「ゆえに許されない、君という存在を」
機体データ
概要
ザフトが技術の粋を尽くして極秘裏に開発を進めていた試作モビルスーツ。
「プロヴィデンス」は『摂理、道理』を意する語であるが、設定では『神意』『天帝』と訳している。
パイロットはラウ・ル・クルーゼ。
ファーストステージシリーズのガンダムタイプのうち、元々はCE71年5月5日に完成していた格闘戦用の重装甲機体であったが、特異な空間認識能力を有するクルーゼがパイロットに決定したためドレッドノートで実用化された「ドラグーンシステム」の搭載機に改装された(なお、本来の姿である格闘仕様のビジュアルは今なお明らかにされていない)。そのため、本機が最後のファーストステージシリーズとなった。
同装備の採用によって敵機に接近されることなく殲滅する一対多戦闘も可能となったが、それゆえに起こった重量増と変化した機体バランスはスラスターの増設によって補われており、全領域MSとミサイリアー的なMA双方の性質を持った機体といえる。とはいえその重装甲とビームサーベルの搭載により白兵戦も可能であり、標準的な汎用性は付加されている。
活躍
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において出撃し、ムウ・ラ・フラガのストライクをものともせず、機動力と火力の双方で圧倒し中破させたのを皮切りに、バスターなど多数のMSを一方的に撃墜する圧倒的な戦闘力を見せる。
その後同じく核動力機であるフリーダムと互角の激戦を演じるが、ドラグーンの大半を撃ち落とされて両腕も破壊され、最期はコクピットをビームサーベルで貫かれたところをジェネシスの発射に巻き込まれて核爆発を起こし、機体は消滅した。
僅か2話しか登場しなかったものの、機体デザインのインパクトの強さと、フリーダムに敗れたとはいえラスボス機に相応しい圧倒的な戦闘能力を見せつけたことからパイロットのクルーゼ共々人気の高いMSの一つ。
武装
MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲
頭部及び肩部に装備された牽制・迎撃用機関砲。
MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル
ゲイツやドレッドノートで採用されたビームライフルの流れをフィードバックしつつ、近距離戦闘に持ち込まれないよう射程と出力を重視している。それ故に大型化し肩に担ぐようにして使用されるため、取り回しには難がある。
MA-V05A 複合兵装防盾システム
ゲイツやドレッドノートで採用された複合兵装防盾システムの流れをフィードバックしつつ、シールドと大型ビームサーベル、二門のビーム砲を一体化させた攻防一体の兵装。
左腕にはめ込む形で装備される。
格闘と射撃を迅速に切り替えられるため、利便性が高い。また、対ビームコーティングが施されているために白兵戦の際は肉弾戦から姿勢を変えずそのままビーム防御ができる。
その反面、本機体はこれ以外に近接武装を装備しておらず、これが最終局面・フリーダムとの一騎討ちにおいて明暗を分ける結果となった。後述の初期設定を考えると皮肉である。
ドラグーンシステム
合計11基の無線誘導式のビーム砲台。
ドラグーン単体で姿勢制御スラスターと複数のビーム砲を有しており、円錐形は9門×3、板型は大を2枚、小を6枚装備しておりそれぞれ2門×8、合計砲門数は43門にも及ぶ。
これらによって「360度全方位に気を配りながら戦う」という無理ゲーを敵に強いることになり、よほど能力が高くなければまず防ぎきることは不可能。パイロットの技量次第ではビームをカーテンのように展開し、防御に用いることも可能。また板型はカッターとして用いることが可能で、砲撃から接近戦に転じることもできる。
背中の板型の二基は前後に傾けて砲撃することも可能だが、劇中では使用されていない。
元々搭載が設計に組み込まれていなかった後付け装備であるため、エネルギー供給と量子通信のためのケーブルが左右三本ずつ、本体胸部と背部のプラットフォームを繋ぐ形で露出してしまっている。
開発陣もこれはまずいと気づいたらしく、このケーブルをPS装甲で保護する対策をとっており、多少の被弾には耐えられるようになっている。
この他にも核搭載MSかつマルチロックオンシステム対応機種なのでミーティアとのドッキングも想定されていたが、その際にはバックパックを外さなければいけない。
関連動画
バリエーション
プロヴィデンス(初期型)
完成当初のプロヴィデンス。背部バックパックに4本の大型ビームサーベルを装備しており、前述通り格闘戦を中心とした重装甲機体となる予定であった。
PS2用ゲーム「機動戦士ガンダムSEED 終わらない明日へ」のMSV編のオープニングにワンカットだけ登場するが、このバストアップの作画があるだけで、詳細は明かされていない。
レジェンド
プロヴィデンスの後継機。こちらは設計段階からドラグーン搭載を前提としている。
詳細はレジェンドを参照。
二クスプロヴィデンス
「ライブラリアン」による再設計機。詳細は個別記事を参照。
立体物
ガンプラ
1/144はコレクションシリーズとHG SEED1/144、1/100はSEED 1/100がリアルタイム時に発売。
ドラグーンはコレクションシリーズ以外全て分離可能。しかし最近ではスタンダードになっている飾り用の台座はない。
HG SEED1/144は当時としてはかなり色分けが優秀でシールが少なく、パッケージ横にもそれが宣伝されていたほど。要塗装箇所はバルカンやセンサー、肩ダクトの先端くらいしかない。
1/100も同様にシールが少なく、HGで要塗装だった箇所も色分けされており非常に出来が優秀だったが、それゆえMGが出しづらい状況にあった。
放送15年目の2017年3月にようやくMGが発売。MGフリーダム Ver.2.0のフレームをベースに作られているが、こちらは過剰なアレンジはなく、これまでの立体物同様のギミックが盛り込まれたほかディテールの細分化により情報量を増やしたに留まっている。
ザフトロゴマークの台座とフリーダムと共用のデカール付きのハイエンド版のG.U.N.D.A.M エディションと同時発売。初回生産ロットのみ箱が箔押し加工という仕様だった。ちなみにファーストステージシリーズで表舞台に出た残りの一体であるジャスティスも三ヶ月後にMG化している。
後にプレミアムバンダイ限定で各所をメッキやグロスインジェクションに変えたスペシャルコーティング版が発売。
アクションフィギュア
リアルタイムでの展開はなく、DESTINYの放送後にMS IN ACTIONが発売された。
こちらも全ドラグーンが脱着出来る。
その後、プレミアムバンダイ限定でROBOT魂が発売。
ドラグーン射出エフェクト付きとはいえ、18m系機体では異例の10000円越えが衝撃を呼んだ(同シリーズのフリーダムとジャスティスはおよそ半分の5500~6000円)。また、同シリーズのフリーダム初回限定ロットに付属したデカールに対応している。
2021年にはMETAL ROBOT魂でも発売。クシャトリヤ顔負けの大量のドラグーンエフェクトが付属している。ROBOT魂から価格が1.5倍に跳ね上がっているが、2倍以上に値上がりしているフリーダムやジャスティスと比べれば大分安く感じる。
余談
設計が終わった段階の機体にドラグーンを後付けした急ごしらえの改装で、ガンダム世界におけるMSのアドバンスが人型ゆえの姿勢制御能力に起因する事を鑑みれば、そのコンセプトは旧来式のMAや戦闘ポッドの特性も加味されたと言える。
機体色はRX-78を意識したトリコロールで、プロヴィデンスという機体名も1stガンダムを神となぞらえた小ネタが入り込んでいる。また本編ではジオングをも意識したためかダークトーンであるが、立体商品ではトリコロールを強調するために明るいカラーリングがなされる事も多い。
また、背部には神の象徴となる光背をかたどったバックパックを持っており、神意にまつわる機体らしさを強調する。一方でラウ・ル・クルーゼの声優を務めた関俊彦氏は「亀」になぞらえていたり(後にSDガンダム用デザインで本当に甲羅を背負ったプロヴィデンスが描かれもした)、その形状をさいたまと呼ぶネットミームもみられる(なんでさいたまなのかは該当タグの投稿を参照のこと)。
そのマッシブな威圧感がドラグーンシステムによるものが大きいのは当然であるが、実はそれを背面から外した状態でも本作はおろかCEシリーズに登場するどのMSと比べても体格が随一にゴリマッチョである。前述の通り元は格闘戦重視で設計されていたとあるが、機動性よりもパワーでゴリ押すタイプだったのだろうか?
関連イラスト
関連項目
レジェンドガンダム・・・直系の後継機
董卓プロヴィデンスガンダム:『SDガンダムシリーズ』の作品、『SDガンダムワールド 三国創傑伝』に登場するプロヴィデンスガンダム(及び董卓)モチーフの登場人物
ガンダムエピオン、ガンダムヴァサーゴチェストブレイク:プロヴィデンスと同じ形番に13を持つラスボス機体。
ガンダムデスサイズ、ガンダムデスサイズヘル、ガンダムデスサイズヘルカスタム:上述のレジェンドと合わせて同じ中の人が演じるキャラが搭乗するガンダムタイプ。