広瀬徹
ひろせとおる
概要
『龍が如く6』に登場する広島の極道組織・「陽銘連合会」の四次団体「広瀬一家」総長。飄々とした態度とユーモラスな言動で、一家の構成員は勿論、縄張りである尾道仁涯町の人々からも好かれている。
以下、ネタバレ注意
「秘密ってのはさ、そいつをバラされたくない人間がいるから秘密ってんだ」
その正体は、陽銘連合会会長・来栖猛（巌見兵三）が秘匿し続けている「尾道の秘密」を守る番人であり、来栖に最も信頼されている凄腕の刺客であった。
来歴
原爆投下によって家族を失い、天涯孤独となる。
14歳の頃には愚連隊を率いて暴れまわっていた。
ある日、仲間と共に巌見造船で押し込み強盗を働くも失敗し取り押さえられるが、その際に見せた機転と度胸を見込んだ来栖に勧誘され、陽銘連合会の構成員となった。
気に食わない相手は誰であろうと噛み付く気性故に当初はヤクザ社会に馴染めず、鉄砲玉としての仕事ばかりしていたが、働きぶりを褒めてくれた巌見には単なる渡世の親として以上の信頼を抱くようになった。
そうして互いに信頼し合う「親子」となった頃、来栖から「"尾道の秘密"を守ってほしい」と頼まれる。唐突かつ不可解な命令に事態が飲み込めないでいたが、秘密を知る兄貴分を眼前で射殺した来栖の覚悟と決意を思い知らされる。
以来、「尾道の秘密」が何なのかを知らぬまま、刺客として南雲や松永の父親を始めとする組織内外のあらゆる邪魔者を抹殺し続けてきた。
本編での活躍
当初は「よそ者を快く迎える好々爺」として振る舞い桐生一馬を食客として迎える。しかしその裏で来栖の忠実な刺客として「尾道の秘密」に近づく者を排除し、更には桐生らの行動すら巧みに誘導していた。
一方で澤村遥・ハルト母子を見捨てることもできず、あらゆる組織から匿っていた。
終盤、「尾道の秘密」を知ったジングォン派のハン・ジュンギを射殺し、秘密に迫ろうとする桐生や広瀬一家の面々と対決するも死闘の末に敗北する。
その後姿を表した来栖に全員の殺害を命じられるが、今まで面倒を見てきた「子供」をどうしても手にかけることが出来ず抗議したため、来栖に撃たれてしまう。
最期は南雲と松永に自らの罪を詫びつつ、長年知らぬままに守ってきた「尾道の秘密」をようやく目の当たりにしながら息を引き取った。
「ごめん な」
奇しくも、彼の最期は桐生にとって渡世の親とも言うべき風間新太郎とよく似たものであった。
バトルスタイル
包丁を武器として戦う。
年齢もあってか激しい動きはしてこないが、虚を突いて繰り出す鋭い突きは脅威の一言。これを恐れて距離を取れば包丁を投げたり、うかつに攻撃すれば難なく足払いでいなしたりと攻防に隙はない。おまけにアルティメットヒートモードからのヒートアクションを防ぎ、虎落としを食らってもダウンしないという驚異的な防御能力を有する。
そして自身が劣勢と見るなり配管に穴を開けて噴出した霧に紛れての奇襲を行うなど、老練な殺し屋としての技を存分に見せつけてくれる強敵。
使用する技も、これまでのどの敵も見せたことのない「殺す技」であり、今までの敵の「死んでも構わない」「ぶっ殺す」というような迫力こそ無いものの、気が付けば心臓に刃が突き立っているような、食らえば終わりの静かな凶刃というイメージ
これまでの短刀使いといえば、奇声を上げながら目にも楽しい変態機動で襲い掛かってくるあの人の印象が強かったため、地味ながら生々しい恐怖を煽る広瀬のスタイルは一際存在感を放っている。
また、今までの『龍が如く』シリーズの高齢キャラとのバトルといえば『見参!』の南光坊天海や『4』の宗像征四郎のように逃げ惑いながら銃を撃つといった行動しかせず、超人的な強さを持つ桐生の敵役としては力不足もいいところで老人虐待にしか見えなかった。そのため、広瀬のバトルはユーザーにとって良い意味で裏切られる形となった。
余談
- 桐生との直接対決では使用しなかったが、銃の腕前も抜群である。片手での射撃で20m以上は離れているであろう標的の眉間を正確に撃ち抜くという、かの風間譲二と同等以上の射撃技術をデモシーンにて披露している。
- また、本作のラスボスである巌見恒雄はその言動や器量の小ささから批判が多く、極道としての格や迫力などが圧倒的に上だった広瀬こそラスボスにふさわしかったという声が大きい。
- 広瀬を演じたビートたけし氏は過去に『アウトレイジ』『ソナチネ』などのヤクザ映画に数多く出演しており、その高い演技力でファンからの評価も高い。
- また、ビートたけし氏は「アウトレイジ」でも広瀬一家と同じ枝組織の組長を演じていたが、こちらは親父分である人間に良いように汚れ仕事を押し付けられ続けた末に恨みを爆発させて殺したのに対し、広瀬は親父分である来栖を慕い、自ら汚れ仕事を買って来栖自身に殺された、と言う点で対照的である。
