「おれの計画は 絶対に狂わないっ!!!」
概要
元クロネコ海賊団船長で、東の海でも有数の強豪として知られた海賊の一人。腕っぷしでゴリ押すのではなく計略を練って事を進める頭脳派の海賊で、それ故「百計のクロ」の異名を持っている。
数年前にモーガンにより逮捕され処刑されたとされていたが、実は影武者として自身の海賊団の船大工のヌギレ・ヤイヌを捕まえさせて身代わりに処刑させただけで本人は逃げ延びていた。海軍や賞金稼ぎに追われる日々に嫌気が差したとして海賊を廃業していたが改心したわけではなく、「クラハドール」という偽名を使って資産家の家に転がり込み、3年も掛けて信頼を得て財産を奪い取ろうとしていた。前歴に関しては「昔はある船で働いていたが、ちょっとした仕事上のミスの責任を負わされる形でその船から降ろされて路頭に迷っていた」という設定で通していた。
一見すると単なる財産目当てのように思えるが、クロの野望はかなり異質でその目的は『海軍に追われることなく大金を手にした上で、平穏な生活を送る』ことであり、3年も掛けて周囲からの信頼を得ていたのも、仕えていた資産家から財産を相続出来たとしても不自然と思われないための芝居であった。
なおこの一件は麦わらの一味の狙撃手・ウソップが同一味に入団&一味の初代母船であるゴーイングメリー号を入手するきっかけになった。
因みにモデルとして小林よしのりの自画像とうんこ(上着の模様。ゴーマニズム宣言(無印)第1巻の表紙より)が使われたと噂が流れていたが、作者の尾田自身は「指摘されて初めて気づいた」とSBSで明かしている。
なお、上着のうんこのような模様は、マジでうんこであることも判明したが、新世界編の扉絵では何故かなくなっていた。
プロフィール
本名 | クロ |
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異名 | 百計のクロ |
年齢 | 33歳→35歳 |
身長 | 207cm |
懸賞金 | 1600万ベリー |
所属 | 元クロネコ海賊団船長、元カヤの屋敷の執事 |
所属船 | ベザン・ブラック号 |
武器 | 猫の手 |
出身地 | 東の海 |
誕生日 | 4月22日 (執事の日) |
星座 | おうし座 |
血液型 | X型 |
好物 | バナナ |
初登場 | 単行本3巻 第23話『キャプテン・ウソップ登場』 |
CV | 橋本晃一 |
性格
世界政府に追われることなく大金を手にしたい平和主義者を自称している。
しかし実際は緻密な計略のもとに略奪などの犯罪を行う知能犯。船員とは忠実な船長の“コマ”と考えており、不要と感じればたとえ長年共に戦ってきた部下でも容赦なく切り捨てられる冷酷さを併せ持つ。
作中でも、ジャンゴを含めた部下たちを生きて島から出すつもりはなかったことを語っている(自身の生存に関しての口封じのため)。
なお、先述の通り彼は海軍や賞金稼ぎに追われることに嫌気がさして海賊を廃業したのだが、ルフィからは『自分の名が売れていくのが怖いだけ』評され、『お前は本当の海賊を知らない』とクロに足りていないモノを指摘した。
ジャンゴに計画を話した際は彼からカヤの両親を事故に見せかけて殺したと思われたりしていたが、その件に関しては紛れもない事故だったらしく、クロ自身は全く関与しておらず当人にとっても完全に計算外の出来事だったらしい。尤も、仮にカヤの両親が生きていたとしても計画上両親も殺す事にはなっていただろう。
ある理由から、ズレた眼鏡を指ではなく手首や手のひらで持ち上げて直すという癖を持っている。
戦闘能力
基礎戦闘力
「アクビが出るぜ…」
SBSによると100mを4秒台で走り切るという驚くべき俊足の持ち主。つまり、速力だけなら偉大なる航路でもある程度は通用するレベルと言える。
あまりのスピードに人間の目で走り抜けるクロの姿を捉えることは極めて困難。
そしてその速度に加えて一切の音を立てずに移動できる「抜き足」という移動術を扱う。無音且つ高速で移動するクロにかかれば、ジャンゴ曰くたとえ腕利きの暗殺者を50人揃えたとしても気配を悟られる間もなく全滅に追い込まれるという。
ただし、全速力の場合はあまりに速すぎてクロ自身も動体視力が追い付かないという欠点がある。しかしクロ本人はそれを然したる欠点とは思っていないらしい。
武器として手袋の指に刀のような長い刃が付いた『猫の手』という独特な得物を用い、前述の「抜き足」によって敵の傍を通過しつつ引き裂く攻撃を得意とする。
「抜き足」の速度によって切れ味を増した斬撃は岩壁をも引き裂く威力を持つが、ルフィとの戦いではその突進力と切れ味が仇となり、突きを繰り出した瞬間にルフィが地面から引きずり出した岩塊で防御され、そのまま片手の刃5本をまとめて折られてしまった。
ちなみにクロの独特な眼鏡のズレの直し方は、この『猫の手』を装着したままでは普通に眼鏡を直すことができないためについたもの。海賊業から3年もの間離れていても癖は全く抜けず、その様子は「戦い方を忘れていない証拠」としてジャンゴやクロネコ海賊団の面々を戦慄させた(本人は体にナマリを感じるとのこと)。
技
- 杓死(しゃくし)
全速力で辺りを駆け回り、四方八方から『猫の手』による斬撃を繰り出す。
「抜き足」と『猫の手」の特性を最大限に活用したクロの必殺技。
そのスピードからクロの姿が見えないためにいつどこから攻撃が来るのかが目視では判断できず、傍目からは訳も分からないまま突然人が切り裂かれて倒れるという恐ろしい光景が繰り広げられる。
しかし、前述のように全力での「抜き足」はクロ本人の動体視力が追い付かないため、この技が発動している最中はクロ本人も何を斬っているのかほとんど分かっていない。敵も味方も、壁や床さえも関係なく、とにかく手当たり次第に斬りまくる無差別攻撃であるため、過去に何十人もの船員を巻き込んでいるというとんでもない技である(しかもクロはその性格上、仲間を斬殺することさえまったく意に介さない)。
クロ本人が疲れて自然に止まるか、攻撃を受けてでも彼を捕らえて強制的に引き倒すまで無慈悲な攻撃は続けられる。作中では後者の方法でルフィに捕まり止められている。
しかし発動前には準備動作として「だらりと両腕を垂らし、ふらふらと揺らめくような構え(溜め)」が入るため、この間は唯一決定的な隙となっている。もちろん発動前に組み付かれると不発に終わる。
このため、初見殺しの要素が強く同じ相手には通用しない技と言える。
またこの無音音速の技術はサンジも会得したのだが、百獣海賊団のクイーンから賞賛される程の技術であり、東の海で出していい技術ではなかったことが判明した。
活躍
当初は麦わらの一味の狙撃手ウソップの住むシロップ村に家を構える資産家の少女カヤの執事「クラハドール」として登場した。
しかし南の海岸で部下のジャンゴにカヤ暗殺とシロップ村襲撃を企てていることを話しているのをウソップやルフィに聞かれたことでその化けの皮が徐々に暴かれ、遂に凶悪な海賊であった事が発覚。
三日月の夜にカヤから記念日祝いとして貰った新品の眼鏡を踏み砕き、
「プレゼントなら受け取りますよ。だがこんなものでなく…この屋敷まるごとだ…!!」
「もう芝居を続ける必要はあるまい、どのみちあと数時間後に事故は起きるのだから。実に長かったよ、3年間は…」
上記の台詞と共に計画の成功を確信した自信からか、静かに本性を顕にし居合わせていた同僚のメリーを口封じのため斬り捨てて重傷を負わせる。
その後、カヤを守るべく立ち上がったウソップや麦わらの一味と激闘を繰り広げるも最後は「ゴムゴムの鐘」でKOされ敗北。ルフィによって気絶した自身の身柄をクロネコ海賊団に放り投げられる形で島から追放されていった。
この戦いがきっかけで、ウソップは麦わらの一味に入る事になる。
敗北し村から追い出された後の行方は分かっていないが、アニメ版ではクロネコ海賊団の船長に返り咲いており、初頭手配されたルフィの手配書を部下から受け取っている。
海賊を辞めたがっていた(実質廃業していた)のにその海賊人生に逆戻りとはなんとも皮肉だが、クロ自身は他に行き場所が無かった事や、部下からしてみれば自分たちを口封じに殺そうとした元船長を頼るのは心底嫌だったとしても他に頼る先が無い事もあり、お互い仕方なく元の鞘に収まらざるを得なかったのもかもしれない。
余談だが、彼が欲していたものの一つである平穏に関しては、執事生活の中で既に手に入ったも同然であり(シロップ村に来た時点で公には百計のクロはもうこの世にいない扱いだったこと、欺いていたとはいえカヤと屋敷の者達、村人達からは3年間で十分な社会的信用を得ていたことが証拠)、大金に関してもわざわざカヤを暗殺せずとも上手く立ち回ってカヤを籠絡するなどすれば手に入らない事も無かった筈である。
それでもカヤ暗殺を企てたのは彼の「小娘に頭を下げ続ける事に我慢ならない」という無駄なプライドが原因であり、彼の本質が略奪者=自身が忌み嫌う海賊である事を物語っている。ちなみにアニオリでは敗北の間際、求めていた平穏な生活が手に入っていた事を漸く自覚することになる。
ゲーム作品での登場
『ONE PIECE グランドバトル!』シリーズにもいくつかの作品でプレイヤーキャラとして参戦しており『1』、『2』、『RUSH』に登場(2では隠しキャラ扱い、3のみリストラされている)。火力と防御は低いが原作同様素早さがウソップやシャンクスと並んでAに設定されているので火力が低い分手数と素早さでカバーする必要がある。『1』と『2』共通の必殺技はジャンゴorニャーバンブラザーズを呼び出す助っ人召喚と杓死。
GBC用ソフト『夢のルフィ海賊団誕生!』ではある条件を満たすとなんと仲間になる。
仲間入りすると移動力の高さと燃費の良い必殺技「猫の手」、攻撃後に移動できる「抜き足」、広範囲攻撃であえる「杓死」などの優秀な技で即戦力となってくれる。
ただし杓死は原作同様完全に敵味方判別不能の無差別攻撃なのでうっかりルフィを巻き込まないように注意。
PS4、PSvitaソフトの『海賊無双3』ではボスキャラクターの一人してゲーム作品に久々に登場。『アンリミテッドクルーズSP』でも登場している。
関連イラスト
関連タグ
モーガン(ONEPIECE):クロを捕まえて処刑したという事で昇格する。ただしそのクロは本物のクロが用意した偽物。ジャンゴの催眠術にかけられたことで、自分が本物のクロを捕まえたと錯覚している。また彼も後に海賊となった。
サー・クロコダイル:名前にクロが入る、綿密な計画の元国家転覆を企むなどスケールは異なれど働こうとした悪事は少々似ている。
シラノ:『ONEPIECE』連載開始前の短編、MONSTERS(漫画)の登場人物。町に竜を呼び寄せて大惨事を引き起こしておきながら、ある少女を救って名声を得たという、同作の主人公曰く「最高に質の悪い火事場泥棒」。その少女はシラノを恩人として慕っていたが、シラノは少女の父親も殺しており、シラノの仲間が「あの女がそれ知ったら自殺するぜ」に同調して嘲笑うなど「自分を信頼していた女性を裏切って、心の中では嘲笑っていた」という共通点がある。
章ごとのボス