概要
CV:小野大輔(2016年OAD版)/津田健次郎(2018年TVアニメ版)
ミサイル発射孔をそのまま利用して建てられた「エバンズ刑務所」に投獄されていた。
戦闘能力
壁面に目立った突起がなくとも、僅かな錆、或いは傷のようなものがあればそこへ指を引っ掛け、そのまま100mもの距離を登りきることが出来る。
クライミングのプロ曰く「出来る出来ないは別として、もし登りきるのであれば、天井につけられた数cmの釘を掴み、その状態で短編小説を悠々と読み切るぐらいの力が必要」
「でもそれが出来るのって人間じゃない」と評されている。
それに準じて握力も強く、中指の第二関節を突出させた状態で拳を握り、高速で拳を振ることで突出した部分で相手を切り裂くという通称「カーヴィングナックル」という技を得意としている。
切れ味はえげつなく、顔面をやすやす切り裂き足首を切って立てなくさせたりできるレベル。
腕を振る速度や手首の角度を調節して単純な打撃として繰り出すこともできる模様。
またその他にもドロップキックも得意としており、劇中ではトドメなどに多用している。
看守達の評価であるが「純粋な闘争でガーレンが勝てるわけがない」と言われるまでの身体能力の持ち主。このため、脱獄が発覚したときは真っ先にガーレンの保護に看守たちが向かったほどだった。
他の死刑囚よろしくキタナい手も用い、落ちていた灰皿、ガラス片、画鋲、釘など利用できるものは平然と利用する。
とはいえ他と比べれば幾分自身の身体能力やスキルを駆使した戦いをし、奇襲・騙し討ち・凶器攻撃・泣き落としなど日常茶飯事のバキワールドの中では良心的。
「シコルスキーの身体能力は特別中の特別」と評されており、もし悪事に手を染めなかったらロシアにいくつもの 金メダルを渡していたとまで言われる。
そのほか相手の戦力分析にも長けており、敵の戦力分析や状況に合わせた戦術の切り替えにも長けているが、敗北を知らないがために自分に対する評価はどこまでも高く、自己分析は正確に行えていなかった。この欠点が彼を破滅へと導くこととなる。
来歴
ある日「敗北」を知りたくなったシコルスキーは鏡のようにツルツルな100mにも及ぶミサイル発射孔を指の力だけで登りきるという神業を披露して脱獄。
大雪原を突っ切って通りすがりざまに『ロシアの英雄』アレクサンダー・ガーレンを襲撃。ガーレンにトラウマを植え付けるほど叩きのめして一路日本に向かった。
日本に着くや否やデビュー前の柔道出身のプロレスラー・舘岡を襲撃、「ヨーイドンさえしてくれれば十分に暴れてやる」と豪語する舘岡にヨーイドンをくれてやり、一方的に痛めつけてみせた。
「『ヨーイドン』でしか走れぬものは格闘技者とは呼ばぬ 試合とは読んで字のごとく、あくまでリハーサルに過ぎない」
「リハーサルは何度やってもリハーサル 本番ではない」
大切な新人ファイターを潰され怒った猪狩完至に攻撃されるが、咄嗟に灰皿でガードして拳を潰し、ドロップキックをぶちかまし、顔を切り刻んでトドメを刺し勝利。
その後は徳川光成の引き合わせで地下闘技場へ案内され、格闘家との対決を誓わされた。
その後は復讐に燃える猪狩とその部下2名に襲撃されるがあっさり返り討ちにし、土下座で謝罪する猪狩に対し「図が高い」と「土下寝」を返し、バーベルやらダンベルやらでボコボコにして首を掻き切り重症を負わせ、挙句放尿してその場を立ち去った。
この直前には地下闘技場の戦士たちの顔を思い浮かべながら「全員食っちまうのもいい」と不敵な笑みを浮かべるなど、強者としての抜群の存在感を持っていた。
ここまでが絶頂期であり、その後彼の壮絶な転落人生が始まる。
本気の範馬刃牙と闘う為の算段であったが、地上最強の生物たる勇次郎にも勝負を挑もうとし、直後に乱入したビスケット・オリバに止められ、一触即発の空気となる。
「幸運ダ… 地上最強ト地上最自由 コノ二人ト同時ニ戦ウチャンスナド、二度トナイト断言デキル!」
が、到着した怒り狂う刃牙と戦闘になり、ビルから蹴り落とされるが、お得意の指の力で壁面に掴まり、そのまま軽々登りきって戦線復帰。
「ラウンド2ゥ〜♪」
その後驚愕する刃牙にガラスの破片、画鋲などで翻弄し、ドロップキックをぶちかますと中々の活躍を見せる。しかし直後に警察が到着したためビルから飛び降りて逃走した。
…ここまではまだ良かったが、この後から徐々に転落していくことになる。
逃走した先で着替えていた所を刃牙に追撃され、何故か全裸の状態でバケツで視界を遮られた上でボコボコに殴られ、更に思いっきり金的攻撃を受け股間から大量出血。挙句乱入してきたビスケット・オリバにカーヴィングナックルを見舞うも、まったく通用せずラリアットを喰らいハデにぶっ飛ばされ、そのまま警察に引き渡され捕縛、御用となってしまう。
これでおとなしくなったかに思えたが懲りずに脱獄、怨嗟骨髄に染み渡る刃牙と戦うため、柳龍光と刃牙の戦闘に乱入し、二人掛かりで刃牙に立ち向かうも、運悪くその時の刃牙は童貞を捨て超絶パワーアップ中。柳共々びっくりするぐらい歯が立たず軽くあしらわれ、花山薫の干渉もあり逃げられてしまった。
その後猪狩の謀略にかかってジャック・ハンマーに出くわし、公園で公衆便所へ連れていかれ戦闘開始。
2mを超えるジャックとの身長差を埋めるため天井のスプリンクラーを自慢の指の力で掴み、ぶら下がった状態で戦闘するという芸当を見せるが、ジャックにスプリンクラーごと引っぺがされダウン。
それでもジャックが不利となる電話ボックスへもつれ込み、滅茶苦茶に痛めつけるが全く歯が立たず、電話ボックス内の総質量ごと真上にぶっ飛ばす威力のアッパーをモロに貰い、激闘の末に失神させられ地下闘技場に送り込まれる。
衆人環視の中、過去にプロレスラーへ吐き捨てた「試合はあくまでリハーサル、本番ではない」という言葉をそのまま返される形になり、最後の意地を見せてジャックへ襲いかかった。
「ダヴァイ(こい)ッッ!!」
持てる技術を総動員して襲い掛かるが軽くいなされてしまい、挙句ジャックはガイアにバトンタッチ。
ガイアの環境利用闘法(砂のぶちまけ攻撃、カモフラージュによる擬装攻撃)に金的、目潰し等メタクソにやられ、更に目も見えない状態で十秒ごとに攻撃されるという拷問じみた責め苦を喰らい、とうとう恐怖から絶叫。自ら敗北を認め、完全に敗北した。
「俺の負けだァ~ッ!! 許してくれェェ〜〜!!」
日本での敗北後、ロシアの刑務所に収監されており、房内では寝る際に壁を摘んで寝るなどの鍛錬をしており、持ち前の握力をさらに鍛えている描写が「REVENGE TOKYO」にて描かれている。そして「敗北を知った者にのみ与えられる権利がある」とリベンジマッチの宣言し再び東京に来襲。自らに敗北を与えたガイアの住むアパートを訪れて勝負を挑んだ。が、ガイアのペースに乗せられて上手いところ挑戦をはぐらかされてしまう。結局ガイアの隙を見つけるという名目で四畳半のアパートの部屋に居座る事になり奇妙な同居生活が始まった。そんな二人の妙にほのぼとした日常を描く刃牙シリーズスピンオフ作品の『ガイアとシコルスキー〜ときどきノムラ 二人だけど三人暮らし〜』が月刊チャンピオンで連載されている。
余談
このように、シコルスキーと言えば「ヘタレ」「弱虫」「雑魚」などといったマイナスイメージばかりが付きまとうが、実力は決して低いわけではない。
恐ろしいまでの握力に加え、人体を引き裂く「尖った拳」を持ち、蹴りで救急車のドアを叩き潰し、更に人類の反射神経を越えた速度の拳を掴んで止められる刃牙にすら視認できないほどの短距離移動速度を持つなど、実際はかなりの強キャラなのだ。上には上がいるだけで。
また、「敗北を知りたい」を謳う死刑囚達の中で、唯一本当に地上最強に向かっていく気概があった事は評価するべき点だろう。