概要
約5億年前のカンブリア紀に生息した節足動物のグループ。体はエビやシャコのように細長く、腹面には鰭の付いた脚が多数並んでいる。目(複眼)は種類により1対から2対で様々。26種が知られている。
「大きな手」を意味する学名「Megacheira」の通り、このグループの最大の特徴と言えば、目の直後から前へ反り上げた1対の手のような「大付属肢」である。
全般的には海底の近くを泳ぎ回る肉食動物で、大付属肢の爪で獲物や餌を捕らえたと考えられる。
シルル紀とデボン紀から似たような種類が発見されるが、これらは本当にメガケイラ類の生き残りなのかははっきりしない。
分類
メガケイラ類と他の節足動物の系統関係は、未だに定説がない。
最初に発見されたヨホイアやレアンコイリアは甲殻類と考えられたが、根本的な構造は大きく異なり(2対の触角や3対の顎など、甲殻類として基本である特徴がない)、甲殻類でないことが後に判明。
主にクモ・サソリ・カブトガニなどが属する鋏角類の祖先に近い(脳の構造が似て、大付属肢を鋏角の雛型と考えても無理はない)、もしくはそれより若干原始的な節足動物、という2説が対立している。一時期ではアノマロカリスなどのラディオドンタ類に近いという説があったが、否定的である(そっちは胴部の外骨格すら持たず、メガケイラ類と現在の節足動物の祖先より原始的とされる)。
┗┳?━メガケイラ類(原始的な節足動物説)
┗┳┳?━メガケイラ類(鋏角類に近縁説)
主な種類
- ヨホイア(Yohoia)
- ハイコウカリス(Haikoucaris)
- レアンコイリア(Leanchoilia)
- 体長最大7cm。体は横に幅広く、大付属肢が触角のようにヒゲが伸びる。カナダ(バージェス動物群)、アメリカと中国(澄江動物群)から発見される。
- アラルコメナエウス(Alalcomenaeus)
- 体長最大6cm。レアンコイリアと似ているが、尾は丸い扇子状で大付属肢は小さい。カナダ(バージェス動物群)、アメリカと中国(澄江動物群)から発見される。
- ヤウニク(Yawunik)
- 体長最大9cm。レアンコイリアと似ているが、大付属肢の内側がギザギザ。カナダ(バージェス動物群)から発見される。
- パラペイトイア(Parapeytoia)
- 体長最大10cmを超えると予想(体は不明)。長い爪の大付属肢と顎のような脚の残骸のみ知られる。ラディオドンタ類と誤解釈された旧復元像の方がよく知られている。中国(澄江動物群)のみから発見される。
- フォルティフォルケプス(Fortiforceps)
- 体長最大4cm。眼柄で突き出した目と広い扇子状の尾を持つ。先頭から1対の謎の突起が伸びる。中国(澄江動物群)のみから発見される。
- ジェンフェンギア(Jianfengia)
- 体長最大2.5cm。体は華奢で細長く、頭部の脚が他のメガケイラ類より多い。中国(澄江動物群)のみから発見される。
関連条目
節足動物 古生物 カンブリア紀 バージェス動物群 澄江動物群
鋏角類:脳や先頭の付属肢が似て、近縁関係が示唆される。
ラディオドンタ類:一時期では近縁と考えられ、メガケイラ類のうちパラペイトイアはかつてこの類と誤解釈された。
甲殻類:最初の解釈。