概要
東方Projectに登場する藤原妹紅と茨木華扇のカップリング。
妹紅は『東方永夜抄』、華扇は『東方茨歌仙』にそれぞれ初登場した。
妹紅と華扇は『東方深秘録』における妹紅のストーリーで出会っており、同作では弾幕アクションを通して互いに弾幕と拳とを交わしている。
加えて妹紅も華扇も博麗神社で何らかのイベントや宴会がある際には出席している様子(『茨歌仙』、『東方鈴奈庵』など)が描かれており、博麗神社の様々な機会や同神社の巫女である博麗霊夢等を通しても縁を持つ。
この他、両者は設定上でおいて共通の要素を持つ。
行動範囲
博麗神社では異変解決の祝賀の宴会をはじめ季節のイベントなどが行われる事があり、『東方三月精』中のエピソード以降、縁日の露店も展開されるようになった様子である。
宴会や縁日には妹紅も華扇も訪れており、それぞれにイベントを楽しむ様子が描かれている。
また華扇は人間の里を訪れる様子もよく描かれ、妹紅は『東方心綺楼』において人里で宗教家などによる決闘を観戦しているなど両者は人里もその行動範囲としている事にも共通点を持つ。
『深秘録』では妹紅が華扇について「 見た事あるな 山の仙人か 」と語っており、妹紅は華扇について『深秘録』以前に何かの機会で華扇を見、その情報も得ている様子が描かれている。
『深秘録』に続いて妹紅と華扇の両者の登場がある『憑依華』では本編ストーリー中では出会うことはないが、それぞれの形で「完全憑依異変」の真相を追っており、共にその黒幕にも出会っている。
自由対戦モードを通しては妹紅は華扇について「 ヘタな仙人より長く生きている 」としてその経験の深さを語り、華扇は妹紅について「 パワーだけで押し切っている様に見えて、実は無駄のない身のこなしをしているね 」と妹紅のアクションの中にその歴史を通して洗練されたスタイルを垣間見ている。
また同作の自由対戦モードでは本編中とは別に妹紅と華扇の完全憑依コンビを設定することも出来、この際はそれぞれの本作での二つ名の前後がマスターとスレイブの設定の仕方に合わせて組み合わされて二人ならではのコンビの二つ名が生成される。
二人の完全憑依コンビの二つ名は、妹紅がマスターの場合(「妹紅&華扇」)は「 自暴自棄で動物好きな二人 」、華扇がマスターの場合(「華扇&妹紅」)は「 神仙思想で不死身の二人 」となる。元となるそれぞれの二つ名は、妹紅は「自暴自棄で不死身の人間」、華扇は「神仙思想で動物好きな仙人」。
特別な能力と他者との関わり
華扇は仙人として語られており、東方Projectにおける仙人は一般に人間の味方とされ、特にその超常的な能力は様々な妖怪の脅威が現実のものである幻想郷においても有り難いものとされるようである。霊夢や霧雨魔理沙も華扇に寄せる信頼について華扇が「仙人」であるということもその要素の一つとなっている様子である(『茨歌仙』第一話他)。
仙人は稗田阿求によれば妖怪退治を行う者が様々な妖術を身につけつつそのまま仙人と成るケースも多いようで、妹紅においてもまた妖怪退治を行ってきた経験と炎にまつわる妖術とを操る事が出来るという仙人との共通項を見出す事が出来る。
また、妹紅は今日では迷い込めば脱出が困難とされる迷いの竹林にてそこに迷い込んだ人々を人里などへと案内して脱出を助けている他、依頼に応じて迷いの竹林奥で高度な医療を提供している永遠亭へまでの道中をガイドし、迷う事も妖怪などに襲われる事も無く安全に道中を往復させてくれる。
妹紅もまたそのような人々との関わりを心地よく思っている様子である。
華扇がその存在性と並行して語られる「仙人」というものが超越的な能力や人間への友好などによって語られるとき、今日の妹紅はいずれの要素も備えている。
『深秘録』では弾幕戦を通して華扇も妹紅の強さを認めている。
仙人としてのメンタリティと今日の妹紅の想いには共感し合う部分もあるのである。
ただし一方の華扇については全面的な「人間の味方」という訳でもない様子で、時には妖怪をより重視するような発言もあるなど信念のありかたについては不明瞭な部分もあり、一般的な仙人の文脈ではひとまとめには語れない側面ももつ。
「不死」
妹紅は今日では不老不死の存在であり、華扇などの仙人は不老不死を一つの大目標とする人々と認識されている。同じく仙人としての側面を持つ霍青娥は『茨歌仙』作中のエピソードにおいてその不死性を維持するために地獄から派遣された鬼と戦っており、豊聡耳神子も死神との抗争がある事を語っている(『東方求聞口授』)。
ただし華扇にとって不老不死は自身にとって不可分の要素という訳でもない様子で、霊夢や魔理沙との会話中に不老不死の話になった際には「 不老不死は仙人のテーマ 」としながらも、小野塚小町に語ったところによれば仙人は「 長生きの秘訣 」といった程度の受け止め方であった様子であるなど一般に仙人が追い求めてやまないという「不老不死」について華扇にとってその探求がどの程度重要なものであるかについては余地のあるものとなっている。
加えて仙人としての目標について華扇は別の機会における神子との会話において不老不死とは別の目的を挙げている。
なお小町は不老不死について「 真っ当な人間のやる事じゃない 」とその意義について否定的な見解を示している。
一方『深秘録』(対戦モード)では華扇は妹紅を「 もう死神からも狙われない孤独で哀れな死人 」と評してその境遇に同情の念を傾け、妹紅は華扇ら仙人が死神を退けることで長寿を保つ事が淡々とした感想として語られるなど、『深秘録』においても共に「不死」という要素に関連性をもつ二人の対話が描かれている。
妹紅については『東方儚月抄』等において不老不死となってからの長い間その不死性の故に苦悶の日々を送ってきているなど、人間が仙人になるなどの形でなく突如として不老不死を得る事の不幸という文脈でも語られている。
一方で現在の妹紅は不老不死における肯定的な側面も見出しており、それは昨今の幻想郷での他者との友好的な関わりに加えて同様に不老不死である蓬莱山輝夜を第一とした「 不死の仲間 」(『儚月抄』)の存在によっても支えられている。
共に心の内に多様な想いを抱きながらも他者との関わりをそれぞれの形で行い、その関係性の中で様々に行動する様子が描かれているところにも共通点をもつのである。
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