アイツが帰って来る―
概要
2019年に公開された実写版カイジ第3作にしてシリーズ最終作。
前2作が原作つきなのに対し、完全オリジナルのエピソードとなっている。原作者は脚本にも参加し、共同執筆を行った。
あらすじ
2020年、国を挙げて盛大に開かれた東京オリンピックの終了を機に、この国の景気は恐ろしい速さで失速していった。今この国では、金を持つ強者だけが生き残り、金のない弱者は簡単に踏みつぶされ、身を寄せ合うことで何とか今を生きていた―。
自堕落な生活を送っていたカイジは、派遣会社からクズと罵られ、薄っぺらい給料袋を手渡される。憤りを感じながらも一缶千円に値上がりしたビールを買うかどうか迷っていた。
「久しぶりだね、カイジくん」「ハンチョウ?」
声をかけてきたのはスーツに身を包んだ大槻だった。帝愛グループ企業のひとつを任される社長に出世したという。
「カイジくん。君もこんなところでくすぶっているタマじゃないだろ?」
「何が言いたいんだ?」「実はワシと組まないかと思ってね」
大槻が見せたのは一枚のチラシだった。【第5回若者救済イベント開催!バベルの塔】金を持て余した大金持ちの老人が主催するイベントで、一攫千金のチャンスだ。
「こんなもの無理だ!運否天賦のゲームで作戦の立てようもない」
「その通りだよ。だが裏を返せば、カラクリがわかっていれば勝てる可能性があるわけだ……」
ざわ・・・ざわ・・・ ざわ・・・ざわ・・・
運命の歯車は動き出した。カイジを待ち受ける未来は天国か地獄か?日本中を奮い立たせる最後のギャンブルが今始まる―
主な登場人物
- 伊藤カイジ(演:藤原竜也)
- 高倉浩介(演:福士蒼汰)
- 桐野加奈子(演:関水渚)
- 廣瀬湊(演:新田真剣佑)
- 黒崎義裕(演:吉田鋼太郎)
- 大槻太郎(演:松尾スズキ)
- 坂崎孝太郎(演:生瀬勝久)
- 遠藤凛子(演:天海祐希)
- 西野佳志(演:山崎育三郎)
- 菅原太一(演:瀬戸利樹)
- 高瀬強士(演:前田公輝)
- 兵藤和尊(演:なし)※台詞で言及されるのみ
主な登場ギャンブル
- バベルの塔
金を持て余した大金持ちの老人が主催する「若者救済イベント」。街中のビルの屋上にデカい棒が立てられ、てっぺんに貼りつけられたカードを奪い合う。カードの表は“人生逆転カード”と呼ばれ、打ち込んだだけのお金が獲得できる電卓となっている。その上限額は9億9999万円。一方、裏面は人生を変える極秘情報が得られる魔法のキー。その詳細は誰も知らない……
カイジは大槻からこのゲームの話を聞き、参加するところから物語が始まる。
- 最後の審判~人間秤~
帝愛アイランドで開催されている中で最も過酷なギャンブル。信頼、名声、金、勝つものが全てを得る。負ければそのすべてを失う。マッチメイクされた敵対する2名が全財産を金塊に換え、天秤となっている秤の上に乗ってその重さを競い合う究極の総力戦ギャンブル。「Family」「Friend」「Fixer」「Fan」の4つに分類され、それぞれのステージの支援者が勝負のカギ。ひとりは破滅。ひとりは資産を倍にすることができる……
Familyは家族親戚による支援、Friendは友人による支援、Fixerは銀行等による支援、そしてFanは会場にいる群衆による支援となる。
会場にいる群衆は1枚1万円の金貨を手にし、勝つと思った方の天秤に金貨を投げ込む。賭けに勝てば金貨は倍になって返ってくる。投げ入れた金貨が溢れた場合は全て帝愛が回収する。
- ドリームジャンプ
一発逆転の死のギャンブル。参加者は全員自殺志願者。10人中9人が死ぬ。バンジージャンプのように体にロープをくくりつけ、飛ぶだけ。生き残れるのは、たった1本しかない繋がれたロープを引き当てたものだけ。夢を追ってジャンプした者の中から一人だけが大金を得る……
そして金持ち達はその様子を見ながら誰が生き残るかを賭け合う
人間の命を弄んだ、カイジに登場するギャンブルで最も悪趣味なものと言える。
- ゴールドじゃんけん
影の総理と呼ばれる首相主席秘書官・高倉が得意にしている接待ゲーム。3回勝負のジャンケンで、3回のうち1回は手のひらサイズの純金を握って出すことがルール。つまり、1回は必ずグーを出さなければならない。金を握ったグーで勝った場合は、その金をボーナスとして得ることができる……
高倉がカイジと戦った際には「カイジが1回でも勝てば勝利」「あいこの場合、高倉の勝ち」「純金を握って勝つごとに1億円の金塊が貰える」という特殊ルールが使用された。
余談
黒崎は物語開始以前に結婚しているが、原作の24億脱出編でも妻子がいることが明かされている。
とは言っても本作の黒崎は前2作とは演者も違うし、帝愛グループを抜けて派遣会社の社長になっているからパラレルワールドと考えるのが自然だろう。