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「大地を造り直そう、夢のある世界へ!」

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だいちをつくりなおそうゆめのあるせかいへ

<「大地を造り直そう、夢のある世界へ!」>とは、東方Projectに登場する比那名居天子のスペルカードの一つである。本スペルカードは天子の表現するところであるが使用に至るバックボーンにはいくつかの状況的条件がある。

概要

東方Projectに登場する比那名居天子スペルカードの一つ。

天子が『東方憑依華』に登場した際に披露した。『憑依華』ではストーリー中に登場するCPU側の天子の専用スペルカードであり、プレイヤーが任意に使用することはできない。

難易度NORMALなどでは本スペルカードが天子ステージの最後のものであり、これは天子の登場する状況とあわせて『憑依華』の最終節であることも意味する。

難易度OVERDRIVEではここからさらに弾幕が展開されるが、操作性が大きく変化するため従来の弾幕アクション的シーンとしても『憑依華』では最後のものとなる。

本スペルカードは次述のような特殊なシチュエーションで使用されたものの一つであり、通常の「比那名居天子」の表現するところとはまた異なる個性を持つものでもある。

現の天子と夢の天子

『憑依華』には「現の世界」と「夢の世界」が登場しており両世界にはそれぞれ同じ存在がある。天子にもまた『憑依華』より遡る初登場作品である『東方緋想天』で登場しているような現側の天子の存在と本作で登場した夢の世界側の天子の両者がある。

この内本スペルカードを披露するのは夢の世界側の天子である。夢の世界側の天子は他の夢の世界の住人と同様に完全憑依異変の影響で現側にその姿を顕現させていた。

夢の世界の住人が現側に現れてしまう事態に対して夢の世界の支配者であるドレミー・スイートが「 分身 」なども通して夢の世界の住人の監視とフォローにあたっており、夢の世界の天子にもドレミーがスレイブ側で完全憑依していた。

本スペルカードは天子を主にドレミーとの完全憑依コンビにおいて発揮されるものである。

本スペルカードに見る「夢」の語は天子本人が意味を語っているものであると同時に、他キャラクターなどとドレミーが完全憑依のコンビを組んだ際に見られる共同スペルの名称への影響としての、主にドレミーの性質が表現されたものとしての「夢」ともみることができる。

例えば同じく天子とドレミーの完全憑依コンビによるスペルカードである<昇符「遥か宙まで飛べ! 僕らの夢を載せて」>や<墜符「大気圏に落ちて、夢は地表に降り注ぐ」>などにも各々の理想や希望などの多様な意味と解釈を採り得る「夢」の表現と同時にドレミーの性質である「夢」のダブルミーニング的な表現がなされている。

本スペルカードの表現する「夢」は、天子が作り上げようとする理想郷としての「夢のある世界」の表現であるとともに天子にスレイブ側で憑依したドレミー・スイートの性質も織り込んだものでもあるという理解も出来るものとなっている。

『憑依華』での本スペルカードは、完全憑依異変の事態下にしてその影響もあって夢の世界の天子が現側に解放されていることをはじめ、ドレミーが天子に完全憑依していること、天子の天界をはじめ地上世界に対する様々な快くない想いが行動を伴って明確に現れた時に用いられているという様々な条件があったときに披露されたものの一つといえるものとなっている。

夢の世界の天子と二つの「最凶最悪」

「夢の世界の天子」について現側の天子自身はその存在を疑っており、少名針妙丸を通して二つの世界の二つの存在を目の当たりにした際などは、そもそも夢と現にそれぞれ自分がいるなどという状況で、地上の連中はよくも正気を保てるものだと並存状態自体もに理解しがたい様子であった。

しかしその話を受けた針妙丸は自身の体験と体験から得た知見や天子の語る自身の「 」の姿から夢の世界の天子の存在もまたあるだろうと予想しており、実際に『憑依華』作中では針妙丸の予想の通りその存在が現側に現れることとなった。

夢の世界側の茨木華扇の語るところによれば、夢側の天子は「 夢の世界で最凶最悪の暴れん坊 」。

このセリフは当時異変を起こしたことへの代償として夢の世界の住人の追跡を指示されていた依神女苑依神紫苑に対して語るところに登場するもので、完全憑依異変のさなかなど姉の紫苑と共に「 最凶最悪 」を名乗った女苑は自分たち以外にこの称を名乗るものがあってはなおさら見過ごせないとさっそく華扇の示した「 果てしない天の高み 」へと赴いていく。そして天界で大暴れする夢の世界の天子に出会うのである。

一般に夢の世界の住人は感情が豊かでストレート、本心に忠実で、時には乱暴にも見える様子であり、天子もまた現の天子以上に感情豊かで抑えることのない力に満ち溢れており、夢の世界から現へと解き放たれた事を大いに喜んだ。

夢の世界の天子は天界の領域で自らの手による世界の破壊と再創造までも行うと口にしており、創造の方はともかくとして破壊については「全人類の気質」の活用や「大地を操る程度の能力」をはじめ緋想の剣や大量の要石、果ては夢の世界から顕現したと思しき地震伝承の要、あるいは『東方非想天則』で語られた太歳星君の一端の権現である大ナマズまでも用いてその実現可能性を示している。

大ナマズそのものは本スペルカードだけでなく本スペルカードの一つ前に披露されるスペルカードである<墜符「大気圏に落ちて、夢は地表に降り注ぐ」>にもその姿が登場する。

その強大な力について女苑も「今まで感じたことがない」とし、紫苑には完全憑依異変最終盤で解放した本気の不幸のパワーを今度は自らの意思で再度引き出させる意思を固めさせてもいるなどその驚異の程をみることができる。

これより以前、現側の天子はその力を以て地上の「 支配 」を行うとしたが、夢の世界側の天子は支配ではなく世界の「再創造」を以て自らの理想世界を一から生み出すとするなど、同一の存在ながら夢の世界側の天子の考えるスケールは現側の天子以上で、まさに「夢」の存在ならではの心豊かさの溢れ出る様が表れている。

なお、夢の世界の天子が女苑や紫苑らとの弾幕戦の前に述べる創造と破壊の口上の一節には「 美しい四季を作り 」とあり、これは作品ナンバリング上は『憑依華』の次作品にあたる『東方天空璋』で発生することとなる摩多羅隠岐奈らによる「四季異変」も彷彿とさせるものでもある。天子は『緋想天』で天候を操ることも行っており、『憑依華』での様子もあわせて「 」を共通点に他の存在とも関連ももつ。

加えて天子の語る「 新世界 」の語は『天空璋』では「常世の神」の存在性も仄めかされるエタニティラルバの語るところでもあり、天子のセリフには『天空璋』における幾つかの特徴的なセリフと共感するものも登場している。

<「大地を造り直そう、夢のある世界へ!」>には、名称そのままにそんな天地人の三才全てをその手に収めようとした天子の縦横無尽な躍動感が織り込まれている。

先述の通り難易度によっては本ラストワードが最後の締めとなるが、OVERDRIVEなど高難易度ではさらに<「ヒュージバトルシップ 無双ナマズ見参」>や<「全スペースピープルの緋想天」>といった操作性もまた変わった特殊なラストワードが披露されることとなる。

演出

本スペルカードは前半と後半でアクションの形態が変化する。

特に前後半の境目ではスレイブ側におそらくは監視のために憑依していたはずのドレミーさえも引きはがして画面外にはじき出している。

前半

天子がジャンプし、画面下(場面が天界の為、最下部の様子が不明)に勢いよく着地するとその反動で画面下から天子を乗せた大ナマズが出現し、そのまま大ナマズだけが画面を緩やかに回転しつつ外方向にゆっくり放り出される。大ナマズが画面下に移動するのと入れ替わりに、複数の巨大な要石も下部から湧き上がってくるようになる。

大ナマズから飛び降りた後の天子はゆっくりと中空から元の横軸デフォルト位置にもどる。

このときは下からの風でめくれ上がるスカートを両手で抑えている。

後半

弾幕状況が深化するとスレイブとして憑依していたドレミーさえも吹き飛ばし、実質的に夢の世界の天子単独のスペルカードとなる。

画面下全体を覆う大ナマズの頭の上に腕を組んだ天子が君臨し、天子のスペルカードの発動・チャージのモーションの後に下部の大ナマズが断続的に巨大化しする。

この巨大化のタイミングで発生する振動に攻撃判定がある。

大ナマズは肥大化を続け、最後には画面全体をその体躯が占領するようになる。

大ナマズの巨大化にあわせてそれに乗る天子本人は画面上部にどんどんせりあがっていき最終的には姿も見えなくなり、通常攻撃など攻撃の一部は完全に届かなくなる。

また大ナマズが下部に位置する当初こそ上空に逃れることで唯一の攻撃方法である振動の一撃を回避することが出来るが、画面を覆うようになると振動を回避することも出来なくなる。

こうして天子は大ナマズを操り大地を操り、その預言の通りに退屈な天界も「 虫ケラ 」たちの住まう地上も粉砕して理想世界のための第一歩を踏み出すのである。

あっはっは 新世界が誕生するぞー! 」(夢の世界の天子、ストーリーモード勝利セリフ

完全憑依の強制解除

聖白蓮豊聡耳神子らの研究ではスレイブ優位の強制完全憑依ではマスターはスレイブの完全憑依を解除できず、ドレミーは宇佐見菫子が意図しないうちに強制完全憑依するなど監視者として優位に立つ憑依の仕方を理解しているが、そんな夢の支配者たるドレミーさえも払いのける天子の力の強大さは尋常ではない。

生殺与奪の権はマスターにある 」(二ッ岩マミゾウ、『憑依華』)とはいえ、スレイブを引きはがして完全憑依そのものから排除したものはこのときの天子を除いて作中では例がない。

例えば先の菫子や通りすがりに神子らの実験に巻き込まれて物部布都に完全憑依された秦こころなどもそれぞれスレイブを追い出したいともがくがいずれもこの抵抗は功を成していない。

天子本人も作中で体験したものとして針妙丸のケースに見るスレイブ同士の間で一方の意思ですり替わるように移行するといった完全憑依の在り方もあるが、このケースでは現と夢の針妙丸同士という特殊なケースにして完全憑依そのものの解除ではない。

夢の世界の天子に相対した者は、まさに幻想郷で未だ継続していた都市伝説異変を利用して完全憑依異変を企図し自らにとって有利な仕組みを「噂」として流布させることで思惑を成そうとした女苑と紫苑の二人であったが、夢の世界の天子は最後には完全憑依からも独立して完全憑依がもたらす恩恵からもリスクからも解き放たれ天子自身の力によって立脚した。

八雲紫は完全憑依異変の終盤、女苑らの絶対優位を打ち破る方法を見出したことで完全憑依からの「 自由 」の獲得を宣言したが、天子は完全憑依の相手をはじき出すという紫とはまた別の形で完全憑依からの「自由」を実現している。

夢の世界からの「自由」も手にしていた夢側の天子は、今度は世界そのものの再創造という、自らの思う「自由」を目指すのである。

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