本誌最新話(No.185)ネタバレ注意
ようこそ マスタールールへ
概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』に登場する太陽の中に存在する異空間。
内部は真っ黒な空間が広がり、中央には不気味な黒い円卓が設置され、絶対理(マスタールール:不朽の理に制定された万物の一つ)である高位UMAの10体「上位十理(じょういじゅうり)」が列席している。
もう一つの円卓
物語初期から登場する、組織(主人公勢力)が使用する円卓と対のような円卓が異空間「マスタールーム」に設置されている。その外観「漆黒を基調とした配色」「中央には十芒星」から〝黒円卓〟〝裏円卓〟〝対円卓〟といった存在感を醸し出している。
主人公勢が使う円卓は、特異な理「ループ」へ密接に関わる伝説の古代遺物「アーク」の機能が隠されているのだが、こちらの円卓にある役割・正体は全く不明。
黙示録(アポカリプス)に類似した存在も見当たらないため詳細は不明だが、否定者達と同様に「課題(クエスト)」を受けて動く事が出来る模様。
異空間「マスタールーム」は作中世界の神でもある太陽の中にあり、風子がUMAムーブを利用して辿り着くまで否定者が到達した事は無かったという。
100回目のループをした世界線現在にて、どういう訳か異空間「マスタールーム」の存在・危険性を探り当てたらしいUNDEAD-不死-の否定者・アンディは、自ら太陽の黒点となり居座る事で、自己の魂を最大活用し空間へ蓋をし、上位十理(じょういじゅうり:絶対的な実現力を有した10体の高位UMA)の行動を何世紀も封じていた。
これは円卓否定者たちが、課題(クエスト)で最難関・参加者全滅が高確率の上位十理と対峙(マッチング)しないようにしていた策。これにより上位十理は、課題(クエスト)へ選ばれる事による強制転送など、限定的な状況でしか外に出られない状態を強いられている。
しかし何億年もの間居座っていたアンディが弱り出し、2015年になって上位十理の末席・UMAシックが出られる隙を生じてしまった。そのため、アンディはなけなしの力でUMAシックに分身をしがみつかせ対抗するが、そのせいで魂の封印に亀裂が入り、更にもう1体外へ出られる状態となってしまう。
激戦の末にUMAシックを異空間「マスタールーム」へ撤退させた後、次の課題(クエスト)では「UMAランゲージ」「UMAビースト」の2体が現れている。
上位十理
絶対理(マスタールール:不朽の理に制定された万物の一つ)の中でも最初期に追加された、特に強力な十体の高位UMAたち。
ジュニアを生み出す事が出来るといった性質は通常のUMA(ユーマ)と変わらないが、全員が通常の人間と同じような外見・体型をしている共通点がある。
少なくとも最弱の存在、末席のUMAシックが課題UMAで出現時点の否定者数十人総出で立ち向かってなお、UMAシックに対するトップメタ的存在のアンディが分身で増援に来なければ負けてたと風子が語るほどの実力者たち。
それほどの高位UMAがいて、これまで100回のループを越えて来られた理由については様々な推測がなされていたが、風子はジュイスの「UNJUSTICE-不正義-」が特攻の能力だったと推測している。
黙示録(アポカリプス)の反応からしておそらくこの見立ては間違いない模様。
第一席
快活で人当たりの良い不思議な雰囲気の青年型UMA。
異空間「マスタールーム」に乗り込んだ風子を出迎え、一度はその無謀ぶりを咎めて脅しをかけたものの、風子が落ち着いて対応したことでその「イカれたプレイング」を歓迎しむしろ友好的な対応をした。
更にアンディの所在や目的すら教えるなど、風子のあり方を気に入ってる様子すらある。
ただしアンディの存在は邪魔だと思いながらも軽んじてるらしく、UMAらしい末恐ろしさを垣間見せている。
「魂道(ソウルロード)」という指先から放つレーザーのような大技を持つ。
司る絶対理はアンディの不死と対応した「死(デス)」ではないかとの予想が多かったが、アンディに対して「僕の器ではない」と言っていたためその可能性は否定された。一方で前述の技名から「魂(ソウル)」の可能性が生じている。
他には「人間(ヒューマン)」「正義(ジャスティス)」など。
第二席
シスターのような姿をした糸目の女性型UMA。しかしそのベールには爬虫類の目玉のような不気味な意匠が見える。一席の勝手な行動に怒る三席をなだめようとするも「血生臭い」と言われ四席に泣きついた。だが、四席にも臭い事は否定されなかった。
なお彼女もシックは負けると思っていたらしい。
司る絶対理はその姿から「宗教(レリジョン)」「信仰(フェイス)」説が有力。
宗教に纏わる話を紐解けば「血生臭い」扱いにも納得が行く。
第三席
セクシーなドレス姿に扇子を持つ女王様のような姿の目付きが悪い女性型UMA。
常に不機嫌そうな表情を浮かべている。髪の毛がツートンカラーになっている上、結び目から先がDNAのらせん構造のような形状になっている。
風子と友好的に話す第一席に食って掛かるもスルーされてしまった。
風子たちが太陽に降り立ちアンディを救出しようとした際に突如出現。そこで「人んちの上でノロケてんじゃねーよ」と不快感を示す。
風子たちの宇宙服を変型させて始末を試みるが、ジーナのUNCHANGE-不変-で対抗したこと、僅かに活動可能となったアンディが妨害したことで失敗に終わる。
司る絶対理は髪型からして「性別(セックス)」説が有力だったが、上記の能力とジーナを「私の器」と発言したことで変化の理を司るUMA「チェンジ」という推察が有力。
おそらくらせん構造の髪型は生物の進化を意味していると思われる。
第四席
体育座りをして粘土のようにポップな髪型をした中性的な少年型UMA。頬に絆創膏がある。
頭上には車輪みたいな形状のヘイローを浮かべている。
泣きつく第二席を慰めていたが、血生臭いことは否定しなかった。
司る絶対理は、第二席から「ラッくん」と呼ばれていたことから風子の不運が対応する「運(ラック)」である可能性が高い。ヘイローの形はタロットカードの「運命の輪」がモチーフだと思われる。
第五席
西洋甲冑姿をした人型UMA。一言も発さずその性別・素顔すら定かではない。
一人称が「自分」である事以外に情報はない。
司る絶対理は、「国(カントリー)」「痛み(ペイン)」「武器(ウェポン)」「正義(ジャスティス)」説がある。
また正体不明の甲冑姿という共通点、日本式甲冑と西洋式甲冑という対になる要素から一心の不壊に対応する「破壊(ブレイク)」という見方も出来る。
第六席
葉巻を咥えた軍服姿の大男型UMA。顔面は傷だらけどころか半壊しており、その下にはまるでロボットの素体みたいな頭蓋から煙を吹き出している。
シックのことを「ナメすぎ」「おめぇのルールは遅すぎる」と痛烈に嘲笑った。
「殺戮兵器共(ジェノサイドウェポンズ)」という兵器を召喚して指揮する技を持つ。
司る絶対理はその軍人然とした姿、使用した技から「戦争(ウォー)」ではないかと言われる。
第七席
シルクハットを被り時計を見つめている紳士姿の老人型UMA。振る舞いも紳士的。
「時差(タイムディフェンス)」という脳と魂にタイムラグをつける技を仕様する。
司る絶対理は時計を持っているため「時間(パスト)」、老人であるため「老化(フェード)」説がある。前述の時間を操る技から前者の可能性が高いが、UMAパストは前回のループで課題に選ばれた事がある。
第八席
常に本を読んでいて、眼鏡をかけた野暮ったい雰囲気の少女型UMA。
バベルの塔みたいな帽子を被っている。一人称は「ラン」。
司る絶対理は本を読んでいる事と、前述の帽子の形から予想する声は多かったが、クエスト討伐対象となったことで言語の理を司るUMA「ランゲージ」と正式に判明した。
しかしUMAランゲージは前回のループでも課題(クエスト)に選ばれており、なんとニコが単騎で討伐している。その後も言語の理は消えていないため絶対理(マスタールール)である事は間違いないが、そんなUMAが上位十理(じょういじゅうり)に選ばれている理由は不明。よほど「UNFORGETTABLE-不忘-」との相性が悪かったのだろうか?
第九席
UMA「ビースト」。課題(クエスト)の討伐対象となったことで判明した。
褐色肌で歯がキバのようにキザキザになっている粗暴な男性型UMA。獣の毛皮を被っている。
司る絶対理として、「人種(レイス)」あるいは「動物(アニマル)」という予想もあった。
第十席
末席であるため上位十理(じょういじゅうり)では一番弱く、アンディが弱った隙をついて課題(クエスト)に現れた。病気を司るUMAとして様々に重篤な病を引き起こす非常に危険な存在。
イズー病院に現れ病をばらまき、医者患者を問わず病院中の人間を重い病で侵した。
クラ「シック」という事なのか音楽を好み、ジュニアを五線譜のような物体を使って巧みに指揮をする。しかし人々の上げる悲鳴を好むという悪趣味なセンスを持つ。
リップの「UNREPAIR-不治-」を使った「走刃脚」で切り裂かれたため真っ二つになった所を分身アンディの介入を受け、致命的に相性の悪い「UNDEAD-不死-」の力と他の否定者との連携で窮地に陥る。が、すんでのところで「UNDEAD-不死-」の介入をつまらないとしたUMAムーブによって異空間「マスタールーム」へ逃がされた。
上位十理の最弱ながら、単体でも(全員が常に参戦していた訳ではないといえ)組織全員を手玉に取るほどの実力者で、相性最悪なアンディの介入が無ければ否定者側(主人公勢力)が負けていた程。
とはいえ他の仲間に笑われているように、能力自体(ルール)は強力だが影響速度は遅く、実際に否定者どころか一般人すら殺せていない。
マスタールームへ帰還後も「UNREPAIR-不治-」でつけられた傷のため真っ二つのままで、コアは無事のようだがマスタールームに現れた風子や醜態を笑う仲間達にも反応出来ないというなかなか不憫な状態で席についていた。
後に課題UMA選出の上位十理を決めるアンディとの戦いでは、いつの間にか復活していたようだが、殆どセリフも活躍もないままあっさり封じられており相変わらずの不遇である。
備考・余談
一般的に「マスタールーム」とは―
といった事柄を指す。総じて、上位の格式(室内の道具や装飾など)が整っている空間を意味する単語。
本作「アンデッドアンラック」ならば、世界において高等の位置へ配された特殊空間、世界を廻す高順位の存在が居並ぶに十分な場所という意味合いだろうか。