ヒツジ
ひつじ
本項では生態・畜産・ヒツジの種類に関して解説する。関連キャラクターなどは羊を参照。
概要
哺乳綱偶蹄目ウシ科ヤギ亜科の動物の内、渦巻状のツノを持ち、目や蹄の間に臭腺が発達する動物群ヒツジ属の総称。名前は養育用の獣を指す「養(ひだ)すシシ」から説、刈るとまたもふもふになるところからイネを刈ると出るヒコバエ(ひつじ)に見立てて、説などがある。
特徴
羊毛(wool)と呼ばれる縮れた毛をもつ。毛を刈って衣料に使われる。
また品種によっては肉食用、乳を食用にするものもある。
角はオス・メスの両方にあり、メスの角は短くまっすぐだが、オスの角は長くて曲がったり、ねじれたりする。ねじれたものをアモン角と呼ぶ。品種によって、まったく角をもたないもの、雄雌両方にあるもの、雄だけが角を持つものもある。
野生のヒツジは茶色で、色合いには幅広いバリエーションがある。
家畜のヒツジの色は純白から濃いチョコレート色まであり、斑模様などもある。
水平に細い瞳孔を持ち、優れた周辺視野をもつ。視野は 270°-320°で、頭を動かさずに自分の背後を見ることができる。 しかし、奥行きはあまり知覚できない。群れをつくる習性を持つ。
おとなしいイメージが強い動物であるが、怒らせると結構怖い。
発達したツノによる頭突きは強力である。
草食性ではあるが結構何でも食べ、非常に食い意地が張っているため、六甲山牧場などの観光牧場などでは客が弁当を広げていると襲ってきておにぎりやおかずを食い荒らされるという事件が多発している。
山羊をヒツジの群れに混ぜる事もある。勝気な山羊はヒツジ達のリーダーになるため、これを引いて歩けば群れを誘導できる。
繁殖力も高く、兎と並んで性的なイメージを持たれてしまう事もある。
利用
毛を利用する種類の場合、刈った毛は洗浄して脂分や汚れを取り除いた後、「カーディング」と呼ばれる梳き作業を経由して糸状に紡がれウールとなる。
衣料品の材料としてポピュラーだが、近年では断熱材などにも使われる。
食肉用とする場合は生後1年未満をラム(lamb。雄羊の「ram」とは異なる)・生後2年以上をマトンと呼び、日本ではジンギスカンの材料としておなじみ。因みにモンゴルではお鍋が普通。
教義上豚(ダシやゼラチンも含む)その他を食べられないイスラム教信徒用の食材としても、鶏肉と並んで愛用される。
ヒツジに対する文化的イメージ
日本でヒツジが本格的に飼われ出したのは明治時代以降のため、これといったイメージはない。平安時代には宮中で大事に飼われる珍獣であり、室町時代にも称光天皇がペットにしていた。江戸時代にも珍獣扱いは変わらず、幕府の薬草園で試験的に飼われていた。平賀源内が「養殖目的」で飼っていたらしいのだが「天才の奇行」で済まされている。近代には洋服(特に防寒具)の材料として、おもに北海道で飼われるようになり、前述のジンギスカン鍋もその過程で生まれた。
牧畜に適した地域(ユーラシア大陸の内陸部など)では馴染みのある動物で、中国料理でも特に北方で使われる。ユダヤ教・キリスト教文化圏では古くから羊は神の信徒としてのイメージが強く神への捧げものの定番でもある。
余談だが、眠れないときに羊を数える。というのは英語圏だけで通用する(Sheep⇒Sleep)話であって、一般の日本人には無意味だったりする。
むしろ、羊の細部を想像するのが困難なので、余計に眠れなくなる恐れもある。