概要
CV:神谷明(OVAおよびクリスタニア関連)・速水奨(英雄騎士伝)
水野良(グループSNE)原作の「ロードス島戦記」の登場人物で、通称「黒騎士アシュラム」。
ファンからは主人公パーンのライバル扱いされることも多いが、アシュラム自身がライバル視しているのは主君であるベルドの仇でもある傭兵王カシュー・アルナーグ1世である。なおカシューとの戦績は0勝2敗である。
本人の弁によると、邪神戦争時点でパーンと正面から戦った場合の勝率は51%。
パーンに対して別格扱いの敬意を払っているのは事実であり、自分に襲い掛かってきたヴァリス騎士がパーンの真似をして自由騎士を名乗った瞬間に激怒し、「私怨や功名心が理由だったら死なない程度に痛めつけて追い払うだけで済ます」思惑を放り捨てて20人全員を惨殺している。
(所持している武器防具も含めての強さ的には、ベルド≧英雄王ファーン>フレーベ≧カシュー>レオナ―≧アシュラム≧パーン>レドリック>オルソン・スパーク・シーリスなどのネームド戦士)
なお、パーンによるとその剣技は「鋭く、必殺の一撃を急所に叩き込む」というものらしく、「(アシュラムの攻撃の)三撃目までをかわせたなら一流の戦士」と評している。
五代前は王族につながるアラニア王国の名門貴族の子息であったが8歳の時に騎士隊長の父が失脚し家族もろともマーモ島に流刑となった。そこから成り上がり似たような境遇の少年達をまとめるリーダーとなるが16歳の時にマーモを征服し始めていたベルドに敗れ配下となる。
暗黒の島のマーモ帝国の暗黒皇帝ベルドの腹心の一人であり存命中は近衛騎士隊長として仕えていた。ベルドの死後は魔剣魂砕き(ソウルクラッシュとよむ)を継承したものの皇帝の座は継承していない(本人も成る気は無い)。
OVAではベルドの死後、マーモ帝国内の統率が乱れ、それをおさめる為に火竜山に支配の王錫を求めてシューティングスターを討伐しようとする。
小説ではアシュラムは暗黒騎士団の騎士団長となり、黒の導師バグナード、妖魔の族長ルゼーブ、闇の大僧正ショーデルらと共に評議会制を復活させて帝国内を統治している。火竜山の魔竜シューティングスター討伐後、傭兵王カシューとの一騎討ちに敗れ火口に身を投げるがバグナードの弟子であったグローダーに助けられ生き延びた。
一旦は平の騎士隊長に降格するが、後任の将軍によるアダン郊外でのマーモ軍大敗によるヴァリス領からの撤退に追い込まれた時に、騎士達の推挙によって将軍職に返り咲きマーモ帝国領カノンを統治する太守となる。後に評議会との協議の末、正式に暗黒騎士団将軍として認められ、邪神戦争によってマーモ帝国が崩壊するまで黒衣の将軍として在位する。
厳しいが公平な人物で規律を定めそれに違反すればマーモの軍属の者であろうと処罰し場合によっては首を刎ねる。一方で有能な者であれば元カノン貴族や騎士であろうと能力を評価して取り立てる柔軟さを持ち若い騎士からの支持も厚い。
一人の戦士として優秀なのは勿論、為政者としても有能でそれまでマーモが行ってきた被支配民に対する迫害等を用いた恐怖による支配ではなく、あくまでも厳しいが公正な規律に基づく支配・被支配地の住民の人心掌握を念頭においた施政を徹底していた為、被支配民側からの支持もある程度あり、「非道な侵略者からのカノンの解放」を掲げて戦っていたパーン達カノン自由軍は単純な戦力面だけでなく、精神的な面でも苦戦を強いられることになった。
対照的な美しいエルフの娘が、それぞれのパートナーになっている事もあり、光の側の主人公パーンに対する闇の側の主人公としての位置付けから、パーンのライバルと見ても間違いではないとは考えられる。
小説では、最終決戦の後に暗黒の島を脱出し新天地を目指して旅出った。そして辿り着いた先がクリスタニア世界であり、腹心のピロテースと並び二人だけ(名前だけだが)クリスタニアにも続投となった。
なおその後の暗黒の島はカシュー配下のスパークがマーモ公国として治めることになる。
「黒衣の騎士」に収録されている「海魔」での描写から彼にとってピロテースが唯一気の許せる相手でありはっきりと男女の関係だと記述されている。
クリスタニアでは漂流王と呼ばれ暗黒の民を救う為に支配の神獣王バルバスと己の体を神の器として差し出す契約を交わしているが、完全なる支配に抵抗し精神下で戦いながら肉体は300年以上眠っている。その傍らでピロテースはずっと彼の目覚めを待ち続けているが、クリスタニア・サーガそのものが更新停止状態でありアシュラムが目覚めるかどうかは不明のままである。
TRPGリプレイ「漂流伝説クリスタニア」の連載時にうるし原智志氏による漂流王のカットがあり左目の辺りに大きな傷跡がある。
映像化作品として映画「はじまりの冒険者たち」とその続編OVA「レジェンド・オブ・クリスタニア」があり、追われる身となったピロテースがシェールと名前を変えている。その中で精神世界ではあるがアシュラムと再会しており、300年以上経っても二人の信頼関係は変わらない事がうかがえる。
現在、日本国内でDVD等の現行規格メディアでは円盤化されていない為、ビデオテープかLD、一部の配信サイトによる視聴でしか観られない。
ベルドに心酔しているのは確かだが、ベルドが偽証と共に厳禁した賄賂にはやや甘い部分があり、自身も賄賂として差し出された女性に夜伽をさせている。(ベルドも人質を兼ねて配下から女性を差し出された事もその女性と肉体関係を結んだ事もあったが、その危機には自ら救出に赴く等、「自身が責任をもって預かった人間」として最大限の誠意を尽くして対応している。)
また、其れまでの仲間に裏切られた際に命を救ってくれたピロテースの兄アスタールを戦死させた事に酷い負い目を感じる、カシューとの決闘の際に支配の王錫を利用しようとした事を恥じる、グローダーのジョーク「スメディ・・・お前では敵の女戦士(シーリス)には絶対に勝てん・・・美貌では・・・」にアスタール達と一緒になって爆笑する等、普通の青年らしい一面も度々見せている。