概要
インブンチェ(Invunche)とは、チリのアラウコ族の伝承に登場する、湖底からしか入れない洞窟に棲むという吸血鬼。
魔女やブルヘリアと呼ばれる魔法使いの集団が、攫ってきた子供の穴という穴を塞いで造り出し使役するといわれ、同様の魔物はスペイン語で捕虜という意味の、エンセラドス(Encerrados)とも呼ばれる。
「皮の王者」とも呼ばれる毛皮で出来た風船のような姿、もしくは肩の上から伸ばした右足を、ねじれた首の頭上に乗せて両腕で歩くという歪んだ姿をしているという。
湖中に棲む、白い斑点がある茶色い皮のようなトレルケフエクヴェという魔物に、湖畔に近づいた若い娘を攫ってこさせて血を吸うといわれる。
基本的に洞窟から出てこないので倒すことは難しいが、傷をつけることさえできれば、まるで水ぶくれをつぶすように殺すことができるとされる。
創作での扱い
- 夜のみだらな鳥
ホセ・ドノソ著の南米文学。
エンカルナシオン修道院に住む老婆ブリヒダは、幼少期にインディオの血を引く祖母からこの伝承を聞き、インブンチェになりたい、もしくは他者をインブンチェにしたいという欲望を抱えていた。
パタゴニアの森に潜む魔術結社ブルヘリアが造り出し使役する、頭が後ろ向きの歪んだ人型の怪物。エクソシストジョン・コンスタンティンに襲いかかる。