概要
インターネット上では強気な上、喧嘩腰で威圧的・攻撃的な内容を書き込むが、実生活では小心者でおとなしい人物のことであり、『内弁慶(外では意気地がないが、家では威張り散らす人)』をもじったネットスラング。
なお、ネット弁慶とは逆に「インターネット上で交流しているときはおとなしかったが、実際に会ってみると態度が大きい」という『逆ネット弁慶』なんてのもある。
類似の言葉として、『サイバーカスケード』『2ch脳』『ネットイナゴ』など。
英語では「Internet tough guy」・「keyboard warrior」。中国語では「键盘侠」。韓国語「방구석 여포(部屋の隅の呂布)」。ロシアでは「ソファ軍」と国外では表現される。
ネット弁慶に見られる行動・言動
- 掲示板全般
アンチ 荒らし 粘着(インターネット) ネットイナゴ レッテル貼り 2ch脳 自治厨 正義中毒 ネットリンチ
- 政治・思想系
- サブカルチャー方面
- その他
なぜ人はネット弁慶になるのか
行動・言動については『2ch脳』の記事が詳しいので割愛するが、ネット弁慶になる背景には、
という、遠隔通信・匿名性ゆえの構造的欠陥に始まり、
- こうした匿名性によって感情の節制が取れなくなり、発言の責任を取らずに振る舞え、攻撃性が増大する(心理学者のジョン・スラー氏はこれを『オンライン脱抑制効果』を呼称している)。
- コンプレックスなどにより自尊心が低く、自分自身に自信がない(または自尊心が高く自意識過剰)ため、心理的防御反応により攻撃的になっている。なお幼少時に遭ったいじめや虐待などが原因である場合もある。
- メディアに対する過度な自己投影で自己と照らし合わせ、自分がまるで被害者のように感じる心理。
- 誹謗中傷や悪口を書き込むことに快感を覚え、薬物のように一種の依存状態になっている。
- 単に精神的に幼い、もしくはネットでの叩きが当たり前と勘違いしている学生・社会人、ネット・SNS初心者など。
これらが主な原因として挙げられている。
『オンライン脱抑制効果』についてだが、2013年に岐阜県の岐阜聖徳学園大学付属小学校で、生徒に匿名空間でチャットを行わせ、罵詈雑言や誹謗中傷が蔓延した頃に実名を一斉に公表させる事で、ネットの怖さを教える授業を過去に行なっており、同効果を証明させるものになっている。
なお「私はネットとリアルでは人格が違うから」と、ネット弁慶である事を開き直る人もいるが、ネット・SNSは非現実なフィクションの世界やゲームではなく、現実世界の延長線上にある空間だという認識を持たなければならない。
度が過ぎれば犯罪行為に繋がり、他者はもちろん自分自身の人生すら台無しにしてしまうため、行き過ぎた行為は現に慎むべきである。
現に度が過ぎて、警察のお世話になってしまったネットユーザーは過去に数多く存在する上、近年では「キレやすい〇〇」として、ネットで膨れ上がった攻撃性をそのままリアルでも抵抗なく振りかざしてしまう人間が急増している。
『言論の自由』とは、それによって発生したリスクやトラブルに対する責任と覚悟を背負うという、規範意識があってこそ成り立つ概念なのを、心に命じるべきであろう。
余談
2018年5月のしらべぇでのリサーチ結果では、「ネットでは社交的だが現実は人見知りだ」の割合が、会社員26.9%で無職・家事手伝いが21.2%となっており、インターネット上で噂される「無職=ネット弁慶」説は否定されている。
関連項目
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武蔵坊弁慶 ネットスラング 性格 内弁慶 二面性 小心者 臆病者 いじめ 恒心教
魁!!クロマティ高校 - 主人公と同じ高校に通う田中牧男は、学校ではパシリにされるものの、ネット上で荒らしと化す『ネット弁慶』であり、逆に藤本貴一は学校では人に平気で暴力を振るう番長だが、ネットでは慎ましく礼儀正しい『逆ネット弁慶』である(余談だが主人公と田中牧男の担当声優は「剣咬の虎」にいる双竜と同じだったりもする)。