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「初めまして。そしてお帰りなさい」

概要

帝国の極東アルトリア管轄区の廃墟と化した研究所の地下にある研究房『エルザの棺』を主宰する女研究者。

かつては帝国軍星霊研究機関『オーメン』の研究主任でニュートンからも逸材と評される天才であったが、倫理観が著しく欠如したマッドサイエンティストであり、その狂気染みた知的好奇心の赴くままに自宅を改造したラボで平然と人体実験を行ったことで国家反逆罪に問われ、『天獄』へと投獄されたが、その才覚に目を付けた八大使徒により脱獄。以後彼らとは相互扶助の契約を結び、上記に設えた『エルザの棺』で星霊を用いた星体実験を繰り返していた。

以上の経歴から狂科学者と蔑まれている。

人物像

上記からもわかるように己の知的好奇心と実験のことしか眼中になく、彼女にとって他者とは被検体になり得るか否かの二通りしかなく。彼女は帝国司令部のように星霊使いの殲滅など望んでおらず、せっかくの実験サンプルがもったいないと評し、被検体として提供されたシスベルの泣き叫んだ際の涙をスポイトで吸い取り『貴重な魔女の体液』だと臆面もなく言い放つなどおぞましいまでの知的好奇心で彼女を戦慄させている。

誰も彼もが自分を狂っている間違っていると非難しても自分への嫉妬としか受け取らず、結局自分を正当に評価したのは八大使徒だけだと断言するなど非常に自分本位で身勝手極まりないエゴイストであり、シスベルやジンからは露骨な嫌悪を買ったほど。

能力

ニュートンから期待されていたこともあり、研究者としての手腕は卓越しているどころか正に天才の域にあり、彼女の編み出した星霊研究の技術と造詣は、皇庁の星霊研究よりも遥かに進んだレベルにまで到達している。

独立国家アルサミラに投入された魔女狩り兵器殲滅物体(オブジェクト)をはじめとした帝国軍のあらゆる兵器の次世代動力源として開発した、自ら”ペット”と呼ぶ人造星霊『カタリスクの獣』を生み出し、何よりカタリスク汚染地から採取された星霊エネルギーに含まれた星の災厄たる大星災を見つけ出し、それを用いた人工的な『人と星霊の統合』を試みた星体実験により、被検体Vi被検体Eを生み出すなど純粋に研究手腕のみを評価するならば、まさに画期的かつ革新的という評価が相応しいだろう。

ネタバレ

ここから先は作品の重要なネタバレを含む為、閲覧注意。

 

『星霊の時代はまもなく終わる。この新たな力でね』

悪星変異『カタリスクの天使』――

そのおぞましいまでの知的好奇心は己自身さえも被検体とするレベルであった。

それにより『被検体Vi』に酷似した変身能力である悪星変異『カタリスクの天使』を獲得しており、ヴィソワーズのように髪が硬質化し、肉体が曇りガラスのような半透明となり、背には黒い突起物が幾つも隆起し歪な翼を形成した異形の姿となる。

『被検体Vi』と同じく『星炎』を操り、全身から太陽の熱波のごとく紫の炎が噴き出す火球『菫色の小惑星(ヴァイオレット・ベルト』を撃ち出し、翼の突起物からは星霊エネルギー『星夜見』を放出するなど攻撃力が絶大であるばかりか、肉体は星の要塞に匹敵する硬度を誇り戦車の砲撃でも砕けないなど防御も完璧な上、止めとばかり空間転移とも異なる星霊の現象そのものである物理法則の超越たる転移現象『光転移《リープ》』能力を持ち、無気配無挙動のため人間の五感では知覚できず、イスカが容易く後ろを取られたほど。

ただし空間跳躍するまでの時間制限《インターバル》が九秒かかり、星霊エネルギーによって拘束されると移動はできない。

ただ、生まれつき星霊を宿しているわけではないので強引な魔女化に時間がかかり、過去三回における試行による平均は六分二十九秒である。

しかし、これらの力でやを圧倒しながらも彼女はあくまでも戦士ではなく研究者でしかなく、その癖が戦闘において仇となった上、戦闘経験の無さと魔女となったことで驕り、星霊使いの燐の執念を軽んじた結果、彼女が予め作り向かわせていた巨大ゴーレムにより全身を拘束され光転移を封じられてしまう。

その間隙を逃さずイスカに翼を切り裂かれ、星霊エネルギーが保管された機械炉の内部へと落下。

その結果、彼女の中の『大星災』の因子にとって星霊エネルギーは相容れない猛毒であったため拒絶反応を起こして肉体が崩壊する。

膨大な星霊エネルギーの気流のなかであらゆる物理干渉を受け付けないはずの高次元の肉体がひび割れて崩れ出す。

これをケルヴィナは素直に称賛するが、イスカからは偶然と答えられ自分が一番嫌いな言葉と吐き捨て「せめてイリーティアのように『これが星の意思ですわ』と。それくらい詩的に謳ってほしい」と妙な文句をつけた。

最後に――

『偶然という言葉は嫌いだが、星の意思ならば確実に存在する。このように』

『星霊の歌を聴く。百億の星々に授けられた神なる歌だと』

『彼女(イリーティア)はそう言っていた。自分は聞こえるようになったと。私には聞こえなかったが、星の中枢にたどり着けば、こんな私でも――そう思っていたんだがね……』

『なあナザリエルよ、星の中枢……「百億の星の都(レイネンへーべ)」にたどり着くことは叶わなかったが、これも大いなる意思ならばしょうがない』

『星の気まぐれが許すなら、いつか再び巡り会いたいものだね』

『私は醜い蛾だからね。美しい蝶々とは相容れないものなのさ』

どこか寂し気に吐き捨てた狂科学者は炎の光の中で果てた。

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ケルヴィナ・ソフィタ・エルモス
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