概要
SF映画「STARWARS」シリーズのスピンオフ作品に登場するドロイドの一体。
機種は"STシリーズ軍事戦略分析及び戦術ドロイド"(別名:"スーパー・タクティカル・ドロイド")。その名前の通り、戦略や戦術を立案し、軍隊を率いることを目的とした指揮官タイプのドロイドで、クローン戦争中は独立星系連合(以下CIS)のバトルドロイド軍の司令官の一体として従軍し、CISの傀儡政権が支配する惑星オンダロンにて銀河共和国のジェダイやクローントルーパーと激しい戦いを繰り広げた。
初登場の「クローンウォーズ」のみならず、その続編である「反乱者たち」にも登場する数少ない元CISメンバー。
タクティカル・ドロイドとは
通商連合による惑星ナブー侵攻の頃のバトルドロイド軍は、OOMシリーズ(B1シリーズの前身)バトルドロイドの一部を改良し、黄色いマーキングを施したうえで指揮官機として運用していた。
しかし、OOMシリーズにしろ後進のB1シリーズにしろ、バトルドロイドは性能よりも生産性に重きを置いているため、指揮能力には限界があった。また、ナブー侵攻の際の「ドロイド司令船喪失による全軍の一斉無力化」への対策としてバトルドロイドを司令船からの一括管制から個々の独立運用に切り替えたこともあったことから、既存のバトルドロイドよりも優れた戦術・戦略立案能力をもつ指揮官専用機種の開発が急務となった。
こうした経緯で生み出されたのが"Tシリーズ軍事戦略分析及び戦術ドロイド"である。
河童じみた外見を持つこのドロイドは、戦闘への参加は考慮されておらず宇宙艦隊旗艦や後方の司令部での運用を前提とした頭脳労働専門のドロイドである(とはいえ、自衛用火器の運用くらいはできていた模様)。
その性能はB1シリーズの指揮官タイプと比べて格段に上昇しており、部隊によってはTシリーズが独立した指揮官としてバトルドロイド軍の指揮を完全に任されていたり、宇宙艦艇の艦長を務めていたりしたという事例もあった。
しかし、Tシリーズの性能にも不安が残ったためその上位・改良機種として開発されたのが、カラーニ含む"STシリーズ軍事戦略分析及び戦術ドロイド"である。
この機種は河童じみた外見のTシリーズよりも人間に近い外見に設計されているが、三つの「目」を持っていた。
また、合成音声についてはTシリーズよりも低く、威圧的なものとなっていた。
カラーニの経歴
そんなSTシリーズの中でもカラーニは異色の存在といえる。
まず、彼は劇中で個別名が判明している数少ないSTシリーズである。他にも個別名が設定されている個体としてR2-D2たち特務ドロイド分隊と争った"オート=オー"や、猛将トレンチ提督の副官を務めた"クラーケン"などがいるが、どの個体も劇中では個別名で呼ばれることはなく、設定資料ではじめて名前が判明している。そんな中、オンダロン王に対してドゥークー伯爵直々に「カラーニ」と名前を呼ばれたのは例外中の例外である。
また、全体的なカラーリングもオンダロン王家への出向のためか金の複雑な意匠が組み込まれているなど他の個体より明らかに豪華である。このペイントは、同機種の中から彼を識別する際のポイントとなっている(後述)。
加えて、共和国軍に敗北を喫しながらも破壊を免れた点(後述)も珍しい。他の個別名もちのSTシリーズ、例えばオート=オーはR2-D2たちとの格闘の果てに破壊され、クラーケンもトレンチ提督の旗艦に潜入してきたアナキン・スカイウォーカーに破壊されてしまっている。そんな中クローン戦争で破壊を免れたカラーニは希少である。
クローン戦争中
独立星系連合が擁立した新王サンジェイ・ラッシュの圧政に苦しむ惑星オンダロンの抵抗組織に対抗するための幕僚としてドゥークーの命令でラッシュ王の下に出向。STシリーズ特有の明晰な頭脳と新兵器"HMPガンシップ"の投入などで反乱組織を散々に苦しめるも、強力な兵器の供与を受けた反乱軍の猛攻に徐々に押され、最終的に王都は陥落した。だが、王都をめぐる最後の戦いで反乱組織のリーダー、スティーラ・ゲレラの殺害にも成功するなど、のちの時代まで残る深い爪痕を残した。
その後、オンダロンからの撤兵をドゥークーから命じられると、もはや無用となったラッシュ王をその場で銃殺し、配下のドロイド軍を引き連れ撤退地点である惑星アガマーへと向かった。
その後、クローン戦争中のカラーニの動向は不明のままジェダイ抹殺指令と銀河帝国の建国に伴い全ドロイド軍に強制シャットダウン命令が下され、独立星系連合とドロイド軍は瓦解。カラーニもそれに巻き込まれ人知れず機能を停止した...かに思われた。
銀河帝国の治世
銀河帝国建国から約15年後、元ジェダイ・パダワンのケイナン・ジャラス、その弟子であるエズラ・ブリッジャー、元惑星ラサン儀仗兵のガラゼブ・オレリオス、元クローントルーパーのレックスからなる反乱勢力チームが惑星アガマーに墜落した独立星系連合の補給船から弾薬を盗み出そうとした際、補給船の残骸に潜んでいた起動状態のバトルドロイドたちにより拘束されるアクシデントが発生。この残存ドロイド勢力を率いていたのは一体のSTシリーズだったが、劇中で明言こそされていないがそのペイントと墜落地点から、このSTシリーズはカラーニであることがほぼ確定している。
カラーニはクローン戦争終結時に発せらせた強制シャットダウン命令を銀河共和国側の偽の命令と判断し部隊ともども命令を拒否、そのまま惑星に墜落した補給船の船内で待機命令を守り続けていたのである。なお、コマンド自体は健在ではあるが帝国が建国されたことや他の惑星での戦闘が終結したことはカラーニ自身も把握していた模様。
だが、何か思うことがあったのかエズラたち一行を確保すると「ジェダイ、パダワン、クローンという銀河共和国側のチームが再び編成された」とし、彼らにもう一度自分たちと戦うことを要求。ゼブを人質に取ると配下のドロイドたちを残骸の各所に配置すると自分とゼブのいる司令室まで来るよう挑戦状を叩きつけたのであった。
カラーニとしては自分が立案した作戦がジェダイたちに対して通用することを確かめたかったようだが、やはり15年もの間碌なメンテナンスもなく放置されていたドロイドたちの劣化は激しく(※)、思うように行動ができないままブリッジに到達されてしまう。なおも自分の作戦の有用性を主張し、レックスと一触即発の状態までなったカラーニだったが、エズラの説得と帝国軍の襲来により矛を収める。
そして、帝国軍が問答無用で攻撃を仕掛けてきたのを確認すると、エズラの「帝国は共和国が転じたもの」というロジックを受け入れ、惑星脱出のためエズラたち反乱勢力たちと一時的に共同戦線を張った。
部下のドロイドたちに少ない犠牲こそ出たが今回もカラーニは生き延び、エズラたちと別れて宇宙のどこかへと去っていくのであった。その際、エズラたちに対して「貴様たちが帝国に勝つ確率を計算してみた。結果は0.0016%だ」と勝率は決してゼロではないという激励とも取れるメッセージを残しており、これにエズラは「ラジャーラジャー」とB1バトルドロイド風の返事で答えた。
その後のカラーニの消息は2023年現在は不明。
※・・・どれぐらい酷かったの言えば、B1ドロイドの下手くそな射撃は更に下手になり、ドロイディカはちょっとした衝撃でシールドがオーバーヒートするわ、何よりブラスターの殺傷能力を左右する内部のティバナ・ガスの劣化が凄まじく、(耐久年数を過ぎてる可能性があるが)クローントルーパーのアーマーを貫けないどころか、生身のエズラにすらまともなダメージを与えられないほどである。