概要
トロイア王の子として生を受けたとされる。ガニュメーデースとも。
その美貌はギリシャ神随一の美男アレスや有名なアポロンを凌駕していたという。
当然ゼウス神にも一目惚れされ「人類で一番美しい少年」だと覚えられた。稀代のスケベ親父であるゼウス神の目は肥えまくっていたと思われるので、相当なことであると思われる。
その父王が誰であるかは複数ある伝承によって違いがあり、トロース、イーロス、アッサラコスなどが父親とされる(イーロスとアッサラコスはトロースの息子で、伝承によって彼らとは兄弟になったり親子になったりしている)。母はアポロドーロスという人物の記述によればカリロエーである。全身が金色に輝く美しさと表現される為、金髪の少年で表現されることが多い。
いずれの伝承でも類稀な美少年で、その美貌ゆえに選ばれてオリュンポス十二神の給仕係を務めるようになった、あるいは神の長ゼウスの杯を奉げ持つようになった、という。
この給仕係の彼の姿をかたどったのが水瓶座である。木星の衛星に「ガニメデ」という名前がつけられたのもガニュメデスから。また小惑星にもガニュメデスに由来する「ガニュメート」(ガニュメデスのドイツ語系)というものがある。
後世でガニュメデスは絵画を初めとする芸術作品の題材となり、フランツ・シューベルトも「ガニュメート」という歌曲を作っている。
経緯の諸説
彼がオリュンポス十二神の給仕係となった経緯は以下の様なものである。
彼の前には青春の女神ヘベ(ゼウスとその正妻ヘラの娘)が給仕を務めていた。
しかしある時ヘベは給仕係を退き、ガニュメデスが後任を務める事になる。
ここまではどの神話でも同じなのだが細部が異なる。
- 新たに神に加わったヘラクレスの妻にヘベが選ばれたので、給仕係を続けさせるわけにいかなくなった。
- 給仕中に転ぶという失態を犯してしまいクビになった。
- 唐突に訳も無くゼウスが新給仕としてガニュメデスを連れて来てヘベを解任した。
大別するとこの三通りがあり、1.と2.では給仕係が不在となり代わりの者が必要になったが、神々の中では適任の者がいない。そこでゼウスが地上のガニュメデスに目をつけ、強引にさらって新たな給仕係に任じた、という事になっている。
3.では何の必要性もない事をやったゼウスは妻ヘラに文句を言われる事となったが、ゼウスはまるで耳を貸さなかったという。
また誰がどうやってガニュメデスを天に連れてきたのかも幾つかの説があり、その実行者は神々、ゼウス単独、ゼウスの使いの鷲、タンタロス、ミーノース、エーオースなどであるとされ、場所はトローアスのイーデー山、クレーテー島のイーデー山、エウボイア山、ミューシアのハルパゲなどであるとされる。