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※この記事は『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』のネタバレが含まれています。望まれない方は避けてください。









「貴方、中原中也さんという方をご存知ありませんか?」


「──"自分の心に従え"。」


プロフィール編集

年齢不明(外観は20代〜30代)
身長不明
体重不明
血液型なし
誕生日不明
好きなもの団栗(どんぐり)、草の実
嫌いなもの空港保安検査場の金属探知機
異能力なし
CV不明
舞台版演者磯野大

概要編集

漫画『文豪ストレイドッグス』の小説版『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』に登場する人物。欧州刑事警察機構(ユーロポール)に所属する人造知能捜査官。型式番号は98F7819-5。異能技師・ウォルストンクラフト博士によって製作された、全警察機関内世界初の人型自律高速計算機である。


一人称は"当機"(稀に"私")。短めの前髪につり上がり気味の眉で端正な顔立ちをしている。青い背広を着て、手には白手袋を嵌めており、背の高い欧州人の風貌である。また、首元左側にはバーコードの様な模様が刻まれおり、その隣にはパーツの結合部と思わしき繋ぎ目が入っている。夢は機械の刑事だけで構成された刑事機構を設立すること。そして機械の優秀な捜査力で人間を守ること。

基本は真面目な性格をしており、未知の物事に対して好奇心旺盛。しかし、プロローグにて搭乗していた旅客機が不時着したことに全く気付く様子もなく、墜落現場である森を空港と勘違いしたり、売店で購入した風船ガムを吐き出さずにそのまま飲み込む等、捜査に関する情報は完備されているが、その他専門外の知識が著しく不足しているが故に、本人の意図していない部分での天然さが目立つ。


身体能力は機械相応であり、バー"旧世界"にて中也属する若手会『旗会(フラッグス)』の面々と戦闘になった際には、5人の異能力者相手にビリヤードの撞き棒のみを使って身一つで渡り合ったり、軽二輪車で逃走する白瀬を追跡する場面際に、重力操作を使用する中也とほぼ同等の速度で爆走したり 等、常人以上に恵まれた体躯の持ち主。それに加え、『荒覇吐(あらはばき)』の攻撃にも耐えられる耐熱耐衝撃パネルや滑空落下用の翼膜を始めとする戦闘向けの機能から、お手玉や一発芸等の娯楽向けの機能まで如何にも機械らしい一面も持ち合わせている。


また、小説版では物語の大半が彼の一人称視点で進んでいく。


世界各国で暗殺を繰り返している暗殺王ポール・ヴェルレエヌの逮捕を目的とし、欧州刑事警察機構より日本のヨコハマへと派遣された。警察本部が計画した捜査アプローチの元、ポート・マフィアに所属している当時16歳の中原中也と行動を共にすることとなる。初対面時は彼のことを『中也さん』と呼んでいたが、本人から「俺の命令には絶対に従え」という指示を受け、内蔵されたプログラムに基づいて『中也様』と呼称を改めている(尚、中也本人はこの呼び方を気に入っていない模様)。


一見ただの利害関係のように思えるが、呼称変更の要因でもある命令権順位を変更する際に、博士が組み込んだ"自分の心に従え。"というプログラムの元、自分の意志で中也を最上位命令者に設定したり、中也が嘗て所属していた組織《羊》の一員である白瀬が自身に楯突いてきた際には、中也がポートマフィアに所属する様になった経緯を洗いざらい話した挙句、有無を言わせない説教を食らわせたりと、その忠誠心と彼に向ける信頼は本物である。

(因みにこの一件が引き金となったのか、何故か白瀬に対してのみ異様に当たりが強く、彼を擁護する言葉を発する際には頭に「残念ながら」と付け加える、"単に頭脳以外が使い物にならなかっただけ"と評価する 等、辛辣な言動が多く見られる。)

尚、中也本人はそれ以前の揉め事もあって「お前が気に入らない」とアダムに面と向かって宣言しており、彼が度々披露する"アンドロイドジョーク"と呼ばれる冗句や謎のゲームに付き合わされ、うんざりしている様子も見受けられる。また、名前に関しても『オモチャ野郎』『頼れるポンコツ』とぞんざいな呼び方をしている。


物語中盤では太宰治と共に2人行動を取る場面もあるが、その際に彼を"全てを見通す仙人"と表現したり、中也が果たして人間であるか否かを、太宰に対して「彼ならばその真実を知っているのでは」という期待ひとつで質問したりと、その不可思議な生体に動揺しつつも、ある程度信用における人物として評価している。




関連タグ編集


文豪ストレイドッグス 文スト 中原中也 ポール・ヴェルレエヌ アダム・フランケンシュタイン(文豪ストレイドッグス)(表記ブレ)


























※この先、『STORM BRINGER』終盤の重大なネタバレを含みます。ご注意ください。


































『人間ではなく機械の捜査官が派遣された真の理由がこれです』




『機密を知る当機のコアごとヴェルレエヌを焼却し、国家機密を消去するのです』



彼の動力源の名は、特異点兵器""(シェル)。ある異能者の能力を基礎に作られ、その圧倒的な熱出力と最大数十粁まで設定可能な半径の広さから"消滅兵器"と呼ばれ、ひいては戦争が生み出した《三大厄災》のひとつとして数えられている。


欧州刑事警察機構が機械の捜査官であるアダムを派遣した真の目的、それは国の膨大な重要機密事項を脳内に詰め込んだ彼ごとヴェルレエヌを焼却し、国家機密を抹消することにあった。


物語終盤、決死の作戦で互いに半壊になりながらもヴェルレエヌを食い止めた中也とアダムは、裏で思惑を練っていたNによって再び顕現した《魔獣》ギーヴルの体内に巻き込まれてしまう。取り返しのつかない状況下で、自身の本当の目的を思い出したアダムは、緊急脱出用の電纜(ケーブル)を繋いだ自分の右腕と中也だけを外へと送り出し、一人魔獣内部に残る決断を下した。

二人の間を繋ぐ電纜を切り離す姿を見たことで、彼がしようとする行動を察し「任務なんぞ知ったことか」「お前の夢はどうするんだ」と激昂する中也に、「貴方を護れるのです。当機はそれで満足ですよ」と言葉を残し、魔獣と共に自爆するという形で死亡した。


この後、異能兵器だけでは焼却し切れなかった魔獣ギーヴルへと再び立ち向かう際に、中也は独白の中でアダムを"友人"と表現している。結果的に彼の存在と死は、自分が人間であるか否かを証明する指示式と引き換えに、『汚濁(おぢょく)』を発動させヨコハマと世界を護る選択肢を中也に取らせる、最後の一押しとなった。











《暗殺王事件》終息から二ヶ月後、事後調査に来た英国政府の調査団の迎賓に派遣された中也と太宰は、偶然にもアダムを製作した異能技師・シェリー博士と対面することとなる。

アダムを死なせてしまったことを直接謝罪した中也に対し、シェリー博士は彼を宥めつつ、人命のためなら科学をないがしろにする英国政府に対して苦言を呈していた。そして部下に命じ持って来させた黒い筒の中から、かつて中也が魔獣内部から脱出する際に使われたアダムの右腕を取り出した。(この時中也が「事件の後、現場を捜したが結局その腕は見つからなかった」と発言している事から、彼が捜し始めるよりも更に前に技術顧問班が回収したと推測される)

政府に内緒で不揮発性メモリを仕込んでいた右腕を、彼女が持ってきた巨大な旅行用荷物函の中から出てきた人影が受け取り、装着しながら言った。




「アンドロイドジョークを聞きたいですか、中也様?」


「……はは!」




その後も彼は本国で難事件の捜査に精力的に乗り出しているが、6年経った今でも機械だけの刑事機構を設立する夢は叶えられていない。しかしその功績が評価され製造された、第二号人型自律高速計算機である、女性型人工知能のイーヴ・フランケンシュタインと共に今日も事件を追っている。



余談だが、舞台版『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』にて終演後のお見送りを中也とアダムが担当した際には、中也の命令によって再び命令権を上書きし、物語冒頭と同じように彼を『中也さん』と呼ぶアダムの姿が見れる。中也は「俺達はマフィアと警察。もう会うことはない」と話すが、その後半ば強引に披露されたアンドロイドジョークで結局笑ってしまったりと、事件後の2人の仲睦まじい様子が相見える内容となっていた。

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