白い仮面の男「知っての通り、我々人類が抱える最大の〈憂い〉は……“怪獣”だ。怪獣についてのあらゆる記憶や物事を削り取ることで、やがては怪獣が存在したという事実そのものを消し去ることができるんだ」
DATA
別名: | 楽園夢想遺構 (らくえんむそういこう) |
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全長: | 40m |
重量: | 8万4,000t |
出身地: | 古代の地球 |
デザイン: | 越知靖 |
概要
『ウルトラマンアーク』第22話「白い仮面の男」に登場した巨大物体。
劇中では「柱」と呼称されているが、見た目は銅像のような質感をした深鉢型の浮遊物体である。
謎の仮面の男が長年研究してきた不安や苦しみのない"楽園"の答えとして、自身が着けている仮面と共に発見した超古代の出土品で、彼曰く「かつて地上に存在した"楽園"の一部」であり、その存在を知る者にしか見ることができないという。
しかし、その実態は不安や苦しみといった人々の〈憂い〉の原因を柱に取り込ませる=対象となった概念を人々の意識下から文字通り削り取るように消去させて、それに伴い現実下の〈憂い〉までも消去するものであり、端的には究極の現実逃避に他ならない(そのやり方は仮面の男から「コンクリートで蓋をされた川が人々に忘れられると同時に川も消滅する暗渠」に例えられている)。
実際、劇中での〈憂い〉である「怪獣」を消去させるため、仮面の男はまず直近の怪獣案件に携わった「雨」を消去し、それにより雨のみならず雨に関わる事象全ても連鎖的に消去した。
また〈憂い〉の消去に伴い、周辺の人々の記憶や思考能力まで朧気にさせる弊害もあり、柱の影響を受け改変された世界はどこか色褪せたような世界になるなど、上記の実態も併せて鑑みるに、柱が創世する楽園は謂わば「虚飾の箱庭」と言える。
結局のところ、この楽園は「夢想」の名の通り絵に描いた餅であり、事実なんらかの事象によって、その楽園を創ったはずの古代文明は滅んでしまっている(自滅なのか、能力が効かない敵に滅ぼされたのかは不明)。
そのため、仮に仮面の男の目的が達成されたとしても、いずれは滅んでいた可能性が高い。
防衛能力として、一体化した仮面の男であったであろう顔の紋様の目の部分から放つ光線で対象を半円状のドームで包み込み、内部に放電して集中攻撃を行う(これによりアークの身体から色が消えていく="輝き"が奪われていくことから、記憶消去と同じ作用が推定される)。
アークのカラータイマーを早期に点滅させるなど攻撃力はそれなりにあるようだが、あくまで「記憶を失わせる」機能がメインで本体の防御面はそれ程でもなく、バリアもアークファイナライズで簡単に貫通されてしまった。
動向
(柱はその存在を知るものにしか見ることができないため)いつ頃から星元市に存在していたのかは不明だが、ある日のSKIPでメンバーそれぞれが最後に怪獣が現れた一ヶ月前の記憶を思い出せないという事態の発生と同じ頃に「雨」の存在が消えたことから、その時点で活動を開始していた模様。
翌日、ニュー星元ビルからSKIP星元市分所が消え、所長の伴ヒロシが喫茶店の店長になっており、ユピーがヒロシが飼っている犬に変わっていたことからメンバーも異常に気付くが、防衛隊に報告を試みようとしたシュウや弱気になっていたリンも、仮面の男と遭遇した直後に消えてしまう。
残ったユウマの前にも仮面の男が現れ、彼から星元市の上空に浮かぶ謎の物体「柱」の存在を教えられたことでユウマも柱の存在を認識することができた。
柱の上にユウマを連れてきた仮面の男は、完璧な楽園を作るために人類の〈憂い〉である「怪獣」を消し去ろうとしている計画を話し、その過程で切っても切り離せない存在であり、柱の影響を受けないアークとユウマ自身の想像力を危険視し、放棄するようにユウマに詰め寄る。
柱から落下したユウマはアークに変身できず、気が付くとそれまでの記憶を失い、改変された世界でヒロシの営む喫茶店の店員となっていた(リンも同様に店員になり、シュウはコーヒー豆業者になっていた)。その様子を喫茶店の客として見届けた仮面の男は、楽園の"仕上げ"に取りかかるべく柱と一体化。
その後、ヒロシから買い出しを頼まれて出掛けた際に、かつて通っていた絵画教室の跡地と道端で聞いた水の音、そして自分の手に付いたチョークから記憶を…想像力を取り戻したユウマはアークに変身、仮面の男と一体化した柱(この際、男が装着する仮面状の紋様が表出した)と対峙する。
柱の目が光り、半円状のドームでアークを包みこんで放電し、彼から輝きを奪って再び存在を消し去ろうと追い詰めるが、最後はアークファイナライズを顔の紋様に受けたことでそのまま砕け散るように爆散。
爆発した柱の破片は色とりどりの雨となり、その雫が落ちた場所は再び色付き、「完璧な"楽園"」というどこか色褪せた世界に変わってしまった現実も元に戻り、人々も記憶を取り戻したのだった…。
余談
- (怪獣と呼べるかすらも怪しいが)『マックス』の魔デウスから約19年ぶりとなる、完全非生物型の抽象的デザインの新規怪獣である。ウルトラ怪獣の中でも「超常的な力を秘める古代遺物」は珍しくないが、柱は「生物的な要素がほぼないオブジェ」となっている点で極めて異質となっている。
- 非生物型の抽象的デザインの怪獣は、昭和・平成シリーズ内でもただでさえ数が少ない上に、ニュージェネシリーズに入って怪獣ソフビ関連の玩具展開の強化の中で商品として受け難く、更に製作上の観点で少なくなった新規怪獣の枠の都合の影響もあり、再登場系もブルトン程度しか選ばれておらず、新規怪獣が多く登場した前作でも未登場だった。このように近年は系統として新規は途絶えたに等しいモチーフの怪獣であっただけに、この柱の登場は古参のファンから驚かれた。
- なお、当然ながらこの柱はウルトラ怪獣シリーズなどのソフビのラインナップには入っていない。仮に商品化するとすれば、置き物等のオブジェとしてなら可能性はあるかもしれない。
- 非生物型の抽象的デザインの怪獣は、昭和・平成シリーズ内でもただでさえ数が少ない上に、ニュージェネシリーズに入って怪獣ソフビ関連の玩具展開の強化の中で商品として受け難く、更に製作上の観点で少なくなった新規怪獣の枠の都合の影響もあり、再登場系もブルトン程度しか選ばれておらず、新規怪獣が多く登場した前作でも未登場だった。このように近年は系統として新規は途絶えたに等しいモチーフの怪獣であっただけに、この柱の登場は古参のファンから驚かれた。
- デザインは、登場回を担当した越知靖監督が、白い仮面の男の仮面含めて担当している。
- アシンメトリーに渦巻くことで不安や畏怖を感じさせる模様となっており、設定とは真逆のコンセプトでデザインされている。
- 登場エピソードの異質感漂う雰囲気含めて、「『ウルトラQ』の派生作品に登場してもおかしくない」という意見が多く寄せられている。
- また、話の構成的に「記憶が失われていくミステリードラマ」を軸に置いていたのか、劇中の戦闘シーンは45秒程度と非常に短い。
関連タグ
- ギジェラ:劇中の所業に類似性が見受けられるウルトラ怪獣。
- 人間怪獣:無機物と融合した存在はこの「柱」が初めてである。