概要
1996年に㈱ミッチェル(※現在は活動休止)より発売。主人公・麒麟を操り、並み居る敵をそのタイトル通り「舞うが如く」撃破してゆく横スクロール型アクションゲーム。
開発にはかつてカプコンにて『ストライダー飛竜』の製作に携わった四井浩一氏が深く関わっており、そのゲームシステムや操作感覚、独特の世界観等に多くの共通点を見出すことができる。一部のファンからは、後に発売された『ストライダー飛竜2』(※四井氏は未関与)よりもこちらの方が続編らしい、という声もよく聞かれるほど。
発売されたのが『ストリートファイター2』『餓狼伝説』等の対戦格闘ゲームの人気絶頂期であり、ジャンル違いの本作は稼働台数も少なくあまり日の目を浴びる事は無かったのだが、非常に流麗なドット絵やスピーディーで小気味良い操作、手応えのある難易度などゲーム全体の完成度は高く、本作を知るプレイヤーからは「2Dアクションゲームの隠れた傑作」との呼び声も高い。
ストーリー
超常的な戦闘力を以て、裏社会の様々な依頼を遂行するエリート戦闘集団「狄(てき)」。
ある日その戦士の一人・麒麟は、連邦法務長官であるジャック・レイソンより「思想テロ集団『スレイヴァー』に占拠された都市を奪還してもらいたい」との依頼を受ける。
都市を占領する集団を瞬く間に撃破する麒麟だったが、直後現れたレイソンは彼をスレイヴァーの手先と見なし逮捕してしまう。全ては最初から仕組まれていた罠だったのだ。
連邦、スレイヴァー、そして狄を敵に回した麒麟の孤独な戦いが始まった。
登場人物
麒麟
主人公。戦闘集団「狄(てき)」の中でもトップクラスの実力を持つ戦士で、巨大機動兵器すら徒手空拳で屠り去る超人的な体術の使い手。
テロ集団「スレイヴァー」撃滅の依頼を遂行中、依頼者レイソン長官の裏切りに遭い、全てを敵に回した無情な戦いを強いられることとなる。
寡黙でストイックな性格で、作中でも一度も口を開く事は無いが、義理には厚い。
苛酷な境遇に堕とされてもなお潰えないその闘争心は、やがて敵であるはずのスレイヴァーの目にも留まり……。
ジャック・レイソン
ごくろうだった 麒麟
たっぷり 褒美をくれてやる
連邦法務長官。己の野望のため麒麟を利用し、陥れた張本人。
戦いの末、麒麟はついに彼の喉元へと迫るのだが……?
カノンス
若く愚かで無粋な男よ
あいかわらず自分の手を使うのかね
狄の戦士の一人。作中の台詞から察するに、麒麟の兄弟子に当たる人物らしい。
他の戦士とは異なり、直接己の肉体を振るって戦うのではなく、巨大なロボット兵器を遠間から手足のように操るという独自の戦闘スタイルを持つ(そのためか、服装もサングラスにコート姿と、動き易さを重視した他の戦士達の格好と比べると明らかに異質である)。
狄の追手として麒麟の前に立ち塞がる。
ティアノン
麒麟 おまえは美しい
わたしを燃え上がらせるからだ
狄の戦士の一人で紅一点。
麒麟同様、超人的な体術を駆使した戦いを得意としており、衝撃波を飛ばすほどの蹴り技、更には身に纏ったマントをも用いた多彩な攻撃を仕掛けてくる。
作中の台詞からは、麒麟に内心恋慕の感情を抱いているような様子も見受けられるが、詳細は不明。
ウィルフ
(※イラスト上部の人物)
ずっと 気に入らなかったのだ
おまえが 気に入らなかったのさ!
狄の戦士の一人。両手のカギ爪を用いた戦闘スタイルを持つ。
野心家で、台詞からはいずれ他の狄の戦士達を全て打ち倒し、自らが至高の最終兵器たらんとしている事が窺える。
……が、そのビジュアルや口調からはどうにも小者感が拭えない。
フェイク(ニセ麒麟)
スレイヴァーが麒麟の鏡像を実体化させた存在。
麒麟本人と何ら遜色無い戦闘能力を誇る難敵であり、彼との対決場面はゲーム中屈指の難所として知られる。
スレイヴァー
こっちへ来い、麒麟
余のかわいい殺人兵器よ
世界を蹂躙する思想テロ集団の名称であり、同時に彼等の崇める神の名前。
巨大な女性の姿を模した謎の存在だが、一度死んだ者を蘇らせるなど、「神」の名に恥じぬ超常的な力を持つ。
麒麟とは言うまでもなく敵対関係にあるが、時折彼にテレパシー(?)で自らの元へと誘いかけるような素振りも見せ……?
囚人たち
追っ手だッ!洗濯物をたたんどけ!
撃て撃てッ!なンでもいいから撃て
2面後半の舞台である砂漠の収容所で強制労働を強いられていた囚人たち…なのだが、奪取した潜水艦に海賊旗を掲げるなど、海賊のようにも見える(もともとは反連邦活動を行っていた者達らしい)。
麒麟が2面ボスを倒したことで解放され、奪った潜水艦で麒麟と共に脱出を図ることになる。
続く3面の冒頭で敵艦に体当たりを敢行して麒麟の突入を手助けしてくれるが、それ以降の消息は不明。
単なる脇役たちではあるが、作中における麒麟の数少ない味方であり、印象的なセリフ回しやデモシーンで男臭い一枚絵を披露してくれるなど、妙に記憶に残る連中である。
ゲームシステム等
- 操作は8方向レバー(移動)と3つのボタン(攻撃・ジャンプ・緊急回避(いわゆる「ボム」))を用いて行う。ライフ・残機制。
- 壁・床・天井等、あらゆる場所に張り付いて移動可能。また、レバーを進行方向に入れ続けるとダッシュ動作になる(このあたりは『ストライダー飛竜』の操作方法と酷似している)。
- レバー上or下or前方向を入れながら攻撃ボタンを連打する事で、通常よりも強力な連続攻撃「刻み舞い」が繰り出せる。
- レバー下+ジャンプボタンでスライディング。動作中にも攻撃が可能な他、スライディング中に敵の近くでタイミングよくジャンプボタンを押す事で投げ技「地獄車」を繰り出せる。
- ジャンプ中もある程度の空中制御・方向転換が可能。空中でも、敵の近くでジャンプボタンを押す事で空中投げ「イズナ落とし」を使える。
- パワーアップアイテムを取る事により最大5段階まで攻撃が強化される(ただし、最強段階は一定回数の攻撃分しか維持できない。また、自身がダメージを受けると一段階下がってしまう)。同時に、攻撃時に複数の分身を纏うようになり、その分身を利用して多方向から攻撃を繰り出すというテクニックも使用可能となる。ちなみに麒麟のズボンの色で現在のパワーアップ段階が判別可能(青→紫→赤→銀→黒と変化する)。
- 緊急回避攻撃「麒麟星祭り」は四方八方に己の分身を飛ばして攻撃する大技。威力は強烈だが攻撃判定にややムラがあり、必ずしも画面全体をカバーできるわけではない。また、使用回数はプレイヤーストック1人につき3回まで。プレイヤーミス以外で使用回数が回復することは一切ない。
- ステージの所々に浮いている「反重力クリスタル」に乗ると高速ジャンプが可能であり、これをうまく利用してゲーム進行を更に速める事も可能。
- 全6ステージ。第3ステージ中に分岐箇所があり、選んだルートによってその後狄の戦士達と戦う順番、その際に聞ける台詞が変化する。
余談
- 海外での発売時のタイトルは『Osman(オスマン)』。 ……麒麟の服装を始め、どことなくゲーム全体の色彩美術がオスマン・トルコ風のイメージを想起させるからだろうか。
- 当初「麒麟星祭り」は回数制ではなくゲージ制で、敵に攻撃を当てることによってゲージを貯めて用いる(ボタンを押す時間の長さで威力・消費ゲージが変化する)という仕様であり、アーケードゲーム攻略雑誌『ゲーメスト』でもその仕様を元に攻略記事が作成されていた。……が、正式稼働の直前に現在の仕様へと変更、結果上記の攻略記事が役に立たなくなってしまったという経緯があったりする。
- ゲームクリア後、最後に「とある台詞」が流れるが、それを発したのがラスボスなのか、麒麟なのかはプレイヤーの想像に委ねられている。
関連イラスト
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