CV:津田健次郎
概要
映画『シン・ウルトラマン』に登場する外星人で、従来のザラブ星人に相当する。
正式名称は、「外星人第2号ザラブ」。
顔付きはよく知られているザラブ星人だが、顔の銀の部分が少なく耳状の飛び出たパーツが存在しない成田亨のデザイン画に近いものとなっている。
また、カラーリングもデザイン画に準じて白や青を基調とした淡いイメージになっている。
さらに従来のザラブ星人と違い、両目や頬の窪み、掌も発光している。
掌を発光させ電子機器に干渉したり、相手を眠らせる催眠能力を有する。
ちなみに、車に乗っているシーンから神永とほぼ同じ座高らしい。
ここから先はネタバレです。未見の方は注意!
「好奇心は身を滅ぼす。元公安の性とは言え、君は多くを調べ過ぎる」
暗躍とその目的
本編では布で全身を包み、帽子で目元を隠した公の場に出るための姿も披露しており、このスタイルだと背がかなり低くなる。
また、体は後ろから見ると肉抜きしたかのように大きく抉れたように見えるが、設定上は前半分のみの光学迷彩を解除した状態であり、後ろ半分は単に透明になっているだけである(ザラブの薄っぺらい本質を表現しているようにも見える)。
要は、実際には後ろ半分の肉体や内臓もちゃんと存在しており(劇中では透明の背中に瓦礫が直撃しているシーンや、ウルトラマンに背中を掴まれるシーンが存在する)、それらが完全に透けているために体の前半分とその裏側のみが浮いているように見えているという状態である。
この状態はにせウルトラマンの擬態が解けた後も続いており、常に後ろ半分が透明なのか、ザラブの意志によって全身解除可能なのかは不明。
突如禍特対対策室に出現し、人類との友好関係構築の第一段階として日本政府との友好協定締結を提案した。
その際に、強力な電磁波を発生させてしまったことで電子機器が機能停止した上に禍特対の所持するデータが全て消えてしまうという事態が生じたが、彼は「損害の保障」と称して電子機器及びデータを全て復旧させる。
その後、総理大臣との面談で日本政府と友好協定を締結したのだが、その内容は人類にとってはあまりにも不平等なもので、しかも諸外国への接触もちらつかせて国家間の不和を煽ろうとするなど、次第に不穏な行動へ出始める。
その正体は、原典の初代ザラブ星人がそうであったように、マーカーを確認した天体へ赴いてその星の知的生命体を滅ぼす破壊工作員(ザラブ本人曰く「それが私の仕事」)であり、その目的は「ゆくゆくは人間同士を争わせて最終的に自滅に追い込む」という極めて悪辣なもの。
自身の役割については「ホモ・サピエンスが自分たちの都合で害虫と判断した生物種を虐殺するのと同じ事案」と語るほど冷酷な性格であり、ザラブ個人としても人類に対して「高度な認知力と科学力を有していながら、未成熟で無闇に増殖する秩序の無い危険な群体」と軽蔑し、「滅ぼすに値する」とまで言い切っている。
ザラブの本性に気づいた神永/ウルトラマンは阻止しようと動き出したが、ザラブは既にそれすらも察知しており神永と接触。
彼を眠らせ別の場所へ監禁させた。
「君はもう私の物だ。ウルトラマン」
その後、自身はにせウルトラマンに変身し、自衛隊の横須賀基地を襲撃。
人類にウルトラマンの存在を危険視させることでウルトラマンを抹殺しようとし、さらにはベーターカプセルで変身する神永の映像をネットへ流出させ、日本政府に対しても自身が持っているスペシウム133などウルトラマンに関する情報を引き換えに「ウルトラマン抹殺計画」を提示、彼らに抹殺を促した。この計画に防災大臣は納得していなかったが、ザラブは「次にウルトラマンが現れた時、彼が如何に危険な存在かが分かる」と、自身の本性を棚に上げてウルトラマンへの敵対心を煽った。
その夜、再びにせウルトラマンに変身し、都市部に出現及び破壊活動を開始する。
しかし、神永が残した証拠(アナログであるためザラブでも対処不可能)と神永の元同僚の加賀美(演:和田聰宏)からの情報を頼りに監禁場所を特定した浅見弘子に神永を救出されてしまう。
そのため、浅見を抹殺しようとしたが、神永がウルトラマンに変身したことで偽物であることが露呈、格闘の末に擬態も解けてしまい本来の姿が曝け出される形となった。
それでも尚波状の光線を使ってウルトラマンを苦しめ、あのスペシウム光線すらも相殺した。
その後、ウルトラマンと空中戦を繰り広げるも終始ウルトラマンに圧倒され、ウルトラマンのスペシウム光線は波状の光線で相殺することができたものの間髪入れずに八つ裂き光輪を喰らってしまい、真っ二つに切られて爆散した。
だが、これにより神永の正体は世界中にバレてしまい、政府機関に狙われてしまったため禍特対に居られなくなり、身を隠す羽目になってしまった。
さらには日本政府も半ばザラブに騙された形となったため、国連やG9をはじめとした関係各所に謝罪行脚することとなった。
後に、ザラブの行動は彼が裏で糸を引いていたことが発覚する。
ちなみに、今作のザラブの擬態性能は非常に高く、ネロンガと同様に透明化できるだけでなく、ウルトラマンにかなり近い姿(足と目付き以外はほぼ本物)に擬態できるなど、原典のザラブ星人と比べると驚くべき高性能ぶりを発揮した。
余談
- 今作の脚本・監修を担当した庵野秀明氏はウルトラマンシリーズの中でザラブ星人が大好きと度々公言している。今作にザラブが登場するのは必然だったのかもしれない。
- 初代ザラブ星人の小道具として印象的な「宇宙語を翻訳できる携帯型電子頭脳」についても、本作では「スマートフォンに入れたアプリ」という設定で登場している。
- CVを担当する津田氏は特撮版のウルトラシリーズに本格的に初出演。過去にアニメの漫画版ウルトラマンのエージェントに出演した経験がある。喋り方も初代ザラブ星人の冷淡なイメージを踏襲している。
- 戦いの最中、原典のウルトラマン対にせウルトラマンにて、本気でチョップをしてしまったせいであまりの痛さに素でリアクションを取ってしまったシーンがそっくりそのまま再現されている。なお本作のウルトラマンのモーションキャプチャ担当には古谷敏と庵野秀明の名前が含まれているが、このシーンをどっちが担当したかは不明。ただ、前述の様に庵野秀明氏がザラブが大好きであることを考慮すると大体の察しがつく。
- ソフビ人形は2022年6月に発売。クリアー素材を使用し、透明になっている背面も再現している。
- 物語終盤、新たに地球へ来訪した光の星の裁定者は、人類を「他の星の知的生命体に利用される生物兵器になり得る存在」と見なし、結局はザラブと同じように人類を地球ごと滅却する判決を下している。当然ザラブが現れた時点ではこの裁定はまだ下っておらず、ザラブもそれを予見していたとは限らない上、ザラブが明確な悪意を持った外星人である点も忘れてはならない。だが、この裁定により件の裁定者にとってザラブの行動は「(かなり先走りとは言え)正しかった」と言えなくもない案件となってしまっている(最終的にその裁定は当人によって撤回されたが)。
- 撮影の際に、ザラブの黒ずくめ衣装の撮影時の検証を目的に原典のザラブ星人のスーツを借用している(撮影時期が2019年であったため、おそらく『ウルトラマンX』や『ウルトラマンR/B』、『ウルトラマンタイガ』で使用されたスーツと同一かと思われる)。
関連項目
スクルーダ星人・アダド:上記の通り『ULTRAMAN』に登場するエージェントで、中の人繋がり。ちなみにアダドとザラブ星人は作中で敵対関係にあった。
蛭川光彦:同じく悪意をもってウルトラマンの正体を意図的に世間にバラす暴挙を起こした者。こちらは地球人である。
ベイル:同時期に放送されている『仮面ライダーリバイス』に登場する悪魔であり、中の人も同じ。こちらも、当初は物腰柔らかな形で相棒と接していたが、それはあくまで表面上であり、本性はザラブと同じく狡猾かつ卑劣な性格である。
ミステリオ(スパイダーマン):ザラブ同様、映画で主人公に濡れ衣を着せ、同時にその正体を世間にバラしたヴィラン。