概要
任天堂から発売されたコマンド選択型テキストアドベンチャーゲーム『ファミコン探偵倶楽部』の続編。正式名称は『ファミコン探偵倶楽部PARTII うしろに立つ少女』。Nintendo Switchのリメイク版では「PARTII」が外され、『ファミコン探偵俱楽部 うしろに立つ少女』になっている。
「PARTII」と冠されているが、ストーリーは前作『ファミコン探偵俱楽部 消えた後継者』の2年前を舞台にしている。1989年5月23日にファミリーコンピュータ ディスクシステム向けに前編、同年6月30日に後編が発売された。
1998年4月1日には、コンビニエンスストア「ローソン」で展開されたスーパーファミコンのゲームソフト書き換えサービス「NINTENDO POWER」の新作としてリメイク版が発売。グラフィック、サウンドの一新に加え(サウンドに関しては新曲が多数追加された)、前編と後編の統合、3D迷路を始めとする一部の要素のカットといった変更が加えられた。
2021年5月14日には、Nintendo Switchでリメイク版が発売。『steins;gate』など科学ADVシリーズで知られるMAGES.(※)が開発。ベースはスーパーファミコン版で、アニメーション演出の強化のほか、キャラクターボイスへの対応が図られている。
※実際の開発は2017年発売のリメイク版『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』を代表作とする、浅田誠氏率いるチーム「ASADA PRODUCTS」が担当した。
ストーリー
前作『ファミコン探偵俱楽部 消えた後継者』の2年前、離れ離れになった両親を単身、探し回っていた主人公は私立探偵の空木俊介と出会い、その助手として働くことになる。
空木の元に身を寄せてから数ヶ月が経ったある日、警察から河原で女子高校生の遺体が発見されたとの連絡を受ける。現場へと向かい、遺体を含めて調査をしたところ、被害者の小島洋子は何者かによって殺されたことが判明。その背後に小島洋子が通っていた私立・丑美津高校(うしみつこうこう)で古くから伝わる「うしろの少女」という不気味なうわさ話に辿り着く。
主人公は洋子の親友だった橘あゆみの協力のもと、事件の真相に迫っていく。
登場人物
声はNintendo Switchのリメイク版のもの。
15歳。空木探偵事務所の探偵助手。離れ離れになった両親を捜している時に空木と出会い、事務所で働くようになった。
- 空木俊介(うつぎしゅんすけ)(声:各務立基)
36歳。空木探偵事務所の所長。警察から厚い信頼を得ている敏腕探偵。
途中から時効間近の「金田事件」の捜査に専念し、小島洋子の事件調査を主人公に託す。
15歳。丑美津高校1年生で、被害者で親友の小島洋子と「探偵クラブ」というサークル活動をしていた。事件解決のため、主人公に協力する。
- 小島洋子(こじまようこ)(声:石見舞菜香)
事件の被害者。丑美津高校1年生で、親友のあゆみと「探偵クラブ」で活動していた。ディスクシステム版では15歳だったが、スーパーファミコン版で16歳に変更。Nintendo Switchのリメイク版では15歳に戻された。丑美津高校に古くから伝わる怪談話「うしろの少女」の噂を調べていた。
丑美津高校に通う生徒で1年生。被害者の小島洋子とは仲が良かったらしい。
- 駒田哲治(こまだてつぢ)(声:小林通孝)
丑美津高校に35年勤続する古株の美術教師。59歳。『消えた後継者』に登場した熊田と同じく語尾の「ぢゃ」が特徴。
- 日比野達也(ひびのたつや)(声:三木眞一郎)
丑美津高校の英語教師で、被害者・小島洋子のクラス担任。31歳。教え子の死に強いショックを受けたことから、事件のことを聞かれても口を閉ざす。浦部校長のことを強く慕っている。
- 葉山久子(はやまひさこ)(声:小林ゆう)
丑美津高校の生物教師。32歳。丑美津高校のOBで、学生当時に「うしろの少女」を最初に目撃した人物とされているが、本人は強く否定する。
- 浦部忠志(うらべただし)(声:大塚明夫)
丑美津高校の校長。57歳。町の人からは映画俳優のような男前と表され、生徒や教師の間でも絶大な信頼を得ている真の教育者。駒田とは教師時代からの仲で、当時は忠志さんと呼ばれていた。
- 田崎敏夫(たざきとしお)(声:楠大典)
丑美津高校の用務員で、元・左官屋。58歳。20年前から丑美津高校に勤務しており、旧校舎にある崩れた壁を修復した。普段は温厚だが、カッとなると暴力行動に出てしまうほど激情的な性格をしている。
- 金田源治郎(かねだげんじろう)(声:なし)
15年前に町へと引っ越してきて、スナックを経営していた人物。その傍らで高利貸しによる取り立てや詐欺を働いており、多くの人々から恨みを買っていた。警察が捜査に乗り出そうとした矢先、自宅で刃物でめった刺しにされて死亡。享年49歳。息子で金田五郎がいる。
- 丸山刑事(まるやまけいじ)(声:落合弘治)
捜査一課の部長刑事で空木とは古くからの付き合い。時効寸前の「金田事件」の捜査をしており、主人公に事件の概要を教えてくれる。ディスクシステム、スーパーファミコン版では警察署で初登場したが、Nintendo Switchのリメイク版では小島洋子の遺体発見現場が初登場シーンとなり(直接言葉を交わすのは警察署)、名称も丸山警部に変更されている。
- 浅川しのぶ(あさかわしのぶ)(声:市ノ瀬加那)
丑美津高校の女生徒で、15年前に起きた「金田事件」の場に居合わせたとされる人物。事件以降、行方をくらましてしまっている。スーパーファミコン版では失踪当時の年齢が16歳となっていたが、Nintendo Switchのリメイク版で15歳に変更された。「うしろの少女」は行方不明になったしのぶの霊との噂がある。
ゲームシステム
「場所移動」「聞く」「呼ぶ」「見る・調べる」などのコマンドを選択し、キャラクターたちとの会話や現在いる場所の調査を通しながらストーリーを進めていく。
前作『消えた後継者』からの変更点として、「思い出す」が「考える」に変更。また、「聞く」のコマンドでひとつの話題を2度聞いた時、以前の台詞が繰り返されてしまう仕組みは「……」と、無言で返されるものに改められた。
スーパーファミコンのリメイク版では、ストーリーが章仕立ての構成になり、それぞれにタイトルが付けられた。また、登場人物の名前や情報などがまとめられるメモ機能、前回までのストーリーを振り返られるあらすじ機能が新たに追加されている。
Nintendo Switchのリメイク版はスーパーファミコン版を踏襲。しかし、章ごとに細かく内容を振り返ることができたあらすじ機能は、前回のプレイ内容を振り返る簡易的なものになった。オプションでは音源をディスクシステム版、スーパーファミコン版のものに変更できる機能を用意。また、クリア後特典として「音楽鑑賞」が追加されている。
余談
- 前作に続き、ストーリーとシナリオは坂本賀勇氏が担当している。坂本氏いわく、前作『消えた後継者』は世界観に時代錯誤な感じがあったことから、本作はもっと華やかなものにしたい思いから自分の好きなホラーに持っていったという。
- 坂本氏は本作をダリオ・アルジェントのホラー映画『サスペリアPART2』(1975年上映、日本は1978年上映)のオマージュであると語っている。続編なのにストーリーが前作の2年前、PARTIIの名を冠している以外に音楽と映像を重ね合わせる演出が盛り込まれているところにその影響が現れている。
- 2004年8月10日にゲームボーイアドバンスで発売された『ファミコンミニ ディスクシステムセレクション』で、『消えた後継者』とともにディスクシステム版が初移植された。前後編がひとまとめにされている。また、CEROレーティングがC(15歳以上対象)に設定されている。これは作中に未成年者の喫煙シーンが存在することに由来。旧作タイトルではあるが、任天堂としては史上初めてとなるCレーティングが設定されたタイトルになった。
- 後に発売されたバーチャルコンソールのスーパーファミコン版、Nintendo Switchのリメイク版でもレーティングはCに設定されている。
- スーパーファミコン版では、ディスクシステム版では姿形が無かったモブキャラクターたちに新規の立ち絵が追加されている。Nintendo Switchのリメイク版はそれを踏襲・アレンジしているが、一部シーンにスーパーファミコン版にはなかった立ち絵が追加されている。
- スーパーファミコン版には、周回プレイを促す新規のやり込み要素が追加されているのだが、なんらかのバグによってコンプリートができなくなってしまっている。Nintendo Switchのリメイク版ではバグが修正され、コンプリートが達成可能となった。
- ディスクシステム版では「うちに あゆみってコは いないよ。フローレンスちゃんなら いるけど・・・」だった繁華街の呼び込みの台詞が、スーパーファミコン版では「うちに あゆみってコは いないよ。レイちゃんとか、アスカちゃんなら いるけど・・・」に変更されている。
関連動画
Nintendo Switchリメイク版
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