概要
演:ティム・カリー(オリジナル版) / ビル・スカルスガルド(リメイク版)
吹き替え:麦人(オリジナル・NHK版) / 辻親八(オリジナル・テレビ東京版) / 多田野曜平(リメイク版)
スティーブン・キングの小説『IT/イット』に登場する殺人ピエロである。
立場は『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーと同じと言えば分かるだろうか。
30年前、子供達が"IT"(ヤツ)と呼んでいた謎の道化師ペニーワイズのものと思われる連続児童殺害事件が発生。
真相を掴むため、30年前の子供達がペニーワイズの謎を探る。
というのが大まかなあらすじ。
正体
その正体は人間の恐怖心を糧とする文字通りの人外で、特に幼い子供を狙って襲う邪悪な魔物そのもの。一部では宇宙あるいは異次元生命体という解釈もなされている。
ピエロに扮した人間の姿をしているが、それもあくまで擬態に過ぎず、実在や想像上の生き物、故人、ゾンビ、悪魔等様々な姿に化ける。原作、各映像化作品によって、その変化した姿や目撃された場所なども異なり、川をヒルの姿で移動していたこともある。そのピエロの格好で獲物となる子供に近づき、一方で敵対する人間にはその相手が恐れるものの姿となって翻弄する。また、「オレンジ色の光」を放って対象を殺すともされる。
メイン州のデリーという街の下水道に潜み、数十年周期で街に現れては数多くの事件を起こしているが、大人にはその姿も見えなければ痕跡も認識できないためそれらは全て不幸な事故や災害で処理されている。しかし、デリーの治安や人心が荒廃してきたのもすべてペニーワイズが原因であり、悪事を働きやすい環境に変えてしまった。
悪魔の部類だからか銀に弱いが、ルーザーズクラブがペニーワイズを攻撃した際に使用していた得物に銀が含まれていたのも、後述の善なる神々による助けである。また、思い込みの力を逆手に取られると形成逆転する。集団で立ち向かえば、各々のトラウマや恐怖を他の者がカバーするので対抗できる(参照)。
時々見せる牙をむき出しにした顔↓
ペニーワイズの「本体」とも言える存在は、神こと「Gan」と同一の可能性がある存在に創造されたことは確実だが、明確な誕生起源は不明。宇宙を取り巻く未知の空間からやってきたらしい。
少なくとも数十億年かそれ以上の長い時を生きてきた。太古に地球に降りてきた邪悪で蜘蛛に似た生命体ともされているが、「オレンジ色の光」が関係していること以外は本来の姿そのものは不明とされている。数多の世界を破壊してきたらしく、地球に襲来した際にも、「隕石の衝突」にも似ているとされる破壊的な大事件が起きたらしい(恐竜を絶滅させた?)。性別も同様だが、この世界の姿に当てはめるなら女性であり、そのためかは不明だが「グラマー」という異名も持つ。また、蜘蛛の状態でも妊娠した姿をしているともされる。
地球に襲来して人間を殺戮してきた理由も厳密には不明だが、暇潰しや趣味とも捉えられるような描写もある。ペニーワイズが地球に襲来して怪異が起きはじめたのも、ダークタワーの危機が関係している。
同作者の別作品『ダークタワー』にもこのペニーワイズにつながるような存在についての記述がある。
- 世界の中心の「ダークタワー」とそれに繋がる6本の「ビーム/道」を守る12の守護者(動物等の姿を持つ神々、12星座と呼応しているとも推測される)が存在する。その一名であり、宇宙を生み出したともされる200億歳の大亀マチューリンはペニーワイズの兄弟であり天敵である。
- ペニーワイズの「本体」は全宇宙の中枢に侵攻し、守護者の数名が倒されてしまったことや「本体」などの暴挙のため、数多の世界が滅びてしまった。
- 「Gan」やマチューリンは高次の存在「Higher Purpose/意思」とされるが、ペニーワイズや「深紅の王」は「Higher Random/偶然」という対極のような存在とされる。
- マチューリンについて、ペニーワイズは「馬鹿で怠け者の老いぼれ」としているが、マチューリンはその巨大な力と知恵と親切さを以て、助けを必要とする者達に必要な物を授ける。
- 1958年の際は、ルーザーズクラブに力を与えていたのは殆どの場合は「Gan」だが、マチューリンもビルに助言を与えたり、精神世界でペニーワイズと戦う力を与えた。そして、ペニーワイズが「亀」と「「亀」以上の存在」に反応して退散する事が複数回あったため、ルーザーズクラブが救われていた。
- マチューリンはかつて「腹痛を起こして」宇宙の本流を吐き出した。だが、ペニーワイズが1985年に再来した際に、「銀河を一つか二つ喉に詰まらせて」死亡したとペニーワイズが述べ、その後に死去は事実だと確認される。
- ダンデーロやモルドレッドといった同種の可能性がある存在たちも確認されており、ダンデーロはペニーワイズの「息子」だとする説もある。
ペニーワイズは、地球の次元の世界における「六大悪魔」の一人の「ツインナー」なのではないかという説もある。
- 「ツインナー」とはパラレル世界に属する存在のこととされ、地球の次元に住む者々のドッペルゲンガーとされている。
キャリー・ホワイトの存在も言及されている。彼女の超能力がペニーワイズに有効なのかは不明。
劇中での所業
遥か古代、現在のメイン州デリーに襲来。それ以来、何度も人間たちを害してきた。序盤でビルの弟ジョージはこいつに惨殺され、彼の心に大きな傷を負わせる原因となった。被害者には大人も含まれる。いわば土地に取り憑いており、その悪影響からか、この地は凶悪犯罪率や大事故の発生率が他に比べて6倍にもなってしまった。
1958年に街に現れ、陰湿な精神攻撃や不気味な魔法を使って子供達を殺害していた(なお、殺害された子供達の亡骸は彼の本拠地で浮遊させられている)。
だが、彼によって殺された遺族の少年少女らによって結成されたグループ「ラッキー7(ルーザーズクラブとも)」の調査によって、27年ごとの出現と恐怖を貪る生態、居場所を突き止められる。
スタンを殺害しようと試みるも、その場にいたエディーが用意していた水入りスプレーを掛けられてせっかくの顔を台無しにされ、さらにベヴがパチンコで放った銀弾が直撃し、顔の左半分を破壊されるという深手を負って逃亡した。
それから数十年後、再び活動を開始。それに気づいて再びデリーに集まった成人したラッキー7に対し、彼らをあの手この手で妨害するが、その恐怖を跳ね除けて再度自身の住処に飛び込んできたラッキー7の前に巨大な蜘蛛に似た怪物の姿となって立ちはだかる。そして彼らとの激闘の末に弱点である腹に銀の弾を受けて大ダメージを負い、そのままトドメを刺されて絶命した。
モデル
33人の少年を殺した死刑囚ジョン・ウェイン・ゲイシー(John Wayne Gacy)をモデルとしている。
ボランティアでピエロの姿で活動していた為についたあだ名が"Killer clown"、殺人ピエロ。
ペニーワイズは人間離れした技、どこか得体のしれない魔法のようなもので相手を追いつめて殺害しているものの、その本質的、根本的なところはこのゲイシーと同じである。
また、『三びきのやぎのがらがらどん』に登場したトロルもモデルとされる。
ちなみに、こんな意見もある(参照)。
また、スティーブンがジョニー・デップ同様にピエロ恐怖症を患っていることも無関係ではない(参照)。
二次創作での扱い
ドナルド・マクドナルド関連のMADにおいて、ホラー的要素あるいは不意打ち要素としてこのペニーワイズが使われる事が多々ある。
というか、近年ではMADを通じてこいつを知ったという人の方がどう考えても多い気がするのだが。
両者共に外見がピエロというだけで当然の事ながらそれ以外に接点はないのだが、『ドナルドのうわさ』の空耳からもわかるように、インターネットの片隅ではドナルドの二次設定にバイ(基本は男子だが)という設定が付けられており、「ドナルドは、男子に夢中なんだ♂ホラね、自然に体が動いちゃうんだ☆」というセリフで、おそらくこいつが繋がったものと思われる。
他にも『IT』のDVDのパッケージがニコニコ市場にズラリと並んだ時のインパクトの強さも関係を強めた理由の一つでもある。
もっとも、現在はドナルドの露出の少なさから減少傾向にあるが。
ペニーワイズがオススメするシリーズ
また、2017年11月頃からオリジナル版のジョージとペニーワイズが遭遇するシーンを使った嘘字幕シリーズ『ペニーワイズがオススメするシリーズ』として広がりを見せている。
内容としてはペニーワイズが好きな映画やゲームなどをオススメし、ジョージの興味を惹いて沼に引き込むというもの。
このテンプレの初出はツイッターでこっぴー氏の「UNIで使用キャラに迷っている人向けの動画ですゆ」というUNIのミカをオススメするというもの。
ブームに火を付けたのはニコニコ動画の知的風ハット氏(通称:メタルマンの人)の「ペニーワイズが新作サメ映画をオススメするようです」がきっかけである。
基本的にペニーワイズがジョージに牙を剥く箇所で終わる物と、その後の葬式をオチにしたパターンが存在する。後者の場合はジョージが沼に落ちた結果として描写されるが、どんでん返しでペニーワイズの葬式として描かれることも。
また、数は少ないがリメイク版を使用した動画も存在する。こちらに関してはオリジナルよりセリフが多くダイレクトマーケティングがしやすいのが強み。
さらにオリジナルの続編としてリメイクを使用するパターンも存在する。ちなみにリメイクは何事もなくボートを返してもらうというNGカットが存在する為、オチのアレンジが可能。
余談ではあるがペニーワイズへの対抗策として恐怖心を無くすというものがあるが、このシリーズを視聴した結果ペニーワイズが怖くなくなるという、ペニーワイズ対抗手段としては有用だったりする。(ピエロ以外に変身されたら終わりということは内緒)
また、劇中で「ストリートファイターで遊ぼう」と誘う場面があり、オススメするほどゲーム好きというのもあながち間違ってるわけでもない・・・・・・・・・かもしれない。
pixivのクロスオーバーにおいては、ペニーワイズを上回る狂気がゴロゴロいるため返り討ちに遭うことも少なくない。
ペニーワイズが別のキャラに置き換わっているパターンも。
主な犠牲者
風船を取ろうと手を伸ばした直後に手を掴まれ襲われた(オリジナル版)。
排水溝に引きずり込まれる直前に右腕を食い千切られた(リメイク版)。
- スタンリー・ユリスー
子供時代にペニーワイズに殺されかけた恐怖心に打ち勝つことが出来ずに浴槽で手首を切って自殺した(オリジナル・リメイク共通)。
- パトリック・ホックステッター
下水道で別行動を取っていたところでペニーワイズから発せられる光に吸い込まれ死亡した(オリジナル版)。
中盤にて下水道の中でペニーワイズに襲われてフェードアウトした(リメイク版)。
27年後にペニーワイズに操られて脱走し、ラッキー7を襲撃してマイクに重傷を負わせるが、抵抗を受けた際にナイフが刺さって死亡した(オリジナル版)。
ナイフでエディの頬を刺したが反撃を喰らって一時逃亡。その後マイクを襲撃するも駆けつけたリッチーに返り討ちに遭い死亡した(リメイク版)。
女体化
日本で『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』が上映開始した初日にコトブキヤのHORROR美少女シリーズで女体化したペニーワイズが公開された。
リメイク版をモチーフにしており、2020年にフィギュアが発売された。
なお、pixiv内では『THE END』が公開される以前に投稿された女体化のイラストが存在しているが、デザインがHORROR美少女と異なっている。
余談
アース-616のスパイダーマンやシルク等は強大な蜘蛛の神々のアバターなので、ペニーワイズやその部類とは対極の位置にいるのかもしれない。
また、この独特なダンスが強烈に印象に残る。
空気を入れるポンプを押すような奇妙な動きと共に独特なステップを踏むのだが、体は左右に動いている(景色も合わせて揺れている)にもかかわらず、首(頭)だけはそこに貼り付けたように動かないというシュールかつ不気味なものである。
また、「ペニーワイズのダンスのBGMを変えてみた」という動画も多数存在する。
例
関連イラスト
オリジナル版
リメイク版
関連動画
ドナルド都市伝説
ペニーワイズ(1990年)の殺害シーン集(※ネタバレ、グロ注意)
関連タグ
殺人鬼 怪人 魔物 ピエロ 道化師 風船 ショタコン ロリコン
関連人物
ルーザーズクラブ ベバリー・マーシュ ジョージー・デンブロウ ヘンリー・バワーズ
関連キャラ
ドナルド・マクドナルド ジョーカー フレディ・クルーガー アスモディ ウルトラマントレギア
エリック・ドレイヴン:中の人が同じピエロメイクの映画キャラ。
別表記