概要
どこからどう見ても国会議員…もといア○トニオ○木なプロレスラー。身長190㎝、体重105㎏の巨漢で、マウント斗羽と共に「バキ」世界のプロレスを牽引してきたレスラー。
初登場は幼年編の終盤。
地下トーナメントでは第1回戦でキックボクシングヨーロッパチャンピオンのロブ・ロビンソンを撃破、2回戦では横綱・金竜山と大激戦の果てに白星を掴む。3回戦では卑劣な手段を用いてでも範馬刃牙を倒そうとするが、真っ向からのプロレス勝負の果てに敗北した。
第2部『バキ』ではそのヒール的な一面が強調され、シコルスキー相手に随分情けない敗北を喫することとなるが、ジャック・ハンマーと組んでシコルスキー逮捕へ手を貸した。全選手入場で「ファンの前ではいつだって現役だ!」と言われていた通りけっこうな年齢であり、その後は一線を退き、プロレス界の第一人者として登場することが多い。
実力
90年代後半まで根強く存在したプロレス最強幻想の論拠を詰め合わせたような人物。
実力は高く、立ち技格闘技の中でもショー・ビジネスの印象が強い、というかショー・ビジネスそのもののプロレス技の使い手だが、他の実践格闘技の第一人者たちとも遜色ない戦いぶりを見せ、パンチ一発で灰皿を粉砕するほどのパワーを持つ。単なるパワーファイターではなく、渋川剛気も一目置くレベルの柔と経絡への攻撃を用いる技巧派としての一面も持つ。
プロレスラーらしく非常なタフガイで、どんな攻撃も「受けきる覚悟」をすることで避けずに耐えしのぎ、実際刃牙の顎めがけてのハイキックを全くのノーダメージで受けた。「お前ら格闘家ってのは避けたりできるからラクな稼業だな。俺達プロレスラーはどんな技も受けなきゃいけねえんだからよ」と嘯いたこともある。
しかし、そのタフネスさもあくまで「覚悟させてもらう」ことが前提であり、それができない高速の攻撃の前には一般人とさほど変わらないうえ、プロレスラー特有の柔軟性に欠けた肉体ゆえの弱点もある。
そんな猪狩最大の長所は人間力と評される心理戦。ブラフはもちろん八百長の持ち掛け、泣き落とし、エアタップに加え愛人をも使って対戦相手への揺さぶりをかけ、しまいには他のファイターを抱き込んでまで勝利を取りに来る。しかも人心掌握術の天才である猪狩は、観客が目の前にいればいるほど客を手玉に取り歓声を得ることにより実力を上乗せしてしまう。この数々の心理戦の前には、何でもありの空手を標榜する加藤清澄もそのエゲツなさに感嘆するほかなかった。
この人間力を駆使した権謀術数は、ダーティなファイトが身の上のタイプとは相性がよくなく、シコルスキーには手玉に取られてしまったがこれについてはスピンオフ作品「ゆうえんち」にて斗羽より「お客さんがいないところで戦ったろう」と指摘されており、猪狩が根っからのプロレスラーゆえの敗退であると示唆されている。