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キルトスカート

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きるとすかーと

伝統衣装のひとつ。スコットランドにおける男性の衣装。キルトは英語名で、ゲール語ではフェーリア(Feileadh)と呼ばれる。 

概要

キルト(kilt)はスコットランド高地地方の伝統衣装である。

一見スカートのように見えるが、厳密には別のものであるので注意しよう。(後述)

通常はタータン柄(タータンチェック)

キルトは英語での呼び方で、ゲール語ではフェーリア(Feileadh)と呼ばれる。

ハイランダーが着用したことで有名。

また、伝統的なスタイルではノーパンで着用することでも有名である。

詳細

民族衣装の常として、結婚式や晩餐会などのフォーマルな場で正装として着用されることもあれば、日常着として気軽に身につけることもできる。それらの差別化のため、和服における格式のようなルールがあり、布地の模様、プリーツのつけ方から小物の意匠に至るまで多種多様に細分化することができる。

いちいち挙げるときりがないので、大まかに解説する。

キルト生地

折り方

後ろだけにプリーツがあり、前は平らになっている。これをエプロンと呼ぶ。

古くは着用する毎に数メートルの布を自分で折り畳みプリーツを作っていたが、18世紀に簡便化されたものは、最初から縫い付けてある。

タータンのパターンが崩れないように折り目をつける方法と、タータンの縦軸に沿って折り目をつける方法とがあり、後者は「ミリタリー・プリーツ」と呼ばれる。

キルトは一見すると寒そうだが、腰のあたりに細かく襞がよって厚くなり空気を含むので、実はかなり暖かい。

日本においてもファッション用語として定着している「タータン(tartan)」は、日本では家紋にあたるもので、各氏族ごとに定められた模様の総称である。それぞれに名前があり、数百種類が存在する。

例を挙げると「ロブ・ロイ」「アンシェント・マクミラン」「ロイヤル・スチュアート」など。王を多数輩出したスチュアート家のものにはその名が入るなど、個人のアイデンティティに深く関わりがある。

また現代では、会社や団体がそれぞれのタータンを定めていたり、軍隊では連隊ごとに固有のタータンを使用している。

スコットランドのタータン協会が承認・登録を行なっている。

小物類

ピン

エプロン部分の裾を留めるのに使う。裾近くの膝から少し上につける。

多くは金属製で、格をつけるため美しく装飾を施される。いわゆるオシャレポイント。

男性は一枚だけに重石としてつけ、二枚を刺し通して留めるのは女性だけ。

スポーラン

キルトは一見するとプリーツスカートのように見えるが、幅広の長い布を巻くように着用するためポケットがない。そのため貴重品などを収納するスポーランというポーチを鼠蹊部前面に下げる。

正面に下げることで、椅子に座ったときのチラ見え防止の効果がある。

素材や房飾りの形、数などでのTPOの使い分けがすごく細かい。

ダッシュする時やカジュアルに決めたい時などは左右どちらかに回したりもする。

ベルト

幅広の黒いベルト。革製のもの。バックルはメタル。

正装用のものだとベルトループはないが、カジュアル用はついてることもある。

古い時代には、革のベルトの上に布製の飾り帯を巻くこともあったが、現在は省略されている。

靴下周辺

正装として着用する際には、ロング丈の靴下と「フラッシーズ(flashes)」と呼ばれるリボン飾りのついた靴下留めは絶対に不可欠である。靴下の丈とフラッシーズのリボンの位置を誤ると、あたかも“タイツを履いたおばあさん”のようになってしまい、男らしい膝と脚の逞しさが台無しになるので、細心の注意を払うべきオシャレポイントである。

また右脚の外側に「スキヤンドゥ(sgian dobh)」と呼ぶ短剣を留める。ゲール語で「黒い短剣」という意味で、ハイランダーたちがそこに予備の短剣を留めていた名残である。現在では装飾的なもので、本物の刃物は稀である。

正装の場合は、黒い革製の編み上げ靴を履く。靴紐が長く、一番上まで締めて余った紐を足首の前で交差させて後ろへ回し、後ろで再び交差させて前へ戻し、くるぶしの下で蝶結びにする。

この靴は「ギリー・ブログース(ghillie brogues)」と呼ばれ、意味はゲール語で「ギリー」が「足の甲が見える靴」、「ブログース」が「つま先から両サイドにかけて点々と穴を開けた装飾」のこと。この穴は現在の革靴でいう「ウイングチップ」のことで、現在においては装飾的な意味しかないが、かつては川を徒歩で渡らなければならなかったときに、水はけを良くして足の病気を防ぐためのものだったという。

トップス

正装ではワイシャツとジャケット、ネクタイと帽子が組み合わされることが多い。

ネクタイはボウタイ(いわゆる蝶ネクタイ)がより格の高いものだとされる。

歴史

キルトの原型は、スコットランド高地地方の伝統的衣装「グレート・ハイランド・キルト」であり、古くは16世紀後半の記録に登場する。

 この頃のこの衣装(現在フェーリア・モールと呼ばれる)は、「プレイド(plaid)」と呼ばれる長い布に複雑に襞をつけ、ベルトピンで留めるものであった。丈は膝上10cmくらいで、余り部分は下にたらしたり肩にかけたりして着用した。

 現在見られる形、フェーリア・ベックは18世紀前半ごろ発明されたものである。裾の長さは膝上ちょうどで、プリーツが前以て縫いつけてある、余り部分が出なくて足さばきが良いなど、着用の簡便さも相まって、急速に普及した。

現在ではハイランド、ローランドの区別なくスコットランドの全般的な民族衣装として扱われ、正装としても、また日常着としても広く着用されている。

オールドスタイル(フェーリア・モール)はともかくとして、18世紀ごろに登場したフェーリア・ベックを国民的民族衣装として認めるかは、一部では意見が分かれている。

実はスカートじゃない

キルトは一足型ボトムスに分類される衣類ではあるが、日本の袴をハカマスカートと呼ばないように、キルトはキルトであり、スカートではない。タータン柄女性用スカートのことをキルトスカートと呼ぶので、厳密に言うとこの項目名(あるいはメイン画像)は誤りである。

細かい違いはいくつかあるが、

キルトとスカートの違いキルトスカート
合わせの方向右前左前
バックル腰の後方腰の前方
布の量8〜13メートル2〜3メートル

などである。屈強な男の衣類だけあってかなり重い。

近年では女性もキルトを着用する機会があるが、これは性差別撤廃の運動によるものであって、歴史的に見ればキルトは完全に男性の衣服であり、本国スコットランドにおいては反中央政権精神と結びつけられ、非常に男性的なものとして扱われている。

ユニセックスなテーマを持つメンズスカートと混同されないよう注意されたし。

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