概要
円谷英二の孫(円谷一の次男)で、円谷プロダクション6代目の社長を務めた。
ちなみに5代目社長円谷昌弘は兄、俳優の円谷浩は弟、シンガーソングライターの又紀仁美(円谷一美)は妹、4、8代目社長円谷一夫は従兄弟、3代目社長円谷皐と円谷プロ元専務の円谷粲は叔父、元歌手の円谷優子は従妹にあたる。
経歴
1959年、円谷一の次男として生まれ、中央大学理工学部を卒業し、バンダイを経て。1983年に円谷プロダクションに入社。。円谷エンタープライズ常務、円谷コミュニケーションズ(後の円谷ドリームファクトリー)社長、円谷プロ専務を経由し2004年に円谷プロダクションの6代目社長を務めたが、社長在任当時の『ウルトラマンネクサス』をはじめとする一大企画「ULTRA N PROJECT」の大コケによって、会社にかつてない大ダメージを与えた事が原因で、僅か一年で退任してしまった。
より厳密に言えば、当時放映されていた『ネクサス』は視聴率の伸び悩みが原因で1クール短縮(事実上の打ち切り)、および劇場版製作中止が決定するが、この一件が引き金となって、かねてから様々な火種を抱えていた会長・一夫との関係が悪化。
元々父の皐から遺言として英明を経営から追放するように言われていた事や、大株主でもあったが経営に携われないことに不満をもっていた一夫は、番組制作の責任者として打ち切りを主導していた英明に対して表向きは同意しつつも、本心ではそれを望んでいなかったことから、全ての作業が終わってから態度を変え、近しい人物に「打ち切りは本意ではなかった」と洩らすなど不満を強め、遂にはクーデターを決行。『ネクサス』放送中の2005年4月(29話からOPテロップから名前が消えているため、おそらく4月23日から30日までの間)、英明は「役員会を軽視し、権力独占を画策した」として解任動議が出され、過半数の株を持つ会長の一夫の同意により解任、降格。そのまま2007年に円谷プロがTYOの子会社となった際にほかの一族や役員もろとも円谷プロを追い出された。
なぜこうなったのか
円谷プロダクションの項にも書かれている通り、初代社長の円谷御大が元々経営者ではなく、技術者兼監督だったということもあり、設立当初から採算を無視した制作費でハイクオリティな作品を作ろうとする傾向があり、収支管理に適した経営者がいなかった。
そのため何度も経営の危機に直面しているが、それにも関わらず制作資金に糸目を付けず、おもちゃや映像ソフト等の関連商品の売り上げで元を取るという超強引な手段で何とか乗り切ってきたのである。
そんな中、融資をしてくれた銀行が離脱し円谷プロは資金繰りが悪化。そこでウルトラシリーズの玩具を販売するバンダイから融資を受けることになったのだが、この時バンダイは経営改善を融資の条件として突きつけてきた。その一環として、当時の円谷一夫から英明の兄にあたる昌弘に社長職を交代。その際、お家騒動に見られるとまずいと判断した当時の専務取締役高野宏一を中心とした役員たちの提案で、一夫は会長の役に落ち着いた。
ところが2003年、高野をはじめとした社長交代を提案した役員全員に辞表を出すよう迫った。(この辺は円谷プロダクションの記事を参照の事。)
高野らを追放同然に解任したことと、兄である昌弘の女性社員に対するセクハラ問題で訴訟を起こされ、連日連夜押し寄せるマスコミや世間からの批判を食い止めるためにも昌弘は社長を辞任し、英明が後任の社長に就いた。
そしてその頃にはいよいよTDG三部作などの採算度外視のツケが回り始めており、英明は2003年の時点で、エクセルも使わずに手書き集計をしていた事を知る。銀行に提出する経営計画書まで手書きだった事も発覚した。
制作費と著作権収入を対比して精査してみると、実際のところは大赤字であり、作品ごとの収支を管理しなかったため、売り上げが落ちているのに制作費を無理やり支出していたのだ。
さすがにこのままではダメだと感じた英明は、一夫に「予算管理をしっかりしろ」と苦言したものの、一夫はこれに耳を貸さず、双方の仲は悪化。また、一夫の父である皐が遺言として英明の経営からの追放を望んでいたことも一因となった。
さらに、当時の円谷プロは重要な役員が円谷一族で固められていたことに不満を抱く役員が数多くおり、「もっとウルトラマンをうまく使え」「自分の方がもっとうまくやれる」といった誹謗中傷や陰口が横行しており、また、『ネクサス』の打ち切りを主導した英明を攻撃して社長の椅子から引き摺り下ろし、自分の出世に結び付けようと目論む役員も多かったという。
英明はそれらの声を無視していたために、足元を掬われるハメになったのである。
『ネクサス』にてメタフィールドの導入や怪獣の使い回しを行ったのも、予算の削減が目的であり、他にも各種経費削減によって経理改善を図ることが可能な制作コンセプトだったのだが、それにも関わらず着ぐるみ製作に予算の倍以上の費用をかけてしまうなど、やっぱり経理面を顧みない姿勢が目立った。
その後も結局、路線変更をしなかったことで制作費を回収できず、その後の『マックス』『メビウス』でも採算を無視した作品作りをやってしまい、ハイコンセプト・ウルトラマンは3作揃って商業的に大失敗した。
これまでの博打同然の綱渡り経営を長らく続け、それが運良くヒットしてしまったために危機感が麻痺し、失敗した場合の最大の保険となる制作費の回収に不可欠な商業アピールを極端に軽視していたこと、少なからず商売ありきの作品作りに反発していたこと、また、『ネクサス』の受けが非常に悪かったことや、その後の『マックス』『メビウス』がファンからの好評とは反対に商業的ヒットに恵まれなかった事から、円谷プロは過去最悪の経営難に陥り、倒産寸前まで追い詰められ、ウルトラシリーズの大幅な衰退を招いたのである。
(参考までに記すが、『メビウス』が終盤に入った2007年2月の期決算では売上高約56億円に対して当期純利益はわずか約4400万円と制作費すら回収できないほど低かった。)
それから円谷プロがTYOの子会社となり、倒産しかけた原因である円谷家の人間をはじめとした取締役全員の解任と経営意識の改革を行ったことで、崖っぷちから立ち直ることができたのだ。
と、ここまでなら予算管理をしなかった円谷一族の中でも珍しく問題と向き合おうとしたため、その点については評価できる。
その後の行動の数々
五龍奇剣士メタルカイザーの制作と頓挫
円谷プロを退社した後、休眠会社となっていた円谷コミュニケーションを改組した円谷ドリームファクトリーの代表に就任し、日中合作の特撮ドラマ『五龍奇剣士メタルカイザー』の製作を始めるが、
- 上海メディアグループの本拠地である上海に製作会社を設立。上海は51%、日本は49%出資で開始し、資金集めの為に、ウルトラシリーズのメインスポンサーであるバンダイに真っ先に出資を期待し、ほかの投資家もバンダイが出資するならばと条件付きで前向きな姿勢を見せるも、バンダイからの返事は「出資見送り」であり、ほかの投資家からも次々と見送りを決断される。
- 中国ではテレビ番組を作るためには「国家広電総局」という専門の機関に申請する必要があり、最初の申請から半年後の2007年2月に申請が通ったものの、中国の番組制作には期間が設けられており、既定の期間内にすべて製作し終わるか、それができないなら再申請する事になってしまう。さらには全話通して国の検閲を受ける必要がある。
- 早めに制作するためには複数のエピソードを同時に撮影する必要があり、日本から30名以上の制作スタッフを追加募集したが、日本の制作スタッフは中国の制作スタッフを指導する必要があるため、どうしても撮影の効率が悪く、加えてメイン監督の原田昌樹が急死してしまう。トドメとばかりに9話まで製作したところで資金が底をつき、やむを得ず一旦製作を凍結し、ほぼ完成している9話と合わせて少しの新規撮影と過去の映像を切り張りすることとし、全13話に短縮を余儀なくされる。
- 残り4話を撮り足すための資金集めのために帰国するもすでに円谷プロの社長ではないため信用がなくなかなか資金を得られず、家族の猛反対を押し切って唯一の資産である自宅を売り払い、2009年にフジテレビの理解を得られたことで3000万円の融資を得ることに成功。ようやくまとまったお金を手に中国へ戻るが、1年以上の製作遅延という先行き不透明な製作状況に業を煮やした業務委託先の現地スタッフがクーデターを起こし、「最初の契約通り全52話分のギャラを前払いしなければ使わせない」として、完成していた映像素材を差し押さえられる。
等、想定外のハプニングがあったとはいえ、取り返しのつかないのない失態を次々に連発。結果として家を手放したばかりか、交渉を続けたいというスタッフの意向で会社こそ畳まなかったものの、またしても社長の座を下りるハメになった。
こうなった理由は以下の通り。
- 中国の事情を知らなかった英明の、見切り発車企画
- 祖父譲りのマネジメント能力の欠如
- 明らかな制作費不足での相次ぐ契約内容の変更で4クールだったところが1クールに短縮された時点で中国側スタッフを怒らせた
予算不足にも関わらず、打ち切り同然の放送短縮に踏み切った結果、スタッフにクーデターを起こされ失脚するという、過去に国内でNプロジェクトを失敗させた時と同じ過ちを繰り返している。そればかりか、プロダクション創業時から行われていたどんぶり勘定頼みの杜撰な経営が現在でも通用すると思い込んでいた節がある。
さらに、中国では賃金や予算が日本より安く組めるという考えを持っていたのかもしれない。
ちなみにバンダイが出資を見送った理由は、当時ウルトラシリーズのスポンサード契約が一年ごとの更新だったため(現在は更新の必要がない独占契約)、その間にほかの会社にウルトラシリーズの権利を奪われる可能性があること、そして万が一に『五龍奇剣士』がヒットしたら日本のバンダイと、何より円谷プロの立つ瀬がない、というものだった。
後の円谷とシリーズの事を考えれば、バンダイ側の判断は英断だったと言えるかもしれない。
一番の被害者は、この失敗作のために住居を売り払われた英明の家族と、私物まで差し押さえられた日本のスタッフ、そしてキャスト陣だろう。せめてもの救いは今作のキャストが本国でそれなりに成功している事だろうか。
ウルトラマンが泣いている
2013年には『ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗』なる著書を講談社現代新書から発表した。
この本の内容はというと、具体的な数字を元に話しているところは信憑性があり、過去に何があったか知ることはできるものの、
- 前田真宏や樋口真嗣と言った名だたるデザイナーが手掛けた『パワード』に登場する怪獣達のデザインを「アメリカ人が自分たち好みにデザインした」とコキ下ろした本家ウィキペディアをちょっとカンニングすればわかる、自社作品すらまともに見ていないと思われるレベルの事実誤認
- 途中、本の内容に全然関係ない作者の作品評が入る(ちなみに内容はというと80年代に多く見られた昭和2期以降を否定する評価の典型例である)
- たくさん書けるはずの、自分が社長だった時代の事がほとんど書かれてない
- 金城哲夫に「かねしろ」とルビがふられていたり、『新世紀エヴァンゲリオン』を「ヱヴァンゲリオン」と、テレビ版と新劇場版を混同したような書き方をしているなどの数多くの表記ミス
- 初代から作風を大きく変えつつも商業的に成功を収めているガンダムシリーズを「初代からの伝統を守り続けている」という意味不明な理屈で引き合いに出す
- 往年のファンはおろか時代劇ファンの多くからも批判が寄せられた水戸黄門後期のマンネリ展開を賞賛し、「ウルトラシリーズは偉大なるマンネリではいけなかったのか」と書き立てる(逆に祖父の英二御大はシリーズのマンネリ化を恐れ嫌っている)
- 挙句の果てにはウルトラシリーズと何の関係もない『五龍奇剣士メタルカイザー』の失敗に関する記述。自分の見切り発車が原因で頓挫したのに、被害者である中国側を一方的に悪者扱いした上、ある意味で加害者の自身はまるでかわいそうな人のような被害妄想(日本から呼ばれたスタッフですら中国側を擁護しており、英明の味方はいない有様)
など、それ以外の観点では多くの問題点が指摘されている。
旧体制時代に出し切れなかった膿を出し切り、放漫経営がいかに恐ろしいかを知らしめる役回りは果たせたものの、英明自身の問題記述や引き合いに出している作品への理解の無さもあり、資料としての信憑性も価値もほぼゼロと評して間違いない。現行ファンはおろか、一部の懐古厨にすら「デタラメ本」と散々な評価がされている。それを抜きにしても、単なる表記ミスも多く、その時点で問題がある。
さらには五龍奇剣士のスタッフからもフェイスブックで「多分に自分を棚上げしてる感は有りますが」「ギャラは未だに未払いですが印税には貢献してあげましたよ」と遠回しに皮肉られてしまっている。
翌年のインタビューでは「日本では、もうウルトラマンは役割を終えたと思います。パチンコ機器メーカーと玩具メーカーが商売としてやっているだけです」などと、ウルトラマンへの愛とファンへの感謝を原動力に作品作りに励む制作陣のみならず、今この瞬間にもウルトラマンというコンテンツを楽しんでいるファンやメインターゲットの子供達ですら全否定する問題発言をした。
円谷プロダクションの項目を見れば瞭然だが、『ウルトラマン列伝』の放送を皮切りに徐々に勢いを取り戻し、『オーブ』あたりで完全に復活している。
ウルトラマンを世界展開できるという主張は無理がある
2018年に円谷プロが裁判で勝った際は、
と円谷プロを批判した。
長いので要約すると
- 現在の円谷プロは金儲けしか考えていない。商業に走ってしまった。
- 製作には一話あたり数千万円以上かけろ。
- 玩具販売よりスピリッツを優先しろ。
と言ったところだろう。
現在のウルトラシリーズが過去作と比べて商業的な側面が非常に強いのは間違いない。
しかし、重ねて書くが、円谷プロが破滅しかけた元凶は同族経営時代の商業アピールの過剰軽視はもちろん、職人気質をありがたがる彼自身の拘りもあり(後に『ネクサス』は再評価され、新たなファンも獲得することになったが)、円谷が子会社落ちする決定打になったのも、ネクサスの打ち切りを主導した彼自身の非である。
採算度外視の経営が原因で会社を倒産寸前に追い込んだ事に加え、先の見えない不景気や少子化、娯楽の多様化によりメイン客層は減る一方で現在でも費用は相当数かかっているにもかかわらず、「ウルトラマンには一話数千万もの高い予算を、玩具販売ではなくスピリッツを」と、要約すれば「円谷プロを倒産させかねないような方法を実行しろ」という発言をしている。『ギンガS』では坂本浩一氏のパワーレンジャーシリーズで培われた技術によって、無駄な予算をかけず短期集中撮影により質の高い作品を生み出せることが証明されており、以降の作品にも好影響を及ぼし続けている。
様々な事情で以前ほどの話数を放映することはないにしても、一族時代の「利益に拘らず、とにかくいいものを作れ」から「クオリティは維持しつつも無駄は省け」へと、多少変わりつつも今なお受け継がれている意志のもと、「人間」を信じる確かなメッセージと、ウルトラマンへの愛とファンへの感謝を込めて制作に励む現在の円谷プロの姿勢、それに惹かれて今なおウルトラマンを愛し続けるファンを蔑ろにするような発言をし、会社として必要不可欠なビジネスに積極的な現在の円谷プロを「金の亡者」と批判しながら、言ってることは結局「金が全て(=採算度外視してでも作れ)」である。この何から何まで矛盾している発言に、ファンからは怒りと呆れの声が寄越された。
そもそもこのような演説をしている理由は定かではないが、「祖父の夢を今度は海外で実現したい」という発言があるように、あわよくば海外展開の主導と実権を握ろうとしていたのではないかという考察もある。
「アメリカの地裁で勝ったとしても裁判は5年は続くため『世界的に全部できる』というのは無理がある。和解したほうが賢明」などと言っていたが、その後の高裁でも円谷側が勝訴し、最高裁への上告はされず、5年どころか僅か2年後の2020年に円谷プロの完全勝訴となり、チャイヨーの海外版権がアメリカの司法で二度の裁判の末に否定され、残ったタイ王国での判決も追認されたため、英明は文字通り全てを失うこととなった。
さらに最大の後ろ盾であったチャイヨー創設者のソムポートも2021年に死去し、彼を取り巻く状況は完全に詰みに入った。
一方の円谷プロは、YouTube限定配信の完全新作『ウルトラギャラクシーファイト』で国内外から高い評価を得たほか、その後の『Z』や『トリガー』のweb配信でもいの一番に海外ユーザーからのコメントが付くことも珍しくなくなった事、こちらにもあるように海外でも非常に盛況であり、英明の「国際展開は無理」発言は真っ向から切り捨てられることとなった。
総評
功績
- 予算管理をしっかりすることでこれまでの経営体制を改善し、立て直そうとした
- 従兄弟の一夫の浪費による経営怠慢に対して苦言をし、予算管理と作品のバランスをとろうとした
- 「後ろ盾が無いまま経営怠慢と採算度外視が常態化すると後々地獄を見る」「クリエイターあがりに経営は不可能」という事実を改めて世に知らしめた
失敗・罪
- こだわりゆえに『ネクサス』を打ち切り、劇場版の製作も中止し、関係各所に大迷惑をかけて会社の信用を失墜させ、倒産寸前に陥れた。にもかかわらず、赤字を最小限に抑えることができたと手柄であるかのように自画自賛した
- 商業に対する否定的な姿勢を変えようとせず、火の車戦法でもなんとかなった過去の栄光にしがみつき過ぎた
- 自分がやろうとしたことができている現在の円谷プロを逆恨みし、バッシングした
- 『メタルカイザー』でも懲りずにこだわりから制作を打ち切り、家族やスタッフ、他の関係者に多大な迷惑をかけたにもかかわらず、著書で中国側を一方的に悪者扱いした
- 予算管理に失敗し、結局採算度外視の考えに至った
- 今のウルトラシリーズを全否定し、制作陣と多くのファンを蔑ろにする発言をした
- 一族の残した権利問題の尻拭いをしている現在の円谷プロ役員の苦労を考えず、チャイヨー側に付いてバッシングした
英明の功罪をざっと挙げるなら、こんなところだろう。何より、追放後に『メタルカイザー』以降の失態さえ起こさなければマイナス評価は免れ、同情されていたに違いない。
社長職解任の原因であるNプロジェクトの打ち切りも、作品が後に再評価されるには正しかったのかもしれないが、これはあくまで結果論でしかない。破綻した経営体制を何とかしようとしたまではよかったものの、それ以降の所行が炎上を招いたのである。
やたらと祖父である御大の遺志を引き合いに出すが、御大の嫌うマンネリを礼賛し、彼の生み出した様々な変化の魅力に溢れた彩り豊かなコンテンツを「偉大なるマンネリではいけなかったのか」とその御大の遺志に反するような発言をしている。
彼のその後や、それまでの円谷一族の行動を鑑みれば、TYOが円谷プロを買収した時に最初に行ったのが「円谷一族の追放」だった理由がよくわかるだろう。事実、ファンの間でも「円谷一族は追放されて当然の無能」「昔の体制は明らかに異常。一族の追放で会社として正しい在り方に戻れた」「円谷御大の志はもうさすがに時代遅れ」「会社として絶対にやるべきことができていないし、やろうとする意志すら無かった」「乗っ取られて本当によかった」という見方が主流になっている。
採算度外視に関しては、英明からの警告を無視してきた一夫らこれまでの社長の責任でもあるが、結局は英明も同じ事をやらかしてしまった。
当たり前の話だが、いくら金をかけていいものを作ったところで必ず評価されるわけでも、商業的に成功できるわけでもない。ましてビジョナリーもマネジメントもなく、会社としての体を成していない同族経営時代ではなおさらである。円谷に限った話ではないが、優れたコンテンツを持っていたとしても、それが必ずビジネスに結びつくわけではないし、それで会社を潰してしまったら元も子もない。
現在の円谷はウルトラマンを私物化云々~と批判しているが、私物化も何もウルトラマンはプロダクションの著作であって立派な会社の資産であり、そんな会社の顔とも言えるキラーコンテンツを保有しておきながら何度も経営難に陥ったり、キャラビジネスを展開する上でやってはいけないことを何度もやらかしたり、後先も協力者の迷惑も顧みず資金を無駄遣いし続けたことを考えれば、真にウルトラマンを私物化していた金の亡者だったのは英明含めた円谷一族の方と言える。そして一族が最も軽視していた"商売"として付き合っていたバンダイの方が最もウルトラシリーズを大事にしていたというのは皮肉としか言いようがない。
さらには借金を抱えたまま会社を追われた自分たち一族に代わり、借金を完済し残された権利問題の尻拭いをしている現在の役員の苦労を微塵も考えず、感謝するどころか不満と文句を垂れ流し、敵側に付いて批判するという行いをやってのけたことも大きい。しかも、自分ら一族が40年以上かけてやろうとして結局できなかった予算管理がきっちりできており、株式会社として当然のことが出来ている現状が相当悔しいのかそれすらも良くないものと否定し、一族の過去のやり方に倣うべきだと主張しており、発言内容が二転三転変わって全く一貫していない。
作品の好き嫌いはもちろん個人の自由だが、そもそもウルトラマンが今の形になったのは自分たち一族が、少なくとも『ティガ』から『メビウス』のころまでにやらかしたことのツケである。また、それを抜きにしても、借金を完済したことに感謝しないどころか金の亡者と批判した事が鼻つまみになる決定打になったのは疑いようがない。
彼に便乗して現行作品を批判する声もある程度存在するが、その批判内容は過去作にも該当するところが多く、それ以前に彼自身が会社を傾かせる引き金となり、作品を打ち切ったことで多方に大迷惑をかけ、挙句の果てに逆恨みまでしているので鵜呑みにしてはいけない。そもそも英明自身が昭和二期以降の全シリーズを無価値と主張している時点で、第二期以降も好きならなおさら乗せられてはいけない。
そのため、現行を批判する声に対し「何を思ってもいいけど良くも悪くも今の路線になった原因の円谷一族だけは引き合いに出さないでほしい」という声もある。実際、現行に否定的な懐古厨にも、英明の現行批判に対し「自分とは一緒にしないで」といった意見はある程度存在する。
なお、現在では派遣社員としてホテルの結婚式場で衣装運びなどをしているらしい。
上記の通り、行動を共にしていたソムポート氏はすでに故人であるため、今後の動向は不透明である。
追記
自著にて自分も含めた円谷家の現状について少しだけ明かしている。それによると、かつては御大やその長男で英明の父にあたる一の命日には親族揃って墓参りをしていたが、現在では相次ぐお家騒動の影響で一族の確執は修復不能なまでに凝り固まってしまい、顔を合わせると気まずくなるため時間を変えて個別に参拝しているという。