「ずっと…「夢」をみていた……」
「たった一人の人間と戦う夢」
「再戦を」
概要
CV:杉崎亮
主人公・ベル・クラネルにとっての好敵手。また作者曰く異端児編における猛牛(ヒロイン)とのこと。
人物像
口数は少なく、外見とは裏腹に低い声音と静かな語調から、「孤高の武人」を彷彿とさせる。彼の持つ願望から常に闘争に餓えており、強者との闘いでは思わず笑みを浮かべるほど。
普段は後述の通り迷宮(ダンジョン)でも最も過酷な場所とされる深層で修行しており、作中ではオッタルと並んで単独での長期活動が可能なチートキャラである。
ベル・クラネルがLv.1の時に戦って討ち取った片角のミノタウロスの記憶を持っており、「アステリオス(雷光)」という名も前世で最後に見たベルの魔法【ファイアボルト】から付けたもの。
他の異端児達が地上や人類に対し強烈な憧憬を持っているのに対し、アステリオスの願望は『夢の中で見る人間との再戦』、すなわちベルとの再戦と決着こそがアステリオスの憧憬であり願望である。
一方、アステリオス自身も他の異端児達に対して「闘争への餓え以外の感情」を抱かせてくれる存在として仲間意識や大切に思う感情も持ち合わせているが、自らの憧憬が他の異端児達の憧憬…つまりは「人間との共存」の妨げになっている事も理解し、内心苦悩や後ろめたさも抱いている様で、彼等の憧憬の邪魔だけはしないよう、距離を置く形で一人行動している。
言わばアステリオスは、「異端の存在の中でも更なる異端の存在」なのである。
異端児の中では新参者ではあるが、その実力は作中トップレベルで、純粋な力のみで戦術も戦略も覆してしまう事の出来る存在。作中では異端児討伐の為にリヴィラの街に集まった多くの上級冒険者や第二級冒険者として間違いなくトップクラスのリュー・リオン、アイシャ・ベルカ、アスフィ・アル・アンドロメダを打ち負かし、Lv.5の中でも上位としられるシャクティ・ヴァルマ率いる【ガネーシャ・ファミリア】の精鋭部隊をもたった一人で全滅させ、同じくLv.5のディックス・ペルディクス(かなりの重傷を負っていたが)も瞬殺している。
そして、【ロキ・ファミリア】のLv.6の幹部であるベート・ローガ、ティオネ・ヒリュテ、ティオナ・ヒリュテの三人を同時に相手した際も互角以上に渡り合える程のポテンシャルを誇り、並みの上級冒険者でも彼が放つ咆哮(ハウル)を受けただけで戦意喪失してしまう程。しかし、アイズ・ヴァレンシュタインとの戦闘では右腕を切断されているが、それでも構わずに戦闘を継続しようとする驚異的なタフさを見せる。
更にアイズ達の推察によると、その実力は未だ成長途中であり、今後無視できない脅威としてギルドにより潜在能力をLv.7と定められ、第一級の賞金首(バウンティ・モンスター)として記憶されることとなった。そもそも生まれて3ヶ月ちょいしか経っていないので技も駆け引きもまだまだ向上するに決まっている。
一方、「同胞」である他の異端児達の憧憬を尊重しているのか、狂暴そうに見えて実は自分に戦いを挑んで来ない者や戦意を失った者に対しては全く殺していない所か攻撃もしていない(…というより全くの無関心で、相手にすらしていないと言うべきか…)。むしろ、強者との戦いはともかく、弱者を一方的に殺す様な戦いは嫌っており、深層の過酷な戦いでも弱いモンスターとの戦いには苛立ちさえ覚えている程。ただし、自身の「決闘」に横やりを入れようとする「無粋」に対しては、殺しこそしないが、容赦もせず叩き伏せる。そして、「同胞」達を傷つけた者に対しては、相手が誰であろうが、戦えない状態であろうが、一切の容赦も無く殺す。
作中では、あまりにも抜きん出た強さから深層種であるブラックライノスの亜種だと考察されていたが、外見的特徴や咆哮(ハウル)といった固有能力を扱える点等からもミノタウロスの異端児であるのは間違いない。
あくまでも強いのは、生まれた時から迷宮(ダンジョン)の深層でモンスターと壮絶な殺し合いを続け、強化種となっていたのが理由と思われる。
元々ベルがLv.2になった際黒いミノタウロスの目撃情報が入ったり、ベルの死闘を目撃したや何よりその片角のミノタウロスを鍛えたオッタルが彼に面影を感じていたりとヒントはあった。
さすがの「猛者(おうじゃ)」であるオッタルも、アステリオスがかつて鍛えた隻角のミノタウロスの転生した姿である事に気付いた際は、内心かなり動揺していた模様。また、アステリオス自身もオッタルに懐かしさの様な感情を抱いていた。
ヒロインと呼ばれる由縁
作中ではまさに闘争にしか興味がなく一度暴れ回れば周囲に甚大な被害を及ぼす破壊と暴力の権化のような扱いたが生まれ変わってまで一人の宿敵をただ一途に求め続ける様はまさに真のヒロインと呼んでいいのかもしれない。最初こそ読者から冗談まじりにヒロイン、猛牛と書いてヒロインと読むなどいじられまくっていたが実際に作中での目立った行動を振り返ってみると…
・異端児として転生しても白兎のことが忘れられず憧憬として求め続ける
・再開の際は雄叫びを上げ空から降ってくる
・いざ決闘が始まると他の冒険者の横槍を防ぐためハウルと拳で吹き飛ばす。
・ベルが抱えていた迷いと苦悩を消し去り新たに強くなる覚悟や目標を見出させる。
・異端児の件で非難を向けられていたベルの汚名を結果的に晴らす。
・クノッソス戦でベルが同じ戦場にいると察した際敵をそっちのけで向かおうとする。
等やってる事を振り返れば異端児編のメインヒロインと言っても過言でもないのかもしれない…。
因みにこの背景を悟ったフェルズはベルの事を「良くも悪くも、出会いの運命に愛された少年」だと呟いている。
そもそも作者曰くダンまちは元々主人公とミノタウロスとの戦いを書きたいと思ったのがきっかけであり3巻の片角ミノタウロスとの激戦を書き終えた時からベルの好敵手は牛しかいないと思ったほどらしい(声優も同じ杉崎氏でありアニメスタッフの粋な計らいを想起させる)。
作中で突然現れぶっ飛ばされた上にいきなり好敵手扱いされるベルだが彼自身もその後は戦闘の際アイズだけでなくアステリオスを思い浮かべ闘志を燃やすなど間違いなくお互いが目標であり無二のライバルだと認識しているようだ。
劇中の様相
本編登場前
アステリオスは生まれた時から、戦いに餓えていた。
「異端の存在」として同族のモンスター達が群れで襲い掛かって来ても、臆する事無く殴殺し続け、自分が何を求めているのかも分からないまま、孤独に無間地獄の如く続く闘いの日々を送り、どんなに自分の身体が傷つき壊れようとも構わずに戦い続けた。
そんな中、遂に限界を迎えて倒れていた所で、自身と同じく「異端の存在」であるリドやレイ、グロス達に救われ、「同族」ではなく「同胞」である彼等との触れ合いを経て、初めて自分の中に「餓え」以外の何かの感情が芽生える事になる。
同胞達と共に過ごす中、レイやリドから自分の中にある「餓え」の正体が、前の自分が見た「夢」であり「憧れ」、そして「願い」である事を教えられ、最初こそ意味は分からなかったものの、いつも夢の中で見ていた「光」の存在に気付き、再び相まみえて戦う事を望んでいた事が自身の「餓え」の真実である事を悟った。
その後、同胞達から知恵や強さを教わり、武器も得た事で、自ら深層へと戻る道を選び、再び自身を異端の存在として狙うモンスター達との無間地獄の戦いへ身を投じる。
自らの満たされない「餓え」がいつの日か満たされる事だけを望んで…。
本編登場後
一人迷宮(ダンジョン)の深層でモンスターと戦い続けている中、深層にまでやって来たアルルとヘルガの二匹から同胞達の暮らす「隠れ里」が、人間の集団である【イケロス・ファミリア】の襲撃を受けた為に助けて欲しいと懇願された事で、同胞達を助けるべく深層から中層へと移動を開始する。
18階層のリヴィラの街へ乗り込んだ際は、その圧倒的過ぎる力によって【ガネーシャ・ファミリア】の団長であるシャクティを一撃で倒し、アスフィやアイシャ【ガネーシャ・ファミリア】の団員達も単独で次々と倒し、リューもトドメを刺す寸前にまで追い詰めるが、ヘルガに遠吠えで呼ばれた事で彼女を見逃し、手に入れたダイダロス・オーブを使って【イケロス・ファミリア】の拠点である人造迷宮「クノッソス」へと乗り込む。
そして、同胞達を苦しめた【イケロス・ファミリア】の団員達を次々と殺害し、最後にはベル達に瀕死の重傷を負わされ、クノッソス内を逃げ回っていたディックスを追い詰め、殺害した。
その後、【ロキ・ファミリア】を相手にして窮地に立っていた同胞達の前に現れ、幹部メンバーを一人で相手取り、瞬く間に戦況を覆す。
Lv.6の強者達を複数相手にする戦いに歓喜する中、魔法を使用したアイズによって片腕を切り落とされてしまうが、フェルズや【ヘルメス・ファミリア】が介入し、同胞達を守る事を優先して共に逃亡。一部の同胞を引き連れ彼らをダンジョンに逃がす為に、遭遇した冒険者達を蹴散らしていくが、同時に自身の追い求める憧憬を探し続けていた。
そうしている内にフレイヤの命を受け自身を探していたオッタルが目の前に現れる。
彼に何処か懐かしさを感じる中、今の自分の状態では勝てる相手ではないと察しながらも、圧倒的強者との出会いに喜び、彼に挑もうとするが、そこでオッタルから「この先にお前の求めるモノがいる」と聞き、その言葉に導かれる形で突き進んでいた末、遂に自分が生まれた時より追い求め続けていた憧憬と邂逅する事になる。
ずっと…「夢」を見ていた…
血と肉が飛ぶ殺し合いの中で、確かに意思を交わした、最強の好敵手
再戦を—自分をこうも駆り立てる存在が、いる
あの夢の住人と会うために、今、自分はここに立っている
自分の名は、アステリオス
名前を、聞かせてほしい
ベル「…ベル…ベル・クラネル…!」
ベル、どうか
再戦を…!
どこか哀しげに…だが、はっきりとした自らの意志をベルに告げた後、再び「出会い」を果たしたベルとアステリオスによる再戦が幕を開ける。
片腕を失い、大量の血を流し、多くの冒険者を相手取ってきたそれまでのダメージにより既に瀕死の身でありながら圧倒的な力でベルを追い込んでいき、日が上る中、最終的にはかつての迷宮(ダンジョン)での決闘の再現の様にお互いが向かい合う形となり、互いに最大の一撃を持って突貫。結果、ベルのスキルを使った英雄の一撃を破り、二人の再戦はアステリオスの勝利となる。
戦績は1勝1敗となり、次こそは決着を付けようと伝えその場を去っていった。
その後は同胞達と再会し、フェルズに傷の治療と仲間が回収していた片腕も直してもらい、更なる力を付けるために深層への修行に戻っていった。
二人の戦いはオラリオにいる多くの民衆や冒険者、神々が目撃する事になり、皆がその壮絶な戦いに目を奪われ、結果的に異端児を巡る事件によって一度は地に堕ちたベルの名声は強大な怪物にたった一人立ち向かった冒険者として再び讃えられる事になる。
また、この再戦と「冒険者としての初めての敗北」は、ベルにとっても特別なものとなり、ある意味で「今までの憧憬以上となる新たな超えるべき目標」として深く刻まれ、大きく変わりだす切っ掛けとなった。
アイズ「がびーん…」
本編ではそれ以降の出番は未だないが、外伝『ソード・オラトリア』の『都市の破壊者(エニュオ)』編終盤にて再登場。
第二次クノッソス攻略戦において異端児陣営の強力な援軍として呼び戻される。第一級冒険者クラスの実力者複数でさえ苦戦を強いられる精霊の分身『祭壇の支柱(スピリット・オルター)』をただの突撃で粉砕し、オッタル同様たった一人で祭壇の支柱を蹂躙してみせた。
戦いの中、【英雄願望(アルゴノゥト)】の大鐘楼の音を聞きベルも同じ戦場にいる事を察して、目を血走らせながら彼のもとに向かうという見事な猛牛(ヒロイン)っぷりをみせるが、その場は同胞達に静止されることとなる。ベルが強くなっていることを肌で感じながら歓喜し、自分も決着の為に更なる力を付けると誓い、祭壇の支柱にトドメを刺した。
時を超えた約束
また、アニメ放送終了後のダンメモサイドストーリーにて「アルゴノゥト」に登場するミノス将軍の生まれ変わりでもある事が判明。
アルゴノゥトはベルの前世なのでこれを考えるとあの日二人の雄は数千年越しの約束を果たしたことになる。
「ここでお前を討つ!私一人ではなく、姫と二人で!
本当に申し訳なく思う!だから--また会おう我が敵よ!
生まれ変わり、次にまた巡り合った時、今度は一対一で!
私達の決着を!」
「約束だ、『好敵手』よ!」
『夢』と出会い、『願望』に辿り着き、『再戦』へと至る。
英雄は回帰し、猛牛は吼え、好敵手の契りを果たす。
『約束』はここに。
さあ、決戦を---自分達の『冒険』の続きを。
ベルとミノタウロスには前世から続くとても強くて奇妙な縁がある。
二人の雄は到底断ち切ることの出来ない運命の糸で結ばれているのだ。
装備
- 両刃斧(ラビュリス)
アステリオスのメイン武装。彼の怪力に耐えられているのでかなりの業物と思われる
日々闘争を繰り返しているので常に血に濡れている
- 雷雷丸(かみなりいかづちまる)
雷の斧型魔剣。
【ロキ・ファミリア】との戦闘の際これを使用しティオネ、ティオナ、ベートを退けた。
ベートのブーツでも吸収しきれない程威力が高いがその後アイズによって右腕ごと切り落とされた。
実は、椿・コルブランドが外伝でレヴィスに殺害されたハシャーナ・ドルトリアに送った物なのだが巡り巡って彼の手に渡った(経緯は未だに不明)。
その後はリヴェリアにより彼女の手に返された。
因みに魔剣の腕に関してはことさら自分よりも上のヴェルフのネーミングセンスを真似たらしいのだがやはり後悔したらしい。
余談
アニメシリーズ1期第9話Web予告にてまさかのセリフ付きで出演。多くの視聴者の腹筋が崩壊することとなった。「正々堂々戦ったから悔いはない」「むしろ清々しい」と語っているが実際は当記事を読んで貰えれば分かる通り悔いありまくりである。最も当時はまだ原作も8巻発売前で異端児編も始まっていなかったが。
それもその筈、この予告に登場したミノタウロスの正体は「アーニャ・フローメルによる高真似」であり、アステリオスの本心など知る訳が無いのであった。
このセリフが好評だったのか、後に声を担当した杉崎氏は、晴れてアステリオス役として第3期で正式出演する事になった。
尚、アニメ8話で遂に名前が明かされ、アイズと戦う事になり、『ヒロイン同士の修羅場』等とコメントされた。しかも作者の大森藤ノ先生から。
関連タグ
ベル・クラネル:憧憬であり好敵手。
オッタル:前世の師的存在。その圧倒的な実力から彼を彷彿とする者も多い。
ウィーネ、リド、グロス、レイ、マリィ:同胞達。アステリオスにとって戦いによる餓え以外を芽生えさせてくれる存在達。同時に自分の憧憬が彼らの憧憬の妨げになってしまうことを理解し、距離を置こうとしている。
椿・コルブランド:アステリオスが持つ雷の魔剣の製作者。後にすぐ疑いこそ晴れたものの、この魔剣に関して椿はリヴェリアに問い詰められるハメになった。
アステリオス:本作に登場するアステリオスの元ネタで、ギリシャ神話に登場するミノタウロスの本名。