破壊による再生がはじまる
概要
2007年から2009年MBS制作でTBS系列で放映されたガンダムシリーズの一作。ガンダムシリーズとしては初のハイビジョン放映作品である。
TV放映のガンダムシリーズでは初の前編「ファーストシーズン(西暦2307年)」と後編「セカンドシーズン(西暦2312年)」の2部構成となっている。
テレビシリーズ放送後、シリーズ完結編として『劇場版 機動戦士ガンダム00 A_wakening_of_the_Trailblazer』は、2010年9月18日に公開された。なお、ガンダムの完全新作映画は1991年の『機動戦士ガンダムF91』以来、実に19年ぶりとなる。
「新しいガンダム像」を確立させるべく、従来のシリーズと比較して意欲的な試みが多数盛り込まれており、それまであまり重要視されていなかった動力機関の存在を前提としたモビルスーツのデザインや、ガンダムの「お約束」であったスペースコロニーではなく軌道エレベーターという別のSFガジェットを採用するなど、今までに無い新しい試みが取り入れられている。
世界観の要となる勢力間に於ける対立構図も、今までの「宇宙移民と地球に残った人々」と言った二分されたものではなく「地球にある複数の国家同士の戦いとそれに介入する第三勢力である主人公たち」という構図になっている。
加えて、宇宙世紀といった現実から隔絶した架空の年号ではなく、現実・現在から地続きである西暦年号を採用したのも本作がシリーズ初の試みとなる。その為、実在する紛争地が多く登場し現在の社会情勢を色濃く反映している世界観が特徴的である。
また、セカンドシーズンでは『2001年宇宙の旅』や『すばらしい新世界』といった幾多の古典SF的な要素も見受けられた。また、此方では一期と違いゲリラ的テロリズムではなく体制側のテロリズムが描かれ対照的と言える。
また両シーズンともテロリズムが否定されているのは一貫している。
外伝作品として「機動戦士ガンダム00V」「機動戦士ガンダム00F」「機動戦士ガンダム00P」「機動戦士ガンダム00I」「機動戦士ガンダム00N」があり、それら外伝群は密接に本編にリンクしながら独自のストーリーが展開される。
なお、今作からアイキャッチ映像が完全に無くなり、Aパート終了時・Bパート開始時にタイトルロゴが小さく表示されるのみになった(但し鉄血のみ例外)。加えて、セカンドシーズンから提供画面が無くなり、画面下側にスポンサーが小さく表示されるようになった(AGE以降はAパート開始時からになったが、UCRE:0096のみ提供画面が使用されている)。
今作のガンダムのデザインには、上述の「新しいガンダム像」確立のために長らく携わっていた大河原邦男とカトキハジメとは一旦距離を置き(無論全く関わっていないわけではない)、新たに海老川兼武、柳瀬敬之、鷲尾直広の三名をメインにするという初の試みを行っている。彼らは後のガンダムシリーズのデザインにも積極的に参加する機会が増えていくこととなる。
前作のSEEDシリーズがかなり無茶なギミックを多々積み込んで本体稼働が犠牲になりがちだった反省もあって、ガンプラやアクションフィギュアなどの立体化を前提としたデザインを心がけている。またこの時期プラスチックを形成する石油の価格高騰が発生したため、立体物の開発面でも様々な面で節約することにも挑戦している。
余談だが、2007年に放送開始に先駆けTOYOTAとのタイアップによりSUPERGT2007年シーズンにて「BANDAI 00 DUNLOP SC430」が参戦している。
「ダブルオー」の正しい表記はOO(アルファベットのオー2つ)ではなく、00(数字のゼロ2つ)なので注意。
ストーリー
ファーストシーズン
ガンダムによる全戦争行為への武力介入を開始する
西暦2307年、人類は枯渇した化石燃料に代わるエネルギー源として宇宙太陽光発電システムと軌道エレベーターを実用化していたが、莫大な建造費が必要なこれらのシステムを所有しその恩恵が得られるのは「ユニオン」「AEU」「人類革新連盟」の世界三大国家群のみだった。それらの超大国間には全面的な対決こそ無いものの熾烈な軍備開発競争による冷戦状態が継続し、また、いずれの国家群にも属せなかった小国は貧困にあえぎ、紛争や内戦を繰り返していた。
そんな世界に突如現れた謎の組織・ソレスタルビーイングはガンダムによるすべての武力を振りかざす勢力に対する武力介入を宣言する。
セカンドシーズン
その再生を破壊する───
ソレスタルビーイングの介入行動と壊滅によって地球連邦が成立、世界は統一された。しかし、軌道エレベーターの恩恵を受けられなかった国家は困窮に苦しみ抑圧され、紛争は未だに続いていた。独立治安維持部隊「アロウズ」はこれらの不満を武力によって鎮圧し、虐殺同然の行為を情報統制によって秘密にしていた。世界はアロウズを陰で操る「イノベイター」によって支配されていた。世界の歪みを正しイオリアの計画を実現するべく、ソレスタルビーイングとガンダムマイスターは再び立ち上がる。
登場人物(1st、2nd、劇場版)
ソレスタルビーイング
ガンダムマイスター
ロックオン・ストラトス(ニール・ディランディ、ライル・ディランディ)(CV:三木眞一郎)
アレルヤ・ハプティズム(CV:吉野裕行/城雅子)
プトレマイオスクルー
スメラギ・李・ノリエガ(CV:本名陽子)
クリスティナ・シエラ(CV:佐藤有世)
リヒテンダール・ツエーリ(CV:我妻正崇)
ミレイナ・ヴァスティ(CV:戸松遥)
アニュー・リターナー(CV:白石涼子)
トリニティ
ミハエル・トリニティ(CV:浪川大輔)
サポートメンバー
創設者、監視者
イオリア・シュヘンベルグ(CV:大塚周夫)
アレハンドロ・コーナー(CV:松本保典)
イノベイター勢力
リボンズ・アルマーク(CV:蒼月昇)
リジェネ・レジェッタ(CV:朴璐美)
リヴァイヴ・リバイバル(CV:斎賀みつき)
ブリング・スタビティ(CV:置鮎龍太郎)
三大国家群、地球連邦
ユニオン
グラハム・エーカー / ミスター・ブシドー(CV:中村悠一)
ジョシュア・エドワーズ(CV:金野潤)
ブライアン・ステッグマイヤー(CV:小室正幸)
デビッド・カーネギー(CV:麻生智久)
スレッグ・スレーチャー(CV:糸博)
経済特区・日本
AEU
パトリック・コーラサワー(CV:浜田賢二)
人類革新連盟
セルゲイ・スミルノフ(CV:石塚運昇)
ソーマ・ピーリス / マリー・パーファシー(CV:小笠原亜里沙)
地球連邦
地球連邦平和維持軍
パング・ハーキュリー(CV:屋良有作)
デカルト・シャーマン(CV:勝地涼)
独立治安維持部隊アロウズ
アーサー・グッドマン(CV:江川央生)
アンドレイ・スミルノフ(CV:白鳥哲)
アザディスタン王国
マリナ・イスマイール(CV:恒松あゆみ)
シーリン・バフティヤール(CV:根谷美智子)
マスード・ラフマディー(CV:ふくまつ進紗)
カタロン
傭兵
アリー・アル・サーシェス(CV:藤原啓治)
その他
登場メカニック(1st、2nd)
ソレスタルビーイング
艦船
ユニオン
ユニオンフラッグカスタム(カスタムフラッグ)|
人類革新連盟
アンフ(ファントン)
艦船
AEU
国連軍
地球連邦平和維持軍及びアロウズ
艦船
イノベイター(イノベイド)
ガッデス|
艦船
スタッフ
監督:水島精二
脚本:黒田洋介
メカニックデザイン:海老川兼武 柳瀬敬之 鷲尾直広 寺岡賢司 福地仁 中谷誠一 大河原邦男
音響監督:三間雅文
音楽:川井憲次
設定協力:岡部いさく
主題歌
オープニングテーマ
歌 - L'Arc~en~Ciel
「Ash Like Snow」
歌 - UVERworld
「泪のムコウ」
歌 - ステレオポニー
エンディングテーマ
「罠」
歌 - THE BACK HORN
「フレンズ」
歌 - ステファニー
「Prototype」
歌 - 石川智晶
「trust you」
作詞・作曲 - MARKIE / 編曲 - JIN NAKAMURA / 歌 - 伊藤由奈
「i〔ai〕」
作詞 - 東美加 / 作曲 - 熊本哲也 / 編曲 - 西田マサラ / 歌 - Mille Face
「Core」
作詞 - 東美加 / 作曲 - 熊本哲也 / 編曲 - 西田マサラ / 歌 - Mille Face
「Refrain」
作詞 - 東美加 / 作曲 - 熊本哲也 / 編曲 - 西田マサラ / 歌 - Mille Face
挿入歌
「LOVE TODAY」
作詞 - 菜穂 / 作曲 - 菜穂、佑次 / 編曲・歌 - Taja
『1st』の挿入歌(#19、#24)。
「Unlimited Sky」
作詞・歌 - Tommy heavenly6 / 作曲・編曲 - Chiffon Brownie
「TOMORROW」
作詞 - 黒田洋介、ああ / 作曲 - 浅見昂生、川井憲次 / 編曲 - 西田マサラ / 歌 - マリナ・イスマイールと子ども達
各話リスト
第一期
話数 | サブタイトル |
---|---|
1 | ソレスタルビーイング |
2 | ガンダムマイスター |
3 | 変わる世界 |
4 | 体外折衝 |
5 | 限界離脱領域 |
6 | セブンソード |
7 | 報われぬ魂 |
8 | 無差別報復 |
9 | 大国の威信 |
10 | ガンダム鹵獲作戦 |
11 | アレルヤ |
12 | 教義の果てに |
13 | 聖者の帰還 |
14 | 決意の朝 |
15 | 折れた翼 |
16 | トリニティ |
17 | スローネ強襲 |
18 | 悪意の矛先 |
19 | 絆 |
20 | 変革の刃 |
21 | 滅びの道 |
22 | トランザム |
23 | 世界を止めて |
24 | 終わりなき詩 |
25 | 刹那 |
第二期
話数 | サブタイトル |
---|---|
1(26) | 天使再臨 |
2(27) | ツインドライヴ |
3(28) | アレルヤ奪還作戦 |
4(29) | 戦う理由 |
5(30) | 故国燃ゆ |
6(31) | 傷痕 |
7(32) | 再開と離別 |
8(33) | 無垢なる歪み |
9(34) | 拭えぬ過去 |
10(35) | 天の光 |
11(36) | ダブルオーの声 |
12(37) | 宇宙で待ってる |
13(38) | メメントモリ攻略戦 |
14(39) | 歌が聴こえる |
15(40) | 反抗の凱歌 |
16(41) | 悲劇への序章 |
17(42) | 散りゆく光の中で |
18(43) | 交錯する思い |
19(44) | イノベイターの影 |
20(45) | アニュー・リターン |
21(46) | 革新の扉 |
22(47) | 未来のために |
23(48) | 命の華 |
24(49) | BEYOND |
25(50) | 再生 |
メディアミックス
本作は漫画版がマガジンZ(廃刊に伴いマガジンイーノに移籍)とケロケロエースに連載されており、どちらも設定が異なる。前者は田口央斗、後者は大森倖三が執筆している。
余談
本作での古谷徹のナレーション起用は、水島精二監督の熱望によるものだったとの逸話もある。
偶然ながら本作に出演していた声優の大半が聖闘士星矢Ωに出演しており、この事を知っていた視聴者ならニャッと来に違いない。
もう一つの偶然として開始前に放送された獣装機攻ダンクーガノヴァとも共通点があり、前シリーズもある点は超獣機神ダンクーガとの共通点があり、ホスト局は違えどノヴァを除き、同じ系列局で放送されたのは偶然と言える。
また、今作からガンダムシリーズ初のオーディオコメンタリーが始まった。記念すべき初のオーディオコメンタリーは第一期DVD5巻に収録されている「スローネ強襲」から。出演は小西克幸、浪川大輔、釘宮理恵、水島精二。
本作の効果音は、今までガンダムシリーズのSEを手掛けたフィズサウンド(初代やSEEDなど)やE&Mプランニングセンター(Zや逆シャアなど)ではなく、天空のエスカフローネのSEを手掛けたサウンドボックスのものを使用している。
SEEDとの対比
また、水島監督には前シリーズの機動戦士ガンダムSEEDの福田己津央監督に対抗する言動もあり、実際設定や演出にもSEEDと共通もしくは対照的と思える要素も散りばめられている。監督が古谷氏の参加を熱望していたのも、DESTINYでシャア役の池田氏が出演した影響かもしれない。
そもそも、シリーズ構成を担当した黒田洋介自体も外伝のASTRAYの脚本を担当しており、SEEDシリーズ(特にDESTINYの方)の展開の酷さから批判的な視聴者からも「黒田氏だったら良かったのに」と切望されていた人物でもあった。
SEED | 00 | |
---|---|---|
主人公のパーソナルカラー | ブルー | ブルー |
主人公の戦闘に対する価値観 | 半ば巻き込まれる形で戦場に出されたため、なるべく犠牲を減らして戦争を終わらせるために極力不殺を用いて武力介入 | 戦争を終わらせるためには多少の犠牲もやむなしと腹をくくっており、自ら戦場に赴いているものに限り破壊・殺害して武力介入 |
主人公の超人化 | 生前に遺伝子操作に成功した先天的なもの | 最初は普通の人間だったが後天的に覚醒した |
主人公の両親 | 明確な表現はないが、ブルーコスモスに研究所を襲撃されて殺害された可能性大 | とある指導者に洗脳され、自らの手で殺害 |
主人公の人種と住まい | 名前からして日系人だが、ヘリオポリスコロニーに移住 | 中東出身だが、潜伏時は日本の東京に移住 |
主人公機の戦闘スタイル | ハイマットフルバーストを筆頭に砲撃主体 | GNソードを筆頭に近接格闘主体 |
ガンダムのバックパック | スラスター機能を持ったウイングを背負ったガンダムが多い | 背負いものを持ったガンダムは少ない |
艦長の声優 | 美少女戦士セーラームーンの主人公月野うさぎ/セーラームーン役の三石琴乃 | ふたりはプリキュアの主人公美墨なぎさ/キュアブラック役の本名陽子 |
母艦のメインゲートに銃口を向ける量産機 | 主人公機に撃墜され艦のクルーは助かる(35話) | そのまま発射され艦のクルーは助からない(24話) |
戦争で親を殺され軍に入隊したお嬢様の末路 | 母艦の爆発から間一髪シャトルで脱出して生還するもラスボス機のドラグーンに撃ち抜かれて戦死(50話) | 一度死亡するも主人公機のトランザムバーストにより息を吹き返す(49話) |
全裸演出 | 全編OPで度々登場 | 最初のト裸ンザム以降主役機のトランザムが発動するたび登場し、4期でOPにもとうとう進出 |
兄貴キャラの最期のシーンのスペシャルエディションでの加筆 | 宇宙に漂流するヘルメットが消えて生存していたことになる | 宇宙に漂流する遺体が描かれ死亡が明確化する |
ファーストの主要キャラだったキャストが担当したキャラ | ギルバート・デュランダル(シャア・アズナブルと同じ池田秀一が担当) | リボンズ・アルマーク(アムロ・レイと同じ古谷徹が担当) |
関連動画
関連項目
ガンダム ガンダム00 A_wakening_of_the_Trailblazer
機動戦士ガンダム00P 機動戦士ガンダム00F 機動戦士ガンダム00V 機動戦士ガンダム00I
新機動戦記ガンダムW 「一般的なMSを凌駕する性能を持つガンダムを使って体制側に攻撃を仕掛ける」という構図など、本作にも似通った要素が多数散見されるガンダムシリーズの作品。そのためスパロボでは専らクロスオーバーが見られる。
アクメツ 黒田洋介が当時本作品を制作する際に多大な影響を受けた作品でテロ行為への自覚と肯定をする主人公サイド、一度死んでも別の場所で直前までの人格、記憶を引き継ぐクローンの覚醒、自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪の組織などの共通点が窺える
獣装機攻ダンクーガノヴァ 07年冬にアニマックスで全13話放送されたロボットアニメ。ロボット兵器を使用たPKOの共通点繋がり
バトルスピリッツ 2020年3月14日に機動戦士ガンダム00メインの構築済みデッキ「OPERATION OO」が発売される
地球へ…(2007年春夏)→本作(ファーストシーズン)(2007年秋、2008年冬)
コードギアス反逆のルルーシュR2(2008年春夏)→本作(セカンドシーズン)(2008年秋、2009年冬)→鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST(2009年春夏秋、2010年冬春)
組織、国家
ソレスタルビーイング ユニオン 経済特区・日本 人類革新連盟(人革連) AEU
その他
太陽炉 GNファング GN電池 トランザム TRANS-AM 中の人 背中の人
ト裸ンザム 全裸 目からGN粒子 俺がガンダムだ 嫁がガンダムだ 00殿堂入り
カップリング
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