概要
ゲーム『ゼルダの伝説』シリーズの歴史的な時間軸のこと。
作品間の歴史的繋がりは、長年開発チームの方もあやふやにしていてはっきりとした定義が無かったが、公式ガイドブック「ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説大全」が発売された後、しばらく経って公式ポータルサイトにも掲載されるようになったことで、だいたいの時間軸は確定した。
(ただし、ハイラルヒストリアの時点でも今後変更される可能性について示唆されていた他、ポータルサイトの更新によっては今後これらの情報に変更が生じる可能性があることも追記しておく。)
なお、後述にもあるように『時のオカリナ』から三つの歴史に分岐しているが、いずれも知恵、勇気、力のトライフォースのいずれかが大きく関わっている。
公式ポータルサイトで振り返るゼルダ史
『ゼルダの伝説シリーズ』の主人公リンクの活躍と共にゼルダ史を振り返ってみよう。
伝承の時代
後世において伝承として語り継がれた時代。この頃は神々やそれに比肩する超越存在の姿が見られた。
- 女神と邪悪な者との戦いの時代(スカイウォードソードの前世)
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※ハイラルの時系列で最初の勇者
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※時の勇者
この作品では子供時代と大人時代を行き来するため、以降のゼルダシリーズの時系列は分岐する。
さらに最終決戦での勝敗によっても分岐が生じる。
そのため時のオカリナの結末から3つの時系列が存在することになる。
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①時のオカリナでリンクが本来の時代に戻った後の世界(子供時代)
勇気のトライフォースを持つリンクがクーデターを未然防いだ時代。
未来から戻ったリンク(時の勇者)の尽力により、ガノンドロフの野望は未然に阻止される。
そしてリンクはエンディングで別れた相棒ナビィを探す旅に出る。
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※時の勇者
↓ (数百年後)
※時の勇者の子孫
↓
元々は『4つの剣』の続編であったが、ハイラルヒストリアの正史ではここに置かれている。
ゼルダ史に組み込む上で両者とも正史に含むには難しい外伝的作品であったため、組み込むためには両者を引きはがして本作をここに置くしかなかったためだと思われる。
②時のオカリナでの最終決戦後の世界(大人時代)
知恵のトライフォースを持つゼルダが地上に残された時代。
『時のオカリナ』でガノンドロフを倒した後に、リンクが【時の勇者】と語り継がれた時代が神話になるほど時間のたった世界。時の勇者本人は7年前の世界へと帰ってしまうため、以降のこの時系列には存在しない。
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※風の勇者
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※風の勇者
↓ (約100年後)
※風の勇者の生まれ変わりか子孫、もしくは赤の他人
③時のオカリナの最終決戦でリンクがガノンに敗れた後の世界
力のトライフォースを持つガノンドロフが勝利した時代。
時の勇者がガノンに敗れた場合、全てのトライフォースがガノンの手に落ちてしまう。
残されたゼルダ姫は六賢者と力を合わせ、最後の手段としてトライフォースごとガノンを聖地に封印する。
↓
↓「神々」での最終決戦後にリンクが旅立つ
※ただし、「古代の石盤」のみ光の勇者(プレイヤー)が主人公になる。リンクは登場しない。
↓リンクが修行後の航海途中にあった不思議な体験談。
↓「夢をみる島から」から百数年後
- ふしぎの木の実 (大地)・(時空)
当初は「神トラ」のリンクと同一人物という設定だったが現在では別人になっている。
↓(数百年後)
「神トラ」より数百年後の世界。
↓ (数年後)
神ト2と同一人物。
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・ (ハイラル王国が小国に分裂するほどの時間が経つ)
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※シリーズ最初の勇者。約12歳とのこと
↓ 約4年後
※「ゼルダの伝説」後の16歳になったリンク
※ゼルダの伝説における最後の物語
関連が不明または①・②・③のいずれにも該当しない
後に伝説として語られる物語。
時のオカリナ、トワイライトプリンセス、スカイウォードソードの物語が神話・伝説として語り継がれている。しかしこれらの世界はゼルダ無双の世界から見て異次元、もしくは過去の世界という不明慮な扱いになっている。
その為、どの時間軸に該当するかが全く不明であり、どの時間軸にも該当しない別の時間軸の世界、あるいは始まりの時点からして違う全く新しい世界という解釈すら可能である。
上記以外の各作品との関連性は不明。そもそもお祭り的側面が強い外伝作であり、時系列には含まれていないという見方もある。
現段階では「ハイラルの歴史においては最後」としか発言がなく、「どのラインに続く最後なのか」については明言を避けている。これは「時系列考察」を含めて想像の余地を残すためにあえて明言はしていないようだ(ブレスオブザワイルドは自由度の高いオープンワールドの作品であり物語構築は基本的にはプレイヤーに委ねられるため、現段階では明言するわけにはいかないのだろう)。
作中に「厄災ガノン」が登場することから、プレイヤーの考察としては概ねガノンドロフが完全に封印された②以外のルートでないかという意見が多かった。
①の要素としては「空を舞い、時を廻り、黄昏に染まろうとも……」という作中のゼルダのセリフが存在する(ただその後のセリフはマスターソードが登場したゼルダ作品=重ならない歴史群についてのワードが散りばめられているため、考察材料には弱いファンサービスの一種と見る意見も少なくなかった)。
②の要素としては各地の岩を壊すと岩塩が手に入ったり巨大クジラの化石が点在する、そしてリト族やコログ族が存在することから「風のタクトで海に沈んだハイラルが浮上したのがブレスオブザワイルドのハイラルでは?」という声もあった。
③の要素としてはハイラル王の日記に「王家の習わしに従いゼルダと名付ける」との記述があり、王家の姫をゼルダと名づける風習は時の勇者敗北ルート後にしか確認されていないことから敗北ルート後ではないかという考察のほか、ガノンドロフがガノンとしてのみ活動している(初代ゼルダの伝説でガノンはハイラルで倒されている。リンクの冒険で復活には肉体を持った復活にはリンクの血が必要だったなどから、リンクの冒険以降に肉体をもった復活が出来ぬまま怨念になっていったと言う解釈もされる)、敗北ルートでのみ存在が確認できるライネルがいる等があった。
続編のティアーズオブザキングダムの発売前は、時の勇者敗北ルートにのみ確認される「封印戦争」という単語が出てきたことから③のルートの可能性がさらに高くなっていた。
しかしいざ発売すると、
- 作中の「封印戦争」が「神トラ」で述べられたのものとは明らかに異なる
- ガノンドロフが「時オカ」以降のガノンドロフと別人であるような描写が多い
といったように、「時の勇者が存在した世界(=時のオカリナのガノンドロフ)の時系列」と考えた場合辻褄が合わない事実が多数出てきたため、「スカイウォードソード後ふしぎのぼうし以前で分岐した第四の時系列ではないか」という説が浮上してきている。
- 空より地上に降り立った神の末裔を名乗るゾナウ族が存在しハイラル王国を建国する。トライフォース信仰はかつて存在していた。マスターソードは存在するがトライフォースは存在せず秘石が存在している。こう言った辺りからガノンが触れる以前にゾナウ族の始まりになった存在がスカイウォードソード以降でガノンよりも先にトライフォースに触れて、その力を秘石として所持し続けた世界なのかもしれない。
白いガーディアンが時を遡ったことでブレスオブザワイルドの時代から分岐した新たな歴史。
ガノンを倒したリンクが謎の裂け目に飲み込まれ、ゼルダ姫が救出のため冒険に出る歴史。
本作の時系列上は『神々のトライフォース』の流れにあるという意見が多い。
ゲーム冒頭でゼルダがハイラル全体を高所から見渡す、『ブレスオブザワイルド』のOPをオマージュしたようなシーンがある。この際、よく見ると全体的な地形が『神々のトライフォース』または『神々のトライフォース2』のものと酷似している。
そして蓋を開けてみれば、今作の全体マップは神々のトライフォースの全体マップを東西南にさらに追加した形になっており、神々のトライフォースの地形を意識したと思われてもやむ無しなほどに地形や建物、オブジェに共通点が多く、尚更神々のトライフォース時系列と関係性を強く感じられる(今作のマップを作るにあたって、2Dゼルダの代表格である神々のトライフォースの全体マップを参考にした、という可能性も勿論考えられる)。
また、3Dゼルダで登場していた『オルディン』『フィローネ』『ラネール』といった地名が2Dゼルダに出るのは今作が初めてである。
2Dゼルダが基本的に引き継いでいる『神々のトライフォース』の系列を思わせる地形でありながら、3Dゼルダ、とくにブレスオブザワイルド系列を意識する要素や住民も点在し、尚且つオルディン火山の位置などの歴代シリーズと矛盾する(ただ、神トラ時系列における火山は裏世界でのヘブラ山であり、表世界での火山の位置が不明であるため、一概に矛盾とは言いにくい場合もある。例としてトワプリでもハイラル湖の位置が歴代シリーズと大きく異なる)要素など、これらのことからも開発者インタビューのように「時系列をボカした」のが見て取れる。
ただ、時系列をボカしたのは「当初は」の話であるため、現在、または今後に明確な時系列を設定される可能性も十分にありえる。
総論として、現在ではファンの間で、「勇者敗北√、(少なくとも)『神々のトライフォース2』より後の時系列」説が強めである。
神トラ2より後である根拠、判断材料としては幾つかあり、
- 砂漠の神殿や水の神殿跡など過去作ダンジョンらしき建物が風化している。
- 神トラ&神トラ2でのカカリコ村のあった場所は今作では廃墟になっており、そこから西に進んだ先に新しいカカリコ村がある。
- ジャブール水源の川ゾーラの里は、神トラ&神トラ2の川ゾーラの住処にかなり近く、神トラ2にて人間に友好的な川ゾーラの一族が登場している。里の北部にあるハートのかけらが沈んでいる大きな滝と泉は、神トラでのキングゾーラがいた場所に似ている。
…等が上げられる。他にも考察、または反証可能性があれば是非追記して頂きたい。
また、ゴロン族とゾーラ族生息地とカカリコ村や火山、氷山の位置の矛盾点についても「山は時間経過による気候変動が激しく、それに併せて彼等も生息地を移動した」と説明すれば矛盾点は解消できることにも注目したい。
そしてこの論法を適用すれば山以外の大まかな地形や気候はブレワイやティアキンの地形配置に通ずることも追記しておく。
※中央のハイラル城を基準として、最北一面に山々
北に迷いの森、極東に海とゾーラ生息地、南にフィローネ地方とその森林群、西南に丘を囲むようにして(=後のゲルド山)砂漠とゲルド地方など
(注):ただ、現在ファンの間では、『ブレワイ時系列は「ふしぎのぼうし」以降から分岐した』説もある。
味方キャラでは久々の登場となるデクナッツをはじめにシーカー族、ゴロン族、ゲルド族、デクの樹、味方(海ゾーラ)と敵(川ゾーラ)の2種類のゾーラなどシリーズお馴染みの多様な種族が登場していることが確認される。2種類のゾーラについては同じ神々のトライフォースの時系列であるふしぎの木の実(時空の章)に両方とも登場しているが、直接対面するのは今回が初である。
シーカー族は『ブレスオブザワイルド』に類似した和装であり、またゲルド族は『時のオカリナ』では丸耳だったが、本作では『ブレスオブザワイルド』同様耳が尖っている。
ただし、今作にリト族は登場しない。
また、キャラクターデザインにしても、共通点があっても時系列的には途方もない年差があったり別の分岐点である事もよくある(特に、同じトゥーンリンクデザインかつまったく同じデザインの敵が登場しても、時系列的には分岐点が異なる「風のタクト」と「4つの剣+」という例もある)ため、ゲルド族とシーカー族に関してはただ単に大ヒットした前作と前々作の作風に寄せたという可能性もある。過去作のキャラクターデザインをゲストキャラクターに流用することも歴代においてよくあることである。
敵キャラにはオクタロックやモリブリン、バズブロブ、ウィズローブ、タートナックといったおなじみのものの他、デクババやリーデット、ポウ、リザルフォス、『夢をみる島』のみに登場したウニ(見た目は星のカービィシリーズのゴルドーにそっくり)など、歴代シリーズの敵キャラが登場している。敗北ルートと時系列不明の作品にしか登場していないライネルの姿もある(これも敗北ルート並びにブレワイ&ティアキン世界の繋がりを考察する材料になっている)。
もちろん、頭に火がついたゾルの仲間のキャンゾルや、スタルチュラにそっくりなイトチュラなどといった新規の敵キャラも登場している。
余談
「時のオカリナ百科」の宮本のインタビューによれば、時のオカリナ→初代ゼルダの伝説→リンクの冒険→神々のトライフォースという風に繋がる構想だったとのこと。
ただし宮本自身も「謎」な部分が多く、「リンクの冒険に出て来るリンクの父親が時のオカリナのリンクなのか?」「じゃあ母親は誰? ゼルダ?」など疑問を呈している。
「いずれの作品もリンクは別人(血のつながりはあるかもしれない)」「ガノンはエピソードごとに蘇る」という部分は当時から決まっていた。
関連タグ
ハイラルヒストリア…2011年に発売された初のゼルダ史公式ガイドブック。