冷笑系
れいしょうけい
概要
「冷笑系」とはなんらかの主張や意識、とりわけ政治的・社会的なものを上から目線でカッコつけて、冷ややかに笑いの種にしたり侮辱したりする人物や、そうした人々に特有の発言・態度を指す。
一般的には「シニシズム」と呼ばれるスタンスの現代的な変形種である。
wikipediaでは、冷笑主義の英語版からの翻訳記事で、「他人の動機に対する一般的な不信感を特徴とする態度」であり「野心、欲望、貪欲、満足感、物質主義、目標、意見などの動機を持つ人々に対して一般的な信念や希望を抱かず、それらを虚しい達成することのできない、究極的には無意味なものであると認識し、嘲笑や非難に値すると考えている」ものだとしている。
冷笑系の人物は、現状改革のための何かに熱心に取り組む人や、真剣に何かの主張をする人、或いは熱意が高じて感情が高ぶっている人などを忌み嫌い標的にする。
そういった人たちに対してなにかと粗捜しをしたり、独りよがりだとあざ笑ったり、内容ではなく感情的になっていることを悪であるかのように形容したり(いわゆるトーン・ポリシング)、「意識高い系(笑)」とレッテル貼りをしたり、相手の主張にいちいち揚げ足を取るのを特徴とする。
夢を達成しようと取り組む人には「馬鹿馬鹿しい」「無駄な努力」、善意の行動をとる人には「偽善」といった具合にシニカルな動機が隠されていると決めつけるなどである。
名称の由来でもあるが、直接的に罵倒するというよりも対象の意欲や動機そのものを嘲って冷水を浴びせかけるかのような悪意を向けるのが特徴である。
ちなみに冷笑系は大半のPCにもデフォルトで入っている「笑い転げる顔文字」を煽りの用途で使う者が非常に多く、この顔文字を見ただけで拒否反応を示すユーザーも増えているという風評被害も出てしまっている。
特徴
冷笑主義と2ちゃんねるとの関係
冷笑主義の一大増殖地となったのは2ちゃんねるである。
もともと2ちゃんねるではレスバトルに夢中になって口調がヒートアップしきたり相手への返答として投稿が短時間に連続すると、その人物を「必死になっている」「顔真っ赤」と嘲笑したり相手の怒りを誇張することで、相手の意欲そのものを侮蔑してマウントをとることが一般化していた。
2ちゃんねるでは「賢い奴はどんな時でも感情的にならずクールである」「怒っている奴は低次元で馬鹿」という思想が充満しており、とにかく他者の意志や熱意を毛嫌いして馬鹿にするカルチャーがある。
加えて、2ちゃんねるは建前上「書き込んでいる中の人はいない」ことになっている設定の匿名空間であるが、こうした匿名状況は「発言者自身の属性を一切覆い隠す」という効果をもたらす。
このことが、顕名の通常議論では起こりえないような「(この世のすべてを「ネタ」として消費することすら厭わない)無責任なまでの傍観者目線」「自己への批判を回避しながら一方的に相手を批評する権利」を2chユーザーに与えることになった。
2chでレスバに負けない方法は、自己の主張を一切持たず、「あくまでもネタ」という不誠実なスタンスを装い、ボロを出さないようにしながらひたすら相手がミスをするのを待つか、誰でも腹を立てるような不必要で失礼な発言によって冷静さを失わせてミスを誘い、僅かでも語調が荒くなれば「勝利宣言」を行うことである。このような議論とも言えない独特な中傷合戦は、やがてネット作法として定着していった。
冷笑主義それ自体はイデオロギー性がないが、これが当時流行の新自由主義や自己責任論、架空戦記的なミリオタ趣味と結びつくことでヘイトイデオロギーを持った冷笑系が台頭。現在の某国への悪口で24時間消費するインターネットに繋がっている。
2ちゃんねる衰退後も続く冷笑主義
こうしたアングラ空間のネットマナーが日本語圏のネットユーザーの基本的態度に影響してしまったために、後に発展したニコニコ動画などのコミュニティやTwitterなどのソーシャルメディアにもそのノリをそのまま持ち出す人が少なくなかった。
2ちゃんねる管理人の西村博之自身も冷笑主義の達人であり、西村を代表する「それってあなたの感想ですよね?」という発言は、まさに冷笑系を象徴する言葉である。2ちゃんねる衰退後も西村の影響で2ちゃんねるを知らない若年層にも広まりつつある。
またアンチ冷笑系を唱える人々も「冷笑系は陰キャ!キモオタ!」などと罵ることが主流となっており、気が付かぬまま冷笑系に取り込まれつつある。
ご意見番としての冷笑系
冷笑系は狭義的には権力者が法律的にアウトな不祥事を犯した場合に、必ずネットニュースのこたつ記事や報道番組のご意見番として湧いてくるその権力者を擁護する有名人の事を指す場合も多い。
主に権力者の違法行為を真面目に批判している層を煽って委縮させたり、しつこく顔出しすることで相手をうんざりさせ戦意を喪失させたりするなどして権威主義体制を維持するのが目的。
ある意味冷笑系は現在のテレビの主役であり、テレビ局は彼らのためにテレビ番組を作っているともいえる。
特徴としては過去に不倫やレイプ、窃盗、人権侵害などは当たり前、ひどいものだと他者をパワハラによる鬱病や間接的な自殺に追い込んでいる者すらいるほぼ反社会的勢力か半グレと同様の脛に傷持つ人間が多いことである。そして創設者のひろゆきをはじめ過去に2ちゃんねると密接な関わりを持っている者も多く、その影響か同じ2ちゃん発祥のネット右翼がそのまま表舞台にしゃしゃり出てきたような者も目立つ。
そんな人間が問題行動を現在も起こさないはずがなく、レギュラーを抱えている最中でも度々再び不祥事を繰り返すが、その度に何のお咎めもなくテレビに戻ってくる。
これについては「他の芸能人は不倫一回しただけでもアウトなのに、どうして彼らだけは不問なんだ」と怒りの声も多く、テレビ局の推しメンというだけで起用されている連中と皮肉られることもある。
また本職についても実績があるかが怪しく、経歴詐称が判明し非難を浴びた者も珍しくない。
そしてコメンテーターとして何百回も出ているうちにテレビ局から出世と見なされ、報道無関係なバラエティ番組やサブカルにも進出してくる。
しかしあまりにも同じ顔・同じ内容しか言わないので、視聴者側からも逆に「どうせテレビでは冷笑系が出てきて権力擁護的な事しか言わない」という所まで読まれ、見る価値なしと見なされる…つまりテレビ離れに繋がる。
テレビのマンネリに飽き飽きしたSNSの人達はテレビを見ても先(議論が権威主義的な堂々巡りのまま終わる)が読めるので、次の段階に進みたくてネット上の有識者達の冷笑系へのツッコミの方に価値を見出し始めているのである。
ここまでテレビ局が冷笑系に固執するのは旧来の権威主義体制で莫大な富と名声を得たテレビマンが今の地位を失いたくなく、そのためになりふり構っていられないからだと思われるが、それがますます視聴者の失望を買いテレビの視聴率が落ち損益が出る自滅のスパイラルに陥ってしまっている。
関連タグ
トーン・ポリシング:社会的課題について声を上げた相手に対し、主張内容ではなく、相手の話し方、態度、付随する感情を批判することで、論点をずらすこと。
「話し方警察」とも呼ばれる。
冷静な議論は必要だが、「自分は冷静である」「相手は感情論に走っている」というレッテル貼りを行うのは議論の内容ではなく印象操作で有利な地位に立とうとする口達者な人間の手法であるから注意しなければならない。
意識高い系:自らが高い能力や向上心を過剰に盛る人達の事。冷笑系とは犬猿の仲。
肉屋を支持する豚:冷笑系の煽りに委縮した結果これになってしまう者も多い。