『アタクシは魔女教大罪司教、『色欲』担当――
カペラ・エメラダ・ルグニカちゃん様でーす! きゃははははっ! 敬え、崇めろ、跪いて懇願して糞尿垂らして惨めったらしく泣き喚け、クズ肉共! きゃははははっ!』
「慈悲深く優しいアタクシは、恋多き女でもあるわけですよ。この世の愛と尊敬を一人占めすると決めてるわけで、でも愛されるための努力を欠かすなんて怠けた真似も決してしねーんです。愛されるために、あなたの好きなアタクシになる。あなたにアタクシを見てもらうために、アタクシ以外のものからあなたの興味を奪う。もともと誰を愛してても構いやしません。最後の最後に、アタクシを選んでくれるなら。アタクシはそのための努力を欠かさない。アタクシ自身の魅力を上に上に上に上に上に上に上げて! アタクシ以外のクソ肉の魅力を下に下に下に下に下に下に下げて! この世の最も尊く美しいアタクシを、誰もが愛するようにする」
「ね? てめーはいったい、どぉぉぉんなアタクシが好きぃ?」
プロフィール
性別 | 女性 |
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年齢 | ? |
身長 | 145cm(可変) |
名前の由来 | ぎょしゃ座α星カペラ(Capella) |
能力 | 『色欲』の魔女因子 |
CV | 悠木碧 |
概要
魔女教大罪司教『色欲』担当。
右のモミアゲだけが異様に長いショートヘアに、下着同然の衣服を身につけている金髪の童女(ただし、後述する権能の性質を踏まえるとこれは本来の姿ではない可能性もある)。
腰の部分には巨大な瘤のような器官が二つ付いている。
もう存在しないはずのルグニカ王家の名と、50年以上も前に若くして死亡したとされる「エメラダ・ルグニカ」の名を名乗っており、その素性は謎に包まれている。
ただ分かっていることは、生前のエメラダは大変美しく、聡明な人物であったようだが、その実態は残忍極まりなかったとされ、計り知れない闇を抱えていた人物だったという。
その嫌われっぷりは尋常でなく、当時死亡した際には国民感情によって国葬すら行われなかったという。
人物
一人称は「アタクシ」。
老若男女問わず、この世の全ての人物を平等に愛していると語る、自称「博愛主義者」。
自身もまた承認欲求が強く、自らを「尽くす女」と称し、他者から愛されるための努力は決して惜しまない。
…などと嘯くが、
実際は礼節に唾を浴びせて踏み躙るようなその語り口調に違わず、自分以外の全てを平等に見下し、踏み躙り、存在を凌辱することをこの上なく楽しむ悪辣な少女である。
担当する大罪通り価値観もそれに沿ったものであるが、端的に言うと「人は見た目が100%」を信じ込んでいる「世界中の人間に愛されたいふわもてガール」。
「この世の愛と尊厳は全てアタクシに独り占めされるだけにある」と豪語し、後述する権能を行使して無理やり自分を愛するように仕向ける究極のエゴイストであり、そのやり方も極めてえげつない。
例えば、ある人物の愛を自分に向けさせるためにまず自分が権能によりその人物の好みである姿に変身し、次にその人物の身の回りの人物を「とてもじゃねーけど愛せねー」姿に変えてしまう事で相対的に自分の魅力を上げ、消去法で愛するように仕向ける。
自らのエゴのために、他者を醜い姿に変貌させて人としての尊厳を平気で踏み躙り、『愛』の価値観を根本から否定し、人権などの一切を排して「愛する」事を強要するのである。
こんな傍から見れば無茶苦茶なやり方であっても、相手は絶対に自分を愛してくれるはずと本気で考えており、自身が間違っているなどとは毛ほども考えていない。
更に、ここまでしてなお相手が自分を愛してくれなくとも、彼女はその人物を殺したりはしない。
「自分を愛してくれる可能性は生きてる限り残る」という思考の元、いっそ殺してくれた方がマシなレベルの仕打ちをした上で生かしておくのである。(後述参照)
一見理解できない凶行に走る彼女であるが、その行動は「見た目がその人の好みであれば性格なんて関係ない」という彼女の確固たる『愛』の価値観から来るもの。
人間の語る愛など「所詮自分たちの醜い劣情を綺麗に着飾らせただけの薄っぺらいもの」で「結局は肉欲が全て」であると断じており、この主張に反論しようものなら突然爆発しがなりたて、我を忘れ明らかな敵愾心をもって襲いかかってくる。
「うるせーんだよ! メス肉からメスの臭いがして! オス肉のてめーからオスの臭いがすりゃー一緒なんだよ! 何も思ったことねーってんですか? やらしいこと考えたこといっぺんもひとかけらも一秒たりともねーって胸張って言えるってんですかよぉ? 一秒考えたらそれはもうオス肉とメス肉の関係じゃねーですか。何が違う! 何が違う! 何が違うか言ってみろやぁ!!」
「髪が撫でてーんじゃねーんですか? 唇に触れてーんじゃねーんですか? 体を抱きたいんじゃねーんですか? その薄汚い汁ダクの思考を、てめーらは愛だなんだって綺麗事で飾るんじゃねーですか。勘違いするんじゃねーってんですよ。愛が綺麗なもんだとか勘違いしてんじゃねーってんですよ。劣情を勝手にてめーらが美しい言葉で飾り立てて悦に浸ってるだけじゃねーですか!」
全てのものから愛されることを目的と宣う彼女だが、この通り本人は『愛』と呼ばれるものを「綺麗事」としており、そういった意味ではカペラは真の意味で愛されることは望んではいない。
人々の『愛』という名の劣情に塗れた姿を一身に受け、自分はそれを上から侮蔑し、嘲笑い、全能感に浸り酔い痴れることを目的としているのである。
自らを「博愛主義者」「尽くす女」と称して憚らないが、これは自分以外の人々を「肉欲しか頭に無い存在」として根本的に見下しているため。
またこの自身の価値観を証明するかのように、
好き合っている者同士の片方を権能により醜い姿に変えて「これでも愛せるか」と吐き捨てたり、
2人のうちのどちらかに化け、適当に演技したのちに「ほら、やっぱり中身なんて見ちゃいねーんですよ」と嘲笑ったり、
妻の姿に化けて夫に自分を殺させて翻弄するなどの行動を普段から暇潰し感覚で行なっているらしく、
とにかく他者を徹底的に見下し、存在を陵辱してやる事を何よりの愉悦とする極めて悪質な外道。
「人間なんてどいつも性欲の塊」と決めつける極端思考、歪んだまま完全に凝り固まった価値観、他者の尊厳を踏み躙り破滅させる事に快楽を見出す破綻した精神性の持ち主であるため、当然まともなコミュニケーションを交わす事なんぞまるで不可能。
というより最早会話すらしたくないと思わせるレベルであり、何度も苦境を乗り越え、鍛えられたメンタルをもったスバルからですら「この場から逃げてしまいたい」「認識したくない」「身の毛がよだつ」「生理的に無理」とボロカスに評されていた。
他の大罪司教は自身の邪魔をされない限り特に自分から討って出てくることはない分、むしろ明確な悪意を持って積極的に襲いかかってくる彼女は相対的に見て一番タチが悪いかもしれない。
作者曰く「大罪司教の中で一番のクズ」
因みに逆に彼女の主張に賛同し、心から愛を示せば普通に喜んで何処かへ行ってしまうらしい。
…もっともこのどこまでも悪辣かつ残虐非道な彼女に対して心から好意を示せるかどうかは別の話であるが。
エメラダ・ルグニカの名を語るが本人かどうかは不明。
劇中ではルグニカ王家への当てつけとエメラダの名を知る者への悪趣味な嫌がらせか、こちらの疑心暗鬼を誘うものかと推測されている。
また自身の血には、王家に授けられるものであると伝わる「龍の血」が混じっていると語っている。
本来は大地に豊穣の恵みをもたらす血であるとされるが、彼女に流れるそれは「呪い」を授ける代物。身体に侵入すると激しい苦痛を伴って侵食していく。
しかし、上手く身体に適合すれば元の身体能力以上の力を生み出すことができる模様。負傷した部分に垂らせば重傷であろうと支障なく動かせるまでに回復する。(ただし患部を中心に黒い血管が張り巡らされたような状態となる)
が、適合できなかった場合、絶え間無い苦痛に苛まれることになるほか身体中に黒い斑と血管が浮き上がり、見るも無残な姿となってしまう。
劇中では負傷したクルシュと、スバルの右足の傷に垂らし、血に負けるかどうかを試していた。
のちに、血を垂らされたスバルの右足は図らずもレグルスとの戦闘に役立つことになる。
一方でクルシュは血に適合できず、見るに堪えないほどに悲惨な姿となってしまった。
戦闘能力
魔女因子の保有者で、『色欲』の権能を行使する。
権能を用いない素の戦闘力は恐らく見た目通りだろうが、聡明で知られたエメラダと同じく非常に頭の切れる人物である。
劇中では自らの権能を利用して罠を仕掛けたり、逆に罠にかけられたとしても直ぐに意図に気づき、追い込まれても冷静に対処する等、今のところ戦闘中で予想外の出来事に狼狽えるといった姿は見られない。
また本人の主義故か観察能力に長けており、表情から相手の好みを割り出すことが可能。
…だけにとどまらず、仮に相手が兜などを被り表情が見えない場合であっても声、仕草、喋りの間、首の角度で目線、態度、会話で性格、性質、好悪を判断し、完璧に相手の好みを把握してしまう。
その才能は最早「長けている」を通り越して執念すら感じられ、いっそ悍ましい。
権能
「てめー好みの美少女にだって、ぐにゃぐにゃ変身してやりますよ? アタクシ、尽くす女ですから! きゃははははっ!」
- 『変異、変貌』
文字通り自らの姿を変異させ、どんな姿にも変貌してしまえる。
相手のどんな変態的な欲求にも、あらゆる価値観の美意識にも応えられる、まさに『色欲』らしい単純明解な能力。
しかし恐ろしいのはその再現性の高さ。ただ姿を変えるだけならまだしも、カペラが変身したものはそっくりそのままその特性すら再現できてしまうのである。
例えば右腕を獣の腕に変えればその腕は相手の体を容易に吹き飛ばし、背中から大鳥の翼を生やせば飛翔能力を得る。
劇中では他にも右腕を人食い花に変えて触手で相手を捉えたり、左腕をカマキリの鎌に変えて切り裂こうとした。
カペラは初登場時巨大な黒竜に姿を変えていた。
とてつもない膂力と空を舞い上がれる飛行能力を持ち、それどころか強力な黒い炎を吐くことすらできる。
またこの性質故かあらゆる攻撃を受けようが元の姿に戻ることが可能であり、どんなに凄惨な暴力をその身に受けようとも忽ち傷が塞がっていく。
これが変異による傷の隠蔽かどうかは不明だが、少なくともカペラ自身は全くダメージを受けた様子は見せていない。それどころか本人はこの権能を「不死身」と表現している。
恐らく痛覚すら感じていない模様。
しかし、オドに干渉する攻撃に対しては忌避感を示していたことから、その不死性にも何らかの穴はある様子。
なおこの変異の権能は自分だけでなく他者にも及ぼすことが可能。
誰からも愛されたいカペラは自分を愛してくれなかった人たちに対して、自分以外のものから愛されないように悍ましい姿に変えていた。
いったん姿(存在)を変えられてしまった人々はカペラが気まぐれでも起こさない限り一生元に戻ることはない。
なおかつ人々はこんな状態になってもなお自我を保っている様子であり、完全に人ならざる存在にされた以上自分の意思で話すことも死ぬこともできず、生き地獄を味わい続けることになる。
その再現性の高さから、他者に及ぼす冒涜性は最早呪いに近い。
翻って見れば、このように相手を醜悪な人外に変えてしまうのは彼女なりの愛情表現であると言える。
…尤も彼女の相手の人間性を一切考慮しない表現の仕方は「愛情表現」というより「愛情略奪表現」といった方が正しいが。
作者曰く変身の様子は液体金属のようにドロドロと溶けていくイメージ。
腰にある二つの瘤のようなもので変身後の質量をコントロールしている模様。
「耳心地いいことばっか抜かしてんじゃねーってんだよ! 内面がどーたら性格がどーたら気が合うだの相性だのグダグダうるせーってんですよぉ! 外面だろーが、外見だろーが、見た目がてめーの肉を刺激するからその肉に惹かれてんだろーが! 心に愛を感じるってんなら、そのキラキラした言葉で飾って、キラキラした目で見つめ合って、キラキラした口触りのいい寝物語を語ってた相手が、蝿になっても愛せるか試してみろってんですよぉ! 愛せるか、愛せねーだろ!? おぞましいもんなぁ!? 気持ち悪いもんなぁ!? 嫌悪感しか湧いてこねーもんなぁ!? てめーがてめーでさっきそう言いやがったんだもんなぁ!?」
「クズ肉が、アタクシを見てろ!」
スバル曰く「人間の尊厳と価値観を弄ぶ怪物」
余談
- 過去
とんでもない外道である彼女だが、作者曰く何らかのトラウマを抱えているという。
実際にスバルから自身の価値観を否定されると、いつものハイテンションぶりが嘘のようにぶつぶつと恨み言を呟き始め、その後発狂したように暴れ始めるなど、その過去を匂わせる行動をとる。
そのトラウマさえ解消できれば、或いは気を許してさえしてくれる可能性もあるらしいが…
地雷ワードは「ありのままの君が好き」
- スバルからは
クズ揃いの大罪司教に対し、当然どの人物にも好意的な印象を持っていないスバルだが、ことカペラに対しては因縁ある『暴食』を除いて特に嫌ってる節が見受けられる。
他人に大罪司教の情報を説明する際に「(みんな酷いが)特に酷い」と紹介していたり、あまつさえ後のストーリーで記憶喪失になった際にも能力を聞かされただけで「嫌悪が湧く」と感じていたほど。
よっぽど生理的に受け付けなかったのだろうか。
- 他の大罪司教に対して
クズ揃いの大罪司教達は自分たちのことは異常とは思っていないため、お互いにお互いのことをクズだと思っている。
カペラもそれは例外ではないが、本人の多弁さ故にその罵倒もバリエーションが多い。
「怨念慕情の変態メス肉」→シリウス
「器極小の童貞野郎」→レグルス
「人品卑しい悪食の下種ガキ」→バテンカイトス
「筋違い勘違い思い違いの自慰精霊」→ペテルギウス
2024年10月からアニメ3期の放送が始まるが、このカペラさんの数々の罵詈雑言を口にする(事になってしまった)担当声優は悠木碧氏。
もともと「変幻自在の声質」と評される同氏が担当ということもあって、カペラのイメージにぴったりとするコメントも多い。
…しかしこれらの台詞が地上波ではどうなってるのか非常に不安である。流石に規制も激しいので垂れ流しは無いと思いたいが…
下手をすればピー音塗れになる可能性が…
- 「ママ」
第4章に至るまでスバルを襲い続け、現在エミリア陣営の捕虜として囚われることになった殺し屋の「魔獣使い」メィリィ・ポートルート。
彼女は雇われの身であり、エルザと共にある人物の指令で動いている。その人物をメィリィは「ママ」と呼んでいるが……(6章のネタバレへ続く)
- その人格について
「真実の愛なんてものは一切、絶対に存在しない」という狂気的なまでの拒絶反応からは、「どこかに自身の求める真の愛がある」と信じたいある種の潔癖な夢想主義が垣間見える。
その理不尽な行動内容は「真の愛さえあれば乗り越えられる」という潔癖さを、目に付いただけで我慢できなくなる常習性と価値観を否定されると激昂する余裕の無さは、自身の行為に対する思い入れ(理想)の深さを示している。
或いは「自分の知る愛こそが至高で、それ以外は醜い偽物」という唯一絶対性を盲信しているのかもしれない。
関連イラスト
関連タグ
魔女教 , 色欲 , 愉快犯 , あばずれ , ※ただしイケメンに限る
クルシュ・カルステン - 彼女の被害者。
カーミラ(リゼロ) - 過去の『色欲』の適合者。
活躍
※第5章の内容を含みます※ |
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第5章にて初登場。
他の大罪司教達と共に『水門都市プリステラ』に突如として出没。都市の中心にある都市庁舎を占拠する。
そして庁舎にある魔法器にて都内放送を行い、魔女教が都市の中枢機関をすべて掌握したことを高らかに公表した。
魔女教は福音書の内容に従って行動してはいるが、「それぞれが仲良く連携して活動するわけがない」と踏んだスバルは、現状の全戦力を一つに投入し、
それぞれの制御塔を占拠する大罪司教達に気づかれないよう、一気に攻め落としていく作戦を立案。
ガーフィール、ユリウス、ヴィルヘルム、そしてクルシュと名だたる強者達を引き連れ、庁舎へ奇襲する。
が、カペラは門番として大剣を構える巨漢と、長剣を構える女の二人の強力な魔女教徒を配置して待ち構えており、スバル達を黒竜の姿で嘲笑った。
二人の魔女教徒をガーフィールとヴィルヘルムに任せ、スバルはクルシュとユリウスと共に庁舎内に侵入。しかし内部には『暴食』担当の大罪司教ロイ・アルファルドが待ち伏せており、スバル達に急襲する。
アルファルドをユリウスに任せ、スバルはクルシュと共にカペラのいる最上階へと向かい、裏をかく形で窓から奇襲。
黒竜はスバル達の活躍に完全に面食らったのか、クルシュによってあっさりと撃退されてしまう。
段取り良くスバルは庁舎にいた人々を助け出すため、放送室へと乗り込むが…
「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」「――――」
そこには、人ほどの大きさをもった大量のハエが押し込まれていた。
「きゃはははっ! バーカ、バーカ! てめーらクズ肉が足りねー頭ひねったところで、アタクシに知恵比べで勝とうとか脳味噌代わりに砂糖でも詰めてやがんのかってんですよー! きゃっはははは!」
「カペラちゃんどぇーす! きゃははははっ!」
クルシュを呆気なく打ち倒し、スバルを嘲笑うカペラ。
最上階にいた黒竜はカペラではなく、彼女によって存在を変えられた一般人。そして放送室に押し込まれていた大量の巨大ハエも同じく彼女に姿を変えさせられた人々だった。
激しく怒りながらカペラに立ち向かうスバルだったが、結局彼女には全く敵わず敗北。瀕死に追い込まれてしまう。
しかし死の間際、彼女は自身の血をスバルの傷口に注ぐ。激しい苦痛と共に、スバルは意識を手放すのだった。
散々な結果からスバルは目を覚ますと、自身が死んでいないことに気づく。幸か不幸か、血の力によって一命は取り留めていたのだ。
が、同じく血を与えられたクルシュは見るも無惨な姿となり、戦線復帰も叶わない状態となってしまった。
スバルが気を失っていた最中、カペラは都市へ本来の目的であった『魔女教の要求』を放送し、庁舎をあっさりと放棄、撤退していた。
大罪司教達は、それぞれ福音書の記述に従い、都市の東西南北に存在する4つの制御塔を占拠。水門の解放を脅しに、都市に持ち込まれた物品を要求した。
『暴食』は「人工精霊」、『憤怒』は「叡智の書」、『強欲』は「銀髪のハーフエルフ」をそれぞれ要求。
そして『色欲』、南の制御塔を占拠したカペラは、都市のどこかにあるという『魔女の遺骨』を届けるよう要求した。
ちなみに、Web原作版ではカペラのみ要求事項がかなり異なっており、
「相思相愛の男女を二十組、制御搭に届けろ。――絶対に危害は加えない」
というものとなっている。
…見れば分かる通り、特に魔女教に益があるような内容ではない。単なる嫌がらせである。
書籍化するにあたりストーリーラインに変更があったのかもしれないが、こちらはこちらでカペラの一際強い悪辣さが目立つ要求だと言える。
この事態を受け、都市に集まっていた王選候補陣営達は一時的に協力。
都市庁舎を本拠地として、プリステラ奪還のため、本格的に行動を開始することになる。
『強欲』攻略にはスバルとラインハルト、『憤怒』攻略にはプリシラとリリアナ、『暴食』攻略にはユリウスとリカード、と人選が割り振られる中、
カペラについてはヴィルヘルムとガーフィールが名乗りを上げた。
それぞれが都市庁舎から出発し、制御塔へと進撃。
ヴィルヘルムとガーフィールもカペラが占拠する南の制御塔の扉を開くが…
『大人しく待つわけねーでしょうが、バーカ』
部屋一面に、大量の鮮血で書かれた血文字。
襲撃に対し、当たり前のように逃げを打ったのだ。
制御塔を放棄し、カペラが向かった先は都市庁舎。彼女は初めからこちらの意図を読んでおり、戦力が分散して手薄になった本拠地を狙うつもりだったのである。
完全にしてやられた二人は慌てて庁舎へ戻ろうとするが、カペラは道すがら二人の魔女教徒を配置。
ヴィルヘルムは女剣士の魔女教徒、ガーフィールは巨漢の魔女教徒に阻まれ、おまけに通信機として利用していた魔法器すらカペラに無力化されてしまった。
一方、まんまと庁舎へ到着したカペラは本拠地をゆっくりと蹂躙しようとするが…
事態を予測していたアナスタシアの罠にかかり、庁舎の地下へと転落。
その地にてプリシラお抱えの奇人…もとい騎士、アルデバランとの戦闘になる。
しかし全く狼狽える様子もなく、むしろ弄ぶようにアルデバランと戦闘するカペラ。
アルデバランはヴィルヘルムらが戻るまでの時間稼ぎのつもりだったが、あいにく二人は先述の通り身動き取れず。
更にカペラはダメ押しとばかりに黒竜に変化。強大な膂力と黒炎の威力にアルデバランはかわし続けることで精一杯となるが、あんまりにも暴れすぎたためか、ついに庁舎は土台を失う。
彼女はここにきて飽きてしまったのか、庁舎の崩壊を最後に、プリステラから姿を消した。
結局、プリステラを襲撃した大罪司教達は『強欲』と『憤怒』を除き撤退。都市奪還は成された形になる。
が、『暴食』によって人生を「喰われた」人々、そしてカペラによって姿を変えられた人々など、
大罪司教達は人々に大きな傷痕を残し、好き放題した挙句、去っていったのだった。
彼女を取り巻く謎(ネタバレ注意)
第6章にて、『魔獣使い』メィリィの人生を記した「死者の書」にて、彼女の『ママ』として母親代わりとなっていた人物が登場している。
その人物はかつて育ててくれる環境も何もなかったメィリィにありとあらゆる躾を施したという。
…しかしそれはメィリィのためではなく、メィリィに自分を愛させるために。
本人かどうかははっきり言及されていないが、その話し口調、そして何よりそこから発せられる歪かつ邪悪な言動から、カペラとしか思えない点が多々見受けられる。
もともとほぼ野生児のような暮らしをしていたメィリィに対するその躾は、拷問と称するのも生ぬるい代物であったらしく、恐怖を植え付け逆らう意思すら持たないよう教育していたようである。
「嘆け、アタクシのために。抗え、アタクシのために。生きろ、アタクシを愛するために」
「何もかも、なくした忘れた失ったなんて言いやがるんなら、アタクシが躾けてやろーじゃねーですか。――それが、『母親』の務めってもんですからね」
メィリィに限らず、カペラは世界中から異能を持った人物を「息子」「娘」として集めているようであり、劇中でスバル達を苦しめたエルザ・グランヒルテすら「娘」として引き入れていたことが判明している。
どういった目的なのかは不明だが、本人曰く「どんな技能も適材適所」として自身の目的を果たすための腹心としている模様。
「日向じゃ生きられない怪物共に、アタクシが生きる意味を与えてやります。」
…見ようによっては「真っ当な生き方ができない子供達を受け入れる聖母」のようであるが、息子や娘達からは絶対的な恐怖の対象としてしか見られていない様子。
カペラもカペラで、自身の子供が殺害されるようなことがあっても特に悲しむ素振りは見せておらず、それ所か子供を下した人物の方に興味が移り、新たな「子供」として迎え入れようとするなど、子供達へ向ける感情は少なくとも『ママ』が持つべきそれではない。
また、カペラは大罪司教の中でも本編とは別の時間軸にて暗躍している描写が非常に多い。
その行動のどれも真意が不明で、多くの謎を残している。
本編の前日譚にしてエルザ、メィリィの過去を描いた『アポカリプスガールズ』においては、彼女らを娘として迎え、暗殺者として教育する姿が描かれている。
第2章においてエミリア暗殺のため発生した魔獣事件では、メィリィをアーラム村に潜伏させており、
さらに、第4章にてロズワールの依頼により、メイザース領を襲ったエルザにメィリィを同行させたのも、実は彼女であったことが判明している。
ロズワールはこの時「別の黒幕」がいることを仄めかしていたが、カペラとロズワールとの間に関係があったのかは不明。
幼少のアナスタシアを描いた『カララギガールズ&キャッツアイ』においては、アナスタシアが襟巻きとしてそばに置いている『人工精霊』の「襟ドナ」を『魔女の遺産』として回収するために、「息子」の亜人ライゼルを刺客として送り込んでいる。
ライゼルが敗北したため回収は失敗しているが、「次こそは必ず蒐集品に加える」と不穏な発言をしている。また、この事から遺産の回収は魔女教の大罪司教としてではなく、個人的なものであるフシがある。
(ちなみに、この時敗走したライゼルは「躾」としてカペラに変貌させられてしまった。)
本編の世界軸とは異なるが、IFルートにすら存在が仄めかされている。
スバルとレムが諸々の問題から逃避し、カララギ都市国家へ駆け落ちしたルート『IFから始める異世界生活』において、レーゼという鬼族の女性が登場するが、
レーゼが暮らしていた村を魔女教徒達と焼き払い、彼女に重傷を負わせ、自身の『龍の血』を流し込む姿が描かれていた。
「なかなか悪くねーじゃねーですか。アタクシ好みの目ぇしてやがりますよ。」
「ノルマ完了!さぁ、てめーはアタクシのどぉぉんなところが好きぃ?」
本編第5章におけるスバルに対してもそうだったが、彼女は気に入った相手には自らの血を与え、呪いに打ち勝つか試しているようである。
レーゼ、スバルは共に呪いには勝ち、とりあえず生き延びてはいるが、その後どうなったかは未だ描かれていない。
後々それがどんな爆弾となるか…真意がわからない分、非常に不気味である。