概要
ファーストステージシリーズで実用化されたモビルスーツ用核分裂炉と、セカンドステージシリーズで実用化されたデュートリオンビーム送電システムを併せ持ったハイブリッドエンジンである。
プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルが、最新鋭の次世代MS群『サードステージシリーズ』開発の折に「最高の技術を全て盛り込む」ことを指示したためにその一環として開発された。
なお、名称だけではわからないが核分裂炉であるため、使用にはニュートロンジャマーキャンセラーの併用が不可欠である。だが、第1次連合・プラント大戦の停戦条約「ユニウス条約」では、MS等の兵器へのニュートロンジャマーキャンセラー搭載が禁止されている。それにもかかわらず導入に踏み切ったのは、第2次大戦開戦のきっかけとなった連合のMk5核弾頭ミサイル発射以降条約が形骸化していることが大きい。
なお、ユニウス条約はあくまで連合・プラント間の停戦条約であるため、どちらにも属していないストライクフリーダムとインフィニットジャスティスには関係ない。
仕組み
主動力となる核分裂炉には、ファーストステージシリーズに搭載された従来型核エンジンよりも小型・高出力化した超小型原子炉(ウルトラコンパクト・ニュークリア・リアクター)を採用している。この上でデュートリオンビーム送電システムに対応する高性能なバッテリーも併載している。2つの動力が相互補完し合うために、理論上は戦闘中のエネルギー切れ(パワーダウン)が発生することはなく、従来型核エンジンの数倍の出力を発揮する。要するに、従来型バッテリーが抱えていた「短時間でエネルギーが切れる」という欠点を核エンジンの余剰エネルギーを適宜給電することで解決し、従来型核エンジンが抱えていた「供給量より消費量が上回った瞬間にパワーダウンする」という欠点を不足分をバッテリー側から給電することで解決している。これにより、ストライクフリーダムはフリーダムの時は不可能だったミーティアの「MA-X200 ビームソード」の大延長を実現している。しかし、デスティニーのように兵装周りの出力調整が不十分なために不要なエネルギー消費が多い場合はバッテリー側のエネルギーを使い切ってそのままパワーダウンしてしまうこともある。
また、デュートリオンビームビームを受信する装置も頭部に備え付けているが、デュートリオンビームを照射できる母艦はセカンドステージシリーズ専用運用艦ミネルバしか存在しないため、デュートリオンチャージを用いるにはミネルバ艦載機である必要が出てくる。なお、相互補完が間に合っていたためか、作中ではどの搭載機もデュートリオンチャージを行ったことはない。
開発経緯・採用実績
ザフトでは第2世代ドラグーンシステム試験機であるZGMF-X3000Q プロヴィデンスザクにて試験採用、エンジンの高性能ぶりとドラグーンの技術が確立した。ZGMF-X56S インパルスのシルエットバリエーションであるZGMF-X56S/Θ デスティニーインパルスでみられたエネルギー不足問題もこれで解消できるため、それぞれを発展させたZGMF-X42S デスティニーとZGMF-X666S レジェンドが完成し実戦投入、多大な戦果を挙げた。
また、デスティニーとレジェンドにはこのエンジン専用のコックピットとOSが用意されており、通常モードとハイパーモードの二種類に機体出力を調整できる(少なくともシン・アスカの戦闘スタイル的にデスティニーに関しては常時ハイパーモードだった可能性が高い)。
このエンジンの開発データはターミナルへ流れており、ファクトリーで開発中だったZGMF-X20A ストライクフリーダムとZGMF-X19A インフィニットジャスティスの動力として採用された。