概要
屋根にあたる部分には布製やビニール製の幌を使うことが多いが、近年はFRPなどの軽量な素材を使った自動開閉式のハードトップを使用するものもある。
これらはヴァリオルーフ、メタルトップオープンなどと呼ばれる。
ちなみに、「オープンカー」は和製英語であり、欧米では「ロードスター」、「コンバーチブル」、「カブリオレ」、「スパイダー」など、厳密な区別がある。
歴史
自動車の歴史は馬車からの発展であり、元々は屋根が無いか、折りたたみ式の幌を利用していたケースが主流である。
その為、近代までは寧ろオープンカーが一般的であり、金属製の屋根を持つものは高級な商品であったと言える。また屋根を持つ車をハードトップと呼んでいたことからも、屋根がある方が特殊であったことが窺える。
幌が主流となっていたのは、ひとえに車体の重量を軽くする為であった。自動車黎明期はエンジン技術も未発達であり、不安定で非力であった。ために金属製の屋根を付けてしまうと車重がかさむ上に、それを駆動させるために更に大きなエンジンが必要になるという悪循環に到ってしまうため、軽量な幌屋根のオープンカーがもてはやされたのである。
しかし総合的な技術が進歩し、ハードトップ式の自動車が当たり前になってからは、オープンカーは特殊性故に高価となり、その構造により剛性・安全性・保安性・静粛性などに問題があり徐々に廃れていき、オープンカーは趣味性の高いクルマという位置づけになっていった。
現代にオープンカーが残っているのは、マツダのロードスターのヒットに起因するところが大きい。これを受けメルセデス・ベンツやBMWまでもが追随をしており、オープンカーの文化は今日も守られている。
日本では軽自動車のオープンカーが妙に豊富で、この2シーター大恐慌の時代にコペンとS660が現在も販売されている。
現代のオープンカーはクーペの亜種であることがほとんどだが、最近のSUVブームの波に乗って、SUVタイプのオープンカーもしばし発売されることがある。
劇中車としてのオープンカー
古来より映画やアニメに登場する車にはオープンカーが多い。
これはカッコ良さのためでもあるが、一番は屋根があいていないと役者の顔が見えなくなってしまうからである。
日本車初のボンドカー(007シリーズ)であるトヨタ2000GTも、そうした事情から本来存在しないはずのオープンモデルが劇中に登場している。
レーシングカーとしてのオープンカー
レーシングカーにはオープンカーが多々見られる。
代表的なものはF1に代表されるフォーミュラカーがそうである。草創期のF1では屋根を付けない車の方が軽さや重心の観点で有利とされ、これがフェンダーの無いむき出しのタイヤと合わせてフォーミュラカーというスタイルの伝統となっている。
しかし高速化して空力が重視される現代ではむしろ不利であり、コックピットに外れたタイヤが直撃すれば即死するというリスクもあるため、デメリットのほうが目立つ。2010年代後半以降は安全意識の高まりから、"HALO"と呼ばれる輪っかのような頭部保護デバイスをつけるのが一般的になっているが、屋根はあくまでつけないことから、フォーミュラカーにおけるオープントップは「フォーミュラカーというスタイルを守る」という意義しかなく、商業的にはともかく機能的にはほぼ意味をなしていない。
また1990年~2000年代の耐久用プロトタイプレーシングカーは、規則のバランスによりオープンタイプが有利とされていた時期がある。しかしやはり安全性の観点から廃止が進み、現在はローカルレースを除けばほぼクローズドタイプのみとなっている。
スーパー耐久のようないわゆる『箱車レース』にもオープンカーが参戦することがあるが、安全上の規則から、屋根を閉めた状態でロールケージを組んでいる場合がほとんどである。
よくある誤解
- 風が当たりそう
フロントガラスが案外風から守ってくれるため、天候が穏やかなら走っていてもほぼ無風である。
時々風で髪が後ろに靡いているオープンカーのイラストもあるが、リアリティ見地から野暮なことを言えば正しくない。
- 冬は寒そう
シートヒーターが装備されているのが一般的であるため、これをONにしていれば案外寒くない。
代表的な車種
普通自動車
ムラーノコンバーチブル(日産)
ボクスター(ポルシェ)
206cc(プジョー)
バルケッタ(フィアット)
アルファスパイダー(アルファロメオ)
アバルト124スパイダー(アバルト)
など
軽自動車
など