概要
『ストレンジジャーニー』以降では邪神分類で登場する。
地面から顔の上半分だけを出し、王冠をかぶった姿をしている。
元はアシーエルという天使だったがイスラエル人によりゲヘナの主ということになった。
以上はメガテンの関連書籍による紹介であるが、メガテン本以外にアルシエルについて記された資料は不明。アルファベット表記のAlsielで英語版google先生に尋ねても、女神転生関連か、後述のmugenキャラしかヒットしない。
「Gehenna Alsiel」で検索しても神話・伝説として言及されたものは出てこない。
元ネタ
バーバラ・ウォーカーの『神話・伝承事典』に記されるカルデアの暗黒神アシーエル(Aciel)が、解説等から元ネタの可能性が高いとされる(海外版真・女神転生Ⅲでも“Aciel”表記)
ただし、上記著作は作者の私見がかなり反映されている為、信憑性自体がかなり怪しいとされる。
Howard SchwartzのTree of Souls: The Mythology of Judaismにも記述あり。
出典はMidrash ha-Ne'elam,Zohar Hadash 25a-b。ただしスペルはArsiel。
上記の出典によると、カバラの古典『ゾーハル』の後世の付加部分「Zohar Hadash(新しいゾーハル)」の一節においてゲヘナの君主である天使としてArsielの名が挙げられている。
が、カルデア(バビロニア)、「黒い太陽」云々の話はここには一切書かれていない。
「新しいゾーハル」は『ゾーハル』の15世紀中盤以降に刊行された版に含まれる部分である。
ArsielとAciel
バーバラ・ウォーカーの『神話・伝承事典』のアシーエルの項目ではカルデア人が考えた七層の奈落の最下層に住む「黒い太陽」、暗黒の神と記される。カルデア人の神アシーエルがユダヤ人の記者によって「ゲヘナの王(prince of Gehenna)」にされ、表記が「アルシエル(Arciel)」に転訛したとされる。
アシーエルについての主張は「ゲヘナ」の項目においても繰り返し書かれている。両項目で彼女は出典としてウォーリス・バッジの『Gods of Egyptians(エジプト人の神々)』一巻の275ページをあげている。
が、ここにはユダヤ伝承の「ゲヘナの王」Arcielについての記述はあるが、カルデアの神で「黒い太陽」だというAcielについての記載は無い。
二巻目の最後にある索引を見てもAcielという語はない。
アシーエル(Aciel)はゲーテの戯曲『ファウスト』のモデルになったヨハン・ファウスト博士に結びつけられたグリモワール『Praxis cabulae nigrae doctoris Johannis Fausti magi celeberrimi』(ドイツのバイエルン州の都市パッサウで1612年に刊行されたテキストが現存)において占星術における「七惑星」を司る精霊の一人として挙げられる。メンバーは順に、ルシファー(Lucifer)、マルブエル(Marbuel)、アリエル(Ariel)、アシーエル、メフィストフィエル(Mephistophiel)、アガディエル(Agadiel)である。アシーエルは「七惑星」のうち太陽を担当する。挿絵(刊本画像リンク)では牛の姿で描写されている。この挿絵だと角の湾曲の仕方が山羊っぽいが、1849年版『Magia Naturalis et Innaturalis』といった後代の刊本ではリファインされ牛そのものになっている(参考)。
アルシエル、アシーエルいずれも中世より前の時代の出典は不明である。
『神話・伝承事典』において「アシーエル」についての他の出典が提示されていないため「カルデア(もしくはバビロニア)の神」「黒い太陽」といった情報をバーバラ・ウォーカーがどこから取り入れたのかは不明である。