基礎データ
概要
『ポケットモンスター 金・銀』(第2世代)から登場した、ラテン・アルファベットの一文字を変形させたような姿のポケモン。
英単語の「unknown(アンノウン):不明な、謎の」と同じ発音の名前が示すとおり、非常に謎が多い存在である。
全てのアンノーンは1つの丸い大きな目玉から、手足とも角ともつかない棒状のものを何本か枝のように生やしており、身体全体で文字を表している。
『金・銀』当初はA~Zの26種類だったが、『ルビー・サファイア』(第3世代)から「!」と「?」が加わり計28種になった。「!」「?」の2種は他と表情が異なり、目玉の上半分が黒いまぶたのような物で覆われジト目になっている。
アンノーン28種にそれぞれ対応した文字があるが、もともとアンノーンが存在しそれを模して文字が作られたのか、あるいは文字ができてからアンノーンが誕生したのかはいまだ謎に包まれており、世界七不思議の一つにまで数えられているという。
形がそれぞれ違うのも発揮できる能力が違うからとされているが、ステータスに差異はない。
ゲーム作中には、アンノーンに酷似した文字が壁面に書かれた遺跡がいくつも登場し(※)、地理的に大きく離れたこれらの遺跡から同一の文字・言語が発見されたことは驚愕に値しよう。
アンノーン達自身も、ポケモン中最も薄い身体を常に壁などに張り付け、それらの文字に擬態している。また、固有のテレパシーで意思疎通を行なっており、基本的に複数の群れで行動する。
ゲームや劇場版を見ると、伝説のポケモンたちと密接な関係があることが示唆されている。
曰く、1匹だけだと何の力もないらしいが、2匹以上が何かしらの法則で並ぶと、他のポケモンでは成し得ない未知の力を芽生えさせるという。
劇場版においては第3作目ではエンテイの姿と力を正確に再現した分身ともいえる存在を生み出し、第11作目ではディアルガとパルキアが対決した彼らの拠点である時空間にも多数生息しており、ゲーム『ハートゴールド・ソウルシルバー』では、アルセウスが真の力を発揮するとその場所へ集まってくる様子などが見られる。
ズイの遺跡の最奥部では「FRIEND すべてのいのちはべつのいのちとであいなにかをうみだす」という古代文字が記されており、シンオウ時空伝説にもなんらかの形で関わっているものと思われる。
なお、出現する世代は第2世代、第3世代(FRLGのみ)、第4世代、第6世代(ORASのみ)。どういうわけか日本をモデルとした地方にしか出現していないのが興味深い所。元ネタはアルファベットなのに。
そのため遺跡が点在するイッシュ地方やアローラ地方、ガラル地方にはいそうなのにいないという奇妙な立ち位置にある。
(※)ジョウト地方のアルフのいせきやシンオウ地方のズイのいせき、ナナシマのアスカナいせきがそれである。ジョウトやシンオウではアンノーンを模した古代文字を使用していたが、これは『HGSS』にて古代のジョウト地方の人々がシンオウ地方と交流を持っていた為だという事が示唆されている。
ただし、アンノーンの出現する地方でアスカナいせきのあるナナシマのみ、アンノーンを模した古代文字ではなく、ホウエン地方と同じ点字の文化圏となっている。
ゲームでの特徴
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ |
---|---|---|---|---|---|
48 | 72 | 48 | 72 | 48 | 48 |
覚える技は「めざめるパワー(以下めざパ)」だけ。
遺伝で覚える技が無ければ、技マシンで覚えられる技もなく、なんと教え技で覚えられる技すらない。
そのため「とくこう」と並んでアンノーン最大の「こうげき」種族値72がまったく意味を成さない残念なポケモンである。
ただし第2世代~第3世代までではめざパのタイプで物理か特殊かが変化したため、めざパのタイプ次第ではアンノーンの攻撃種族値が生かされていた。今となっては過去の話だが……
『ポケモンXY』でめざパの威力が60固定となった。
もともと最大威力70の技だったため、厨ポケですらないのにアンノーン自体がここに来てまさかの弱体化。
他のポケモンはめざパ以外にも他の技を覚えられるのでまだ救済されているのだが、アンノーンはこれしか覚えられないため、仕様変更によるある意味一番の被害者となってしまっている。
まあ、実際のところは威力60すら出なかった全国の75%のアンノーンが歓喜の声を上げているのだが……どうでも良い話か。
もっとも、アンノーンは存在自体がアイデンティティなのでバトルは度外視しても構わないといえばその通りではある。
第7世代では、Zワザの習得により、「ウルトラダッシュアタック」という「めざめるパワー」と「わるあがき」以外の技も手に入れた。
そして第8世代。『ソード・シールド』にアンノーンは直接登場しないが、なんと「めざめるパワー」の廃止という重大事件が起こる。
その後2020年2月からはポケモンホームで過去作からのポケモンを一部連れて行けるようになったが、「めざめるパワー」は誰がどうやっても使用することもできず忘れるように勧められる廃止技になってしまっていたのである。
剣盾ではアンノーンを連れてくることは出来ないが、このままだとわるあがきしか出来ないお飾りになってしまうことは確実。
……などといっていたら、2021年になって、『ダイヤモンド・パール』のリメイク発売が判明。舞台となるシンオウ地方では、「ズイのいせき」でアンノーンの生息が確定している。どうするどうなるアンノーン。
とはいえ、ある技が「『剣盾』で使えないだけで別のソフトでは問題なく使える」というケースは十分に起こりえるので、何事もなかったかのように「めざめるパワー」が出てきそうな気もするが。
大乱闘スマッシュブラザーズDXではモンスターボールから登場。仲間を呼んだあと、(原作では覚えないが)「とっしん」で地形を無視して集団で襲い掛かってくる。
超ポケダンではアンノーンを連れて冒険すると経験値にボーナスがかかるようになった。
ポケモンGO
2017年2月の金銀本格実装より登場した。当初は伝説ポケモン同様に除外されていたものと思われていたが、後に野生で出現することが判明した。
しかし問題はその出現率であり、あのラプラスより桁1つ小さい確率である。
どれくらいかというと実装開始から10日間の日本全国での平均出現数が24.4匹/日であり、これは単純計算して約120km四方の範囲に1日1匹出現する程度。しかも出現場所の傾向が一切分かっていない。
さらに、金銀での26タイプの姿が存在しており、図鑑にはタイプごとにマークが記録されるほか、アンノーンの規定数の収集が対象となるメダルがある。
1匹見つけるだけでも相当な運ゲーなのに26種全部集めるとなるとどれだけの時間とお金がかかるのか……
更に2018年夏以降「!」と「?」も追加され更に難易度が上がってしまった。
いくら何でもこのままでは無理ゲーなので、開発側からもイベント等では救済措置が取られることがある。
2017年夏にアメリカのシカゴと神奈川県の横浜市で行われたイベントでは、アンノーンの出現率に大幅な上方補正がかけられ、対象区域を歩き回るだけで結構な数のアンノーンと出会うことができた。ちなみに、出現するタイプは開催地にちなんだものになっており、シカゴの場合はC, H, I, A, G, O、横浜の場合はY, O, K, H, A, Mの個体がそれぞれ出現した。
これ以降、大小さまざまなイベントでアンノーンがピックアップされており、また交換機能実装で複数手に入れていた場合お裾分けを貰うこともできるようになっている。
後は全種類均等に出てくれればコンプリートもしやすいのだが。
アニメでの特徴
前述の通り劇場版でキーポケモンを務めたほか、金銀編150話にて体調を崩した『G』の個体がヨーギラスと交流する。
こちらでは「人やポケモンの心に触れられるらしい」というオリジナル設定が加えられ、実際に心情風景を具現化させるなどそれを裏付ける展開がなされた。
更にED曲「ポケッターリモンスターリ」では『P』の個体が登場した。
そして新無印83話で久々の再登場を果たす。ジョウト地方に住む少女・キララの「星となった自身のピィをいつまでもずっと見ていたい」という願いに呼応し、N、I、G、H、Tの個体が出現。これら5体が合わせて示すNIGHT(=夜)の通り、ジョウト一帯を朝が来ることがない輝ける星空へと変えて見せた。サトシたちやシロナがキララの説得を試みるも、彼女は説得を拒否。アンノーンたちが彼女を守る形で、サトシたちに襲い掛かる。彼らの手持ちを再現した幻を用いて戦闘を有利に運ぼうとするが、シロナの戦略によって敗北。彼女のガブリアスによる上空からのスケイルショットをもろに食らってしまい、一目退散することとなった。
その後、エピソードのラストでIの個体が再び出現。木の後ろからキララやサトシたちを見ていたが、結果に納得したのか、満足気な表情でいずこかへ去っていった。
ポケモンカードゲーム
世代ごとにデッキに組み込める枚数が異なるという違いがある。
第3世代までと第5世代以降は「アンノーン」という名前のカードだったため、アンノーンの形状に関わらず1デッキに4枚までしか入れられない。一方で第4世代では「アンノーン+形状名」名義になったため、各形状につき4枚までデッキに入れられるようになっている。
なお、第7世代以降では特性の効果に特殊勝利があるアンノーンが数枚登場しているが、「超爆インパクト」に登場した特性が「DAMAGE」(気絶していない味方ポケモンの被ダメージ合計が660以上の時に使用すると特殊勝利)のカードは使用禁止なので注意。理由としては、以下の手順で余裕で勝ててしまうからである。
①バトル場に当該アンノーンを出したうえで、スタジアム「マグマ団秘密基地」(お互いのたねポケモンはベンチ入りするたびに20ダメージ)を展開する。
②ベンチを、「冷酷の反逆者」収録のマニューラと「マスターデッキビルドBOX EX」収録のランクルスを含む4枚以下、かつ「当該アンノーンを含む全カードの合計HP≧660+(ベンチ枚数+1)×10」という数式を満たすように組織する。そのうえで、手札に「爆熱の闘士」収録のクレッフィを用意する。
③手札からクレッフィ召喚(スタジアム効果でクレッフィに20ダメージ)。
④ランクルスの特性「ダメージスワップ」(味方のダメカンを付け替え)を発動し、他のポケモンにダメージを付け替える。
⑤クレッフィの特性「ワンダーロック」(このカード(クレッフィ)自体を「ポケモンの道具」扱いにして他のポケモンに持たせる。この状態のクレッフィを持っているポケモンはメガシンカ済みの相手カードからの攻撃を無効化する)を発動、適当なポケモンに持たせる。
⑥マニューラの特性「ひっぺがす」(味方カードが持っている道具1つを手札にリターン)を発動してクレッフィを手札にリターンする。
⑦再びクレッフィ召喚。以下、④~⑦を33回繰り返し、味方の被ダメージ量を660にする。
⑧アンノーンの特性「DAMAGE」を発動して特殊勝利。
当該カードたちはいずれも発売時期・方式共にバラバラであり、それらの歯車が偶発的にかみ合ってしまった恐ろしい例である。
余談
公式イラストにおいては、登場当初は「G」の形態が単体で使用されることが多かったが、『FRLG』発売に合わせて新しく書き起こされて以降は「F」の形態が単体で使用されるようになった。
これは憶測でしかないが、イラスト書き起こし時に最新版のソフトであった『GSC』の「G」と『FRLG』の「F」から採られているのかもしれない。
ちなみに『G』と『V』に相当するアンノーンは、元となったアルファベットと似ていない(大文字・小文字共に。『金・銀』当時の制作陣曰く、「最初は適当にデザインしていたが、だんだん文字に見えてきたのでアルファベットと対応させた」とのこと)。
なお、コナミのbeatmania 4thMIX並びに5thMIXの「MODE SELECT」「SOUND SELECT」の文字がアンノーンとものすごくそっくりだったりする。