルランドにイングランドの勢力が東部のダブリンを始めとして徐々に浸透。ジョン王の時代までには、イングランド王は名目上「アイルランド卿」を名乗るようになるが、この時代は依然土着の領主の勢力が強かった。
この状態が一気に変わるのは、アイルランドがイギリス内戦(いわゆる「ピューリタン革命」)時にカトリックとして王側についた時である。この結果、時の権力者クロムウェルはアイルランドの領主の力をそぐとともに、ブリテン島からの移民を推進(アルスターなど)。結果、アイルランドに多数の不在地主が生まれ、地元民の小作化も進んだ。
こうしてイギリスの支配下におかれたアイルランドだが、カトリック人口が過半を占めることによる住民の政治参加剥奪の状態(イギリスは1829年までカトリック住民の公職就任を認めなかった)、さらに19世紀のジャガイモ飢饉による多数の死者と移民の発生が追い打ちを賭け、イギリスへの反感が住民の間で次第に強まっていく。この時代にイギリスやアメリカ合衆国に渡ったアイルランド人も多く、英国や米国ではアイルランド系は大きな人口比を占める。
なお、この反感について一例をあげれば、ヴィクトリア女王即位60周年記念の際に、アイルランドではアイルランドに関係するありとあらゆる細かな記念日を祝ったという。
こうして独立運動・内戦を経て、1938年イギリス連邦加盟国として独立し、1949年イギリス連邦から離脱。完全な共和制となる。
国民投票によりイングランド・スコットランド系住民の多い北部(アルスター)6州は連合王国構成国としてイギリスに留まった(⇒北アイルランド)。この事態は近年に至るまで、北アイルランド紛争として長く禍根を残した。
話題
・ケルト語系アイルランド語が国語だが、アイルランド語が通じるのは西部(コノート)のごく一部だけで、ほとんどのアイルランド人は英語を母語にしている。
・国民の約85%がカトリック教徒で、保守的な風潮が強いことで知られ、特に同性愛は1993年まで犯罪行為だった。しかし、2015年5月22日に行われた同性婚を認める憲法改正案の賛否を問う国民投票で、賛成が反対を大きく上回り、同性婚が合法化された。
ちなみに、国民投票で同性婚が合法化されるのは、世界初である。
・伝統的な料理として「アイリッシュシチュー」があり、ビーフシチューやクリームシチューとは異なり、羊肉を使用しており、見た目はどちらといえばポトフや肉じゃがに似ている。名前のアイリッシュとは「アイルランドの」を意味する英語で、「アイリッシュ・ウイスキー」などアイルランド産の食物に冠される事が多い。
・ケルト神話は信仰としては残っていないものの、同神話に登場する英雄「クー・フーリン」は政治闘争のシンボルにされたりと国民的な人気を誇り、中央郵便局にも彫刻が残っている。
pixivでは
「ヘタリアにない国を擬人化してみる」のオリジナルキャラクターなどが投稿されている。
日本との関係
日本との関係は友好的であり、長年の敵であるイギリス嫌いが高じて、第二次世界大戦時にイギリスの植民地を解放したり、戦艦プリンス・オブ・ウェー ルズやレパルスを撃沈した事を我が事のように喜んでいるらしい。
要するにイギリスが嫌がる事をしたから味方と言うスタンス。第二次大戦時のアイルランドは中立で日本とは敵国の関係にはなかった事も一因と言える。