演:シシー・スペイセク(1976年版) / クロエ・グレース・モレッツ(2013年版)
概要
アメリカの高校に通っている女の子で、フルネームは『キャリエッタ・ホワイト』。超強力なエスパーであり、激情に駆られれば街を簡単に破壊できる。
弱気な性格と芋くさい格好でいじめられているだけでなく、母マーガレットからの虐待にも耐えてきた。映像化作品ではカットされている描写もあるが、彼女が耐えてきた虐めは熾烈である。
キャリーに起きた初潮と「シャワー事件」がきっかけで、元々良くなかった実母との関係が拗れていき、更にいじめ加担した生徒達の逆恨みから、プロム会場でひどい悪戯を受け、全身に豚の血を被って気が動転(この豚も、悪戯の為だけに殺されてしまった)。同時に、プロムのパートナーの少年が悪戯の巻き添えで意識不明になる(恐らく死亡)。事態は最悪の方向に向かっていく……。
そして今まで鬱憤が爆発してしまい、祖母から受け継いだとされる秘められた念力とテレパスの超能力を発揮、プロムの場を惨劇へと変えつつ暴走、次第に惨状は街にまで拡大していく。
良く誤解されるが、彼女はパイロキネシスは使えない。作中のあれはあくまで念力による漏電によるものである。本気になりさえすれば念じるだけで人間の心臓すら止めてしまえるし、車さえ容易く動かせる。
彼女のテレパスについてだが、他人の精神や心に入り込み考えを見透かせる非常に強力なもの。また自分の思念波を周囲に強制的に知らせる事も出来る。しかし通常時においては1人にしか作用しないし万能でも無いので、クリスの企みをこの力で見抜く事までは出来なかった。
尚、原作やこれまで3度の映像化において犠牲者の状況に変動があり、原作では誰が悪意を持っていたのかをテレパスで判別して殺している一方、映像化の一部には巻き添えを食らった人もいる。ここも良く誤解され易い点だが、教師であるミス・デジャルダンもキャリーをつい笑ってしまった。直後に我に返ってはいるが、彼女が断じられるべき罪は「教師」としてではなく「本能的に女として女生徒達と張り合った事」にある。それが元凶となりクリスはキャリーへの復讐を思い付く。
キャリーからテレパスで心の中を見透かされた際に、「偽りの優しさ」と断じられた。
クリスは騒動後に逃亡し酒場ザ・キャヴァリアーで2人で盛り上がって事を終えた後に、ビリーと共に車で町に戻ろうとした際に死に掛かったキャリーと駐車場にて遭遇しビリーはキャリーを轢き殺そうとするも念動力により反撃を受け2人諸共、車中にて爆死。
その死の間際にキャリーがテレパスでクリスから感じ取ったのがこれだが、キャリーを破滅させる意図はあっても殺すつもりまでは無かったのが解かる。つまり手を汚したくはないのだ。
『彼女を殺さないで殺すつもりなんかなかったビリー私は見たくないやめてアクセルペダル私はハンドルを見るああ神さま私の心臓が心臓が心臓が』
クリスがキャリーを破滅させようと考えた切っ掛けは、最初の登校日に昼食時に跪いて祈った事で奇異の目で見られた。そして映画版によるとキャリーの母マーガレットが自宅にまで押し掛けて寄付を要求したのが一因なのとマーガレットの余計な一言『娘と自分以外の人達はみな地獄に落ちる』と言うのを聞き付けて曲解したのが全ての元凶だったようだ。
彼女自身『ナプキンをあいつの口に押し込んで黙らせてやるべきだった』と強く恨んでいるのが解る。
そしてキャリーが『自分と母親以外は地獄に落ちると言い触らして歩いて回っている』とクリスが学校で言い触らした事が原因でいじめが始まった事が示唆されている。
クリス自身、大人になり切れない女の子だが、彼女にも彼女なりの強固な主張があるのがはっきりと解るはずである。彼女にも彼女なりのではあるが言い分はあるのだ。
しかし、殺すまでのつもりなど毛頭なかった。
スーが作中で語った通り『私達は子供でした。それぞれ全力を尽くそうと努力していた子供だったのです』
子供であるのはクリスもビリーも例外ではないのだ。やった事は悪い事だが彼女的には正しい行いのつもりで信じて全力で努力して行動した結果がこれである。
原作でも街全体を破壊した際に、プロムを含めて440人の犠牲者を出していた。後の作品では犠牲者のメンバーや人数が異なる場合がある。その際に強力な思念波によって、町の人間全員に自分と言う存在を知らしめた。よりにもよってこの際にトム・クィランという男が思念波を
受けた際にキャリーを『OK。あのきちがい娘を気をつけなよ』とドイル保安官に忠告している。おそらく彼がキャリーの思念波に耐え切れずに彼女を煽ったがために、町の破壊は起きたのだと言う事が解る。しかも煽った当の本人は生き残っている。
余計な一言で火に油を注ぐとはまさにこの事である。
しかし、キャリーをいじめたクラスメートの一部は生き残った。代りにほぼ無関係の町の人達が死んだ。
母親から刺された際に、キャリーは慈悲のつもりで「ママの行きたがっていたところ」に心臓を止める事により安楽死させる。後にキャリーも死亡したが、死にきれず生きてるバージョンもある。これも良く誤解されるがキャリーは母親からの傷が致命傷となったのであって、自殺した訳では決して無い。
いずれにしろ『ブラック・プロム』と呼ばれるキャリーの破壊によって、街は壊滅してゴーストタウン化した。
後にキャリーのかつての自宅跡の芝生(映画だとキャリー自身の墓)に被害者達の肉親が彼女への報復のため、ペンキで次のように落書きした。
“キャリー・ホワイトはその罪の故に地獄で焼かれている。イエスは決してあやまたない”
ちなみに、ペニーワイズとは同じ世界に住む。
マーガレット・ホワイト
実は、少女時代に母親の再婚相手の男にレイプされた末に妊娠・流産している。こうなる以前の高校時代までは普通の少女だった。原作小説を注意深く読めば解かるが、彼女が妊娠したのは夫ラルフ・ホワイトとの「結婚前」であり「妊娠したのは夫との行為直後」。
この時点で注意深く読めば「夫とは違う第三者」がいた事が解かる。
彼女の場合、母親からも見捨てられているという立場、相手が義父と言う事でキリスト教に逃避するしかトラウマから逃れる術はなかった。
後に見舞いに来た元凶の義父には「たとえ正式に結婚していていても姦通を犯しているから地獄に落ちる。剣を持った天使が現れてふしだらな人間を切り殺す」と言い放った。
このような過去があり妄信的なキリスト教徒になったという過去がある。性行為を忌み嫌っていたのに、キャリーの父親に(書籍にもよるが2人して酩酊していた為の勢いで)抱かれた事で、キャリーを身籠ってしまった。その為、キャリーには愛憎が入り交じった感情を抱いており、キャリーが女になる事を恐れていた。
本心では愛する夫にも実の母親にも見捨てられ(ただし夫だけは見捨てた訳ではなく、本心から彼女を愛していた)、惨めでどうしようもなく、やり切れない想いを内に抱えており、狂信的なまでにカトリック教に入れ込んでいるのは、全てはトラウマからの逃避の為である。
このような過去が原因で、娘が「女」として目覚める事を極端に恐れており、生理や恋人と言った兆候があれば虐待をも辞さない上、真っ当な性教育すら許容しない(幼少の頃のキャリーに女性の乳房を『ダーティ・ピロー(=汚ならしい枕)』と呼ばせていたシーンが、その最たるもの)。
全ては娘が女として目覚め自分が捨てられる事を怖れた為、それと娘と自分が重なって見える為、男と言う悪魔=義父のような「悪魔みたいな男達から自分と娘を守る為」。
キャリーと母自身、無意識化の事だろうが互いが互いに捨てられる事を最も恐れていた。
キャリーの病的なまでに臆病な性格はそこから来るものであり、マーガレットが己に捨てられると言う恐れをテレパスを使わずとも無意識のうちに悟った悪影響である。
仮に娘が男と駆け落ちしたり、家から出ようとすれば地の果てまでも追うだろう、と海外のファン達からはマーガレットの性格を分析されていた。
「妊娠したのは自分の罪」と言ったのはキャリーの事ではなく、義父との末に妊娠した事である。
夫との行為が義父のレイプが彼女のトラウマを呼び起こしたせいもあり、その為にキャリーを殺そうとした。
娘を愛したいのに、縛り付ける事と虐待でしか愛を示せない哀れな母親でもある。
関連イラスト
関連動画
2013年版と1976年版のプロムの皆殺しシーン(※ネタバレ、グロ注意)
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主人公 ヒロイン 女子高生 超能力 / 超能力者 / サイコキネシス いじめられっ子
女神異聞録ペルソナ……ザコ敵の中に彼女をモデルにしたと思われる幽鬼族の悪魔「キャリー」が登場する。