概要
漫画「鬼滅の刃」に登場する栗花落カナヲの大切な「思い出」が詰まった品物。
片面ずつに「表」か「裏」の一文字が刻印された銅貨。文字の周りには花弁みたいな紋様もある。
この銅貨はカナエが作ってくれた思い出箱へ大切に仕舞われている。
カナエとしのぶの「思い出」
貧しい家に生まれ、両親から虐待を受けて育った(何人かいた兄弟は、殆どが虐待による暴力で命を落とした模様)。ある日、娘(カナヲ)は親から人買いに売られ縄で連れ歩かされているところを胡蝶カナエと胡蝶しのぶに保護された。
しかし、その頃は心身ともに苦しい生活から逃れるため心を閉ざし、胡蝶姉妹と出会う時には自分の頭で考えて行動ができなくなっていた。
そのため暫定処置としてカナエに「表」「裏」が刻印された硬貨を貰い、どう行動すればいいか迷った時に投げて決めるという指針を授かる。
またこの他に、いつの日かカナヲが本当に心を取り戻す「きっかけ」になればの願いも込められていた。
炭治郎の「思い出」
機能回復訓練を終え、任務の指令も届いたことで蝶屋敷の面々に出立の挨拶に回っていた竈門炭治郎に声を掛けられたカナヲ。
この時、カナヲは初めて炭治郎と言葉を交わすことになる。彼とどんな会話をすればいいかハッキリ決まっていないのもあってか、カナヲと炭治郎の会話は伝わっているようで伝わっていない内容の有様。
そんな会話を変える「きっかけ」となったのは、カナヲが手にする硬貨だった。
この時期には、幼少期よりもある程度は自分で動けるようになっていたカナヲ。しかし、まだ何もかもがどうでもいいと感じて自分一人では何も決められない事、指示されていない事柄に関しては硬貨を投げて決めている事、今の話をしているのもそうして決めた事だと炭治郎へ話す。この話に彼は「どうでもいいことなんてない」「カナヲの心の声が小さいのでは」と、自身の考えや、直感でみた彼女の欠点を告げる。炭治郎は暫し逡巡しカナヲから硬貨を借りると、表側に「カナヲは心の声をよく聞くこと」と賭けて天高く放る。
しかし、高く放りすぎたために不恰好な姿勢で硬貨を受け止めた炭治郎。ちょうどカナヲに背を向ける体勢になった彼はすぐさま振り返り、彼女の元で硬貨(コイントス)の結果をみるためそっと手を離す。
受け止めた硬貨の面は「表」だった。
「おもてだ~」っと、飛び上がって喜んだ炭治郎は硬貨を返す形でカナヲの手を握り、顔を近づけて激励する。
そして去り際。
どうして「表」を出せたのかと不思議がり問うカナヲに、炭治郎は「偶然」と飾らない素直な気持ちを告げて爽やかな笑顔をみせて立ち去った。
炭治郎を見送った後、カナヲはかけがえのない「何か」を包むように硬貨を胸元へ当てて握りしめ、大事な「何か」を感じた様子の神妙な面持ちになった。
それは傍目からみれば「何か」を得た乙女の姿だった。