概要
カトウコトノのデビュー作となった、短編の読切漫画。第5回少年シリウス新人賞入選作。将国のアルタイル第4巻に収録。デビュー作とは思えない高い画力と優れた心情描写で好評を博した傑作。
あらすじ
時は1917年。ロシア革命により、ロシア・ロマノフ朝が滅亡。皇帝の一族が革命軍によってことごとく処刑される中、唯一の生存者となった末子・アナスタシア皇女に追手の凶弾が迫る。彼女の身を護るのは、王室親衛隊見習いの青年ドミトリィ・ザイツェフただ1人。己の命を賭した、2人の逃避行がはじまる。
主な登場人物
ドミトリィ・ザイツェフ
王室親衛隊見習いの青年将校で、本作の主人公。精密機械の如く常軌を逸した射撃の腕前を誇るが、素行不良の問題児として周囲から疎まれ孤立していた。一年半前、アナスタシアと出会ったことにより、荒みきっていた心に変化が訪れる。キャラのモデルは、おそらくソビエト連邦の狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフと、映画「アナスタシア」に登場する若者ディミトリと思われる。
アナスタシア
ロマノフ家の皇女で、本作のヒロイン。不良として忌み嫌われているザイツェフにも気兼ねなく接する、人懐っこい天真爛漫な少女。革命勃発により、王室最後の生き残りとして命を狙われる身になる。キャラのモデルは、言わずとも知れたロマノフ家の四女アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ。作中では、実在した皇女よりもはるかに幼い少女として描かれている。
優等生
王室親衛隊見習いの1人で、ザイツェフの元同級生。暴力に訴えがちなザイツェフを嫌悪している。腐敗した王室を見限って革命軍側に寝返り、3人の仲間達と共にアナスタシアの命を執拗に狙う。本名は不明。
教官
ザイツェフと優等生が在籍していた親衛隊養成学校の教官。校則違反をしたザイツェフを罵倒し、激昂した彼から激しい暴行を受けた。