曖昧さ回避
- 加熱・乾燥などの加工をしていない生鮮食品。品質が劣化しやすい。特に魚介類について言う。
- 陳腐化が早くすぐに価値の下がる工業製品に対する俗称。生鮮食品が早く売らないと価値が下がってしまう、または売り物にならなくなることとかけた俗語。
- 柴田亜美の漫画『南国少年パプワくん』および『PAPUWA』に登場するパプワ島の生き物の総称。そこから転じて、得体の知れない珍妙な生き物を指して言う言葉。作中では「生物」のルビに「ナマモノ」と書かれている。
- 『メルティブラッドシリーズ』におけるネタとカオスの権化の事。最近では別次元にも増えた。
- 実在の人物を題材にした同人ジャンルや、同人誌などを指す俗語。
ここでは5について記述する。
解説
「実在の人物」を題材にした一次創作のこと。
(※pixivガイドライン上、実在の人物を題材としたイラスト・漫画について二次創作として扱う旨明記されているわけではないが、運営の判断によって「オリジナル作品」設定を解除される場合もある)
そのようなネタ、および同人ジャンル、同人誌などを総称した隠語である。生モノ、nmmnとも表記され、海外ではRPS、RPFなどの略称(現在はRPFが主流)がある。
表現の自由はあまねくすべての日本国民に保障された基本的人権であり、何人もこれを侵害してはならない権利である。よって、他者の権利を侵害しない範囲で自由な創作、発表が認められる(以下参考リンク)。
参考:著作権法(e-GOV法令検索より)
参考:日本国憲法(e-GOV法令検索より)
主にリアルタイムの人物をネタにしたものがそう扱われ、故人については(亡くなって日の浅い場合も)ナマモノとして扱わない場合がある。
また、歴史上の人物を題材とすると、近現代史物においては存命中の人物が登場する場合もあるため、ナマモノと歴史創作双方の要素を内包し得る(ナマモノに引っ掛けて「ヒモノ」「カワキモノ」の呼称する場合も)。
ナマモノは「ファンアート(二次創作)」か?
芸能人等の似顔絵はしばしばファンアートと呼ばれ、同様の角度からナマモノ創作もまた「ファンアート」とみなされることがある。
他方、歴史創作(特に明確な資料媒体の少ない時代)においては歴史的事実に対して作家性による脚色がしばしば多くなることから「実在人物を基にした一次創作」とみなす向きがある。
現代美術においても、著名人等を忠実に描いた「ポートレート(肖像画)」や抽象・デフォルメして漫画絵などに落とし込んだ「カリカチュア(誇張絵)」については、もちろん対象とする実際の人物がいてこその芸術ではあるが、その落とし込み方には作家性が如実に顕れることからある種の一次創作とみなすことが可能である。
歴史創作が時にナマモノの性質を帯び、両者の境界が曖昧になる場合があることを先に述べたように、実在人物とそれを描く作家性の融合により、二次創作と言うよりはむしろその作家オリジナルの一次創作と呼べるのではないか、という考え方が存在するのである。
尤もナマモノを一次創作とするか二次創作とするかは明確な定義もないものであり、最終的には個々人の良識ある判断に委ねられる部分なのかもしれない。
問題点
実在人物をモチーフにしているだけに徒に本人の名誉・利益を損なうことがないよう注意を払う必要があるのだが、現行法上「ナマモノ創作を取り扱った者」を直接に規制・罰することがないがために「創作者本人の良識に委ねられる部分が大きい」ということが大きな特徴であり、また問題点と言えるだろう。
取り扱っているサイトや、ジャンル、或いはひとつのグループ単位で個別にローカルルールが敷かれていることも珍しくなく、複数の界隈を跨いで活動する際にそれらの独自マナーを「注意喚起」として広めた結果、却って他者との軋轢を産む場合もある。
なお、前述のとおり様々なローカルルールが存在する一方で、広く一般的に言われている注意事項というものも下記のとおり存在する。
・「本人やファンにナマモノ創作物を見せるべきではない」
単なる肖像画やちょっとした誇張絵についてまで完全にシャットアウトすべき……ということではなく、性的・暴力的・その他公序良俗に反すると思われる内容を実在人物をモチーフに描いた場合には、それらを無闇に見せに行かないことは当然として、誤って当人らの目に触れてしまわないよう十分に配慮しようというもの。
感覚的に理解できる方も多かろうとは思うが、自分自身が反社会的な行動をしていたり、好きでもない相手と実際には言っていないセリフで絡み合っているところを見せられて嬉しいか?ということである。
※あくまで「本人やファンが見たらどう思うか?」ということであり、決してナマモノ創作活動そのものを糾弾する意図ではない。ゲーム・アニメ等の原作に対する二次創作においても同様に言えることである。
・「ゾーニング(本人・興味のない人間の目に入りにくいような工夫)」
元々創作界隈で叫ばれることは多いが、自分からわざわざ検索してたどり着かない限りは目に入らないよう工夫をすることである。実在人物を取り扱う以上はその人物の権利保護のため細心の注意を払うのは当然のことであり、ナマモノ創作を好まない人間(もっと言えば、理由を付けて他人の創作を妨げようとする人間)の目に触れてしまった時に生じる争いを回避する上でも重要なことである。
R-18タグ付け等を行っていても無視して怖いもの見たさで入ってきたり、或いは子供が興味本意で踏み越えてきてしまったりすることも十二分に考えられるが、入念な措置を講じた上でなお無視してきたものについては見た側の自己責任と反論する材料になることだろう。
別段法で禁止されていないからと人目も憚らず自由に創作・発表することも結構だが、それは大人として自分の取った行動に責任を取れる人物のみがそうすべきである。
人によっては単なる似顔絵だって描かれるのは嫌だったりするし、その人が「嫌です」と言った頃にはとうに手遅れなのだ。
そして、自分が気に入らないからといって迷惑行為をしているわけでもないナマモノ創作や創作者本人を糾弾する行為も、当然に許されざることである。
「ナマモノ」の対象と描き方のバリエーション
大雑把に言えば「生きた人間」にまつわる創作はナマモノ創作足り得、国内外のタレント業やスポーツ選手のようなものから、歌い手等の動画投稿者、アマチュア声優などが題材になることもある。
変わったところだとバーチャルYouTuber(VTuber)はアニメ調のアバターを介してはいるが、実況・雑談等の演者のパーソナリティが色濃く反映されるスタイルで活動している場合には「生きた人間」の延長線上と考えられ、それに関する創作もまたナマモノの一種として捉えることがある。このためか、pixiv内のVtuber関連創作においてもナマモノ創作で見られるような伏せ字文化が流用される場合がある。
描き方としてはその人物単体に対して萌えを見出だすものやオリジナルキャラクターと絡ませる夢向け作品から、有名人同士のカップリングを妄想して楽しむ作品など多用なバリエーションを持つ。
歴史と成立背景など
古典
広い意味でのナマモノ的創作としては平安時代中期に成立した源氏物語まで遡ることができる。光源氏のモデルは作者/紫式部の支援者だった藤原道長とされ、そもそも源氏物語そのものが(大雑把に言ってしまえば)当時の宮中での肉筆回覧同人誌的存在であり、ナマモノ創作や夢小説に通ずる側面を垣間見られる。
近代
江戸幕末期のナマモノ的題材と言えば新撰組関連を言及しないわけにはいかない。2015年には、新撰組活躍当時に屯所の隣に住居し実際の新撰組を目の当たりにしていた女性の手による土方歳三と沖田総司の官能小説(土方歳三と彼女の夢小説もあったらしい)が彼女のひ孫によって発見され話題となった。当時の新撰組内部では男色が流行していたとする資料もあり、当時のリアルな事実(※と断言してよいかは不明であるが)を材料にした実在創作=ナマモノだったわけである。
現代
1980年代の同人バブル期には、既にジャニーズやスポーツ選手などを扱ったナマモノ同人誌が即売会に並んでいた。また、80年代はバンドブームを背景にアイドル以外の自分たちで作詞作曲演奏歌唱舞踊その他を手がけるロックバンドやビジュアル系などのアーティスト本と言われるジャンルも隆盛した。また、ビジュアル系バンドやアイドルなどに多く見られるファンサービスとして演者同士が舞台上で必要以上の身体的接触するなどのパフォーマンスがある。盛り上げるための演出としてよく見られ、本人たちもそういうファン層を意識した活動として積極的に行っている面がある。1990年代にはオウム真理教幹部を題材としたBL本が出回りスポーツ紙に取り上げられた。
2000年代からは、萌え美少女化(美青年化)ジャンルが勃興。2010年代になると存命作家の名前を持つキャラクターが登場する『文豪ストレイドッグス外伝』など、ナマモノの要素を含んだ商業作品も登場した。
また小泉純一郎や安倍晋三やトランプなどの政治家を扱った作品も存在する。(関連記事のトラ安倍や安倍トラ参照)。ナマモノ創作自体かなり繊細な取扱いが必要な性癖であり、場合によっては嫌悪感を示されてしまうこともあるのだが、政治家同士のナマモノ創作についてはある種のジョークとして好意的に捉えられることも多い。
尤も、純粋に性癖として楽しむならばまだしも(?)、他人に指を差して笑う類いの面白がり方になりかねない点には注意が必要であろう。
各投稿サイト、同人イベントでの見解
・pixiv
実在人物の創作作品の投稿は禁止されていない。
ただし、前述の通り一次創作と二次創作のどちらの立ち位置にあるのか明確な定義付けがないことが原因となり、オリジナルタグを付けることの是非で混乱が起きた事例もある。
・ニコニコ静画
似顔絵の投稿はファンアート(二次創作)部門ではなくオリジナルと同じ創作部門に存在し、創作ランキングにも掲載される。
・コミティア
従来より歴史や芸能、評論、RPSなどの参加が可能となっている。
・J・GARDEN
コミティア同様に実在人物の創作は一次創作扱いとなっている。
・コミックマーケット
同人誌即売会を創始した草分け的イベントであり、他創作イベントと違って独特の厳格なジャンル区分が存在するイベントである。芸能やスポーツだけでなく歴史、評論、デジタル、創作などの雑多なジャンルに実在人物の創作とおぼしきサークルが確認できる。声優関連は芸能ではなくアニメジャンル、落語家は芸能かと思いきや評論ジャンルにもサークルが確認出来る。
・コミックシティなど他同人誌即売会系イベント
特定ジャンルに限定されたオンリーイベントでない限り一次創作、オールジャンル系イベント全般において実在人物作品が排除されたという著名な事例は聞かれない。
許諾外の二次創作や、存命の著名人を題材にした作品の投稿を禁止している(※第二次世界大戦(大戦中含む)を題材とした作品は投稿可能)。なお、Vtuberを題材とした一次作品群にも一定の人気がある。この辺りにナマモノを二次創作とするか否か、そもそもナマモノ創作をどの程度歓迎するかという複雑な境界を窺い知ることが出来る。
・カクヨム
ナマモノの投稿禁止を明言しているような規約はない。
ナマモノに該当する作品は禁止されている。
(当人の合意を得ているか、萌化・声優ネタなど肖像権などを侵害しないものはともかく)存命中、または最近亡くなられた人物を題材にした創作物は禁止されている。
ナマモノに当たる創作物は禁止されている。
現在存命中の実在の人物を扱った創作物は取り扱いがなされない。参考まとめ、アーカイブ)。
ナマモノ同人誌は取り扱わないとしているが評論ジャンルや声優ジャンルに声優本やユーチューバー本、作家に関する対談本などの取り扱いがみられる。
ナマモノ同人誌を普通に取り扱っている。
AV女優を題材とした実写ソーシャルゲームがいくつかサービスされている。公式が性的表現を含むナマモノを作っている例外的事例と言えるだろう(ある意味AV自体が公式ナマモノ最大手みたいなもの?)。しかし、メーカーによっては出演NG(最初から登場しない)だったり、時期によってガチャ排出がなくなるケース(出演女優の契約終了等)もある。
Pixivに見るナマモノ活動
規約により特に禁止されていない。自由に作品発表されたし。
しかし何度も言うが、表現の自由は日本国民に保障された重要な権利であるため当人の威光を笠に着たお気持ち繊細ヤクザへの配慮は無用である。創作活動に関係のない部外者が当人のお気持ちを勝手に代弁して当人に迷惑をかけることのないようにされたし。またpixivのようなSNSで目に入る作品は全て自己責任であり見たくないファンは自己責任で自衛すべき話である。自分からR-18タグを覗いておきながら「いかがわしいものを見せられた!ファンに無理やりこんなものを見せるな!」というのは本末転倒なお気持ちヤクザ行為である。そういう人はネットは向いていないので他人に配慮を求めるのではなく今すぐネットをやめて自衛のため安全圏に引きこもって自宅警備員にでもなることをお勧めする。
表記ゆれ
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