日本のイネ品種もしくは米のブランド名。粘りが強く、食味と耐寒性に優れているため、北陸地方、南東北、関東地方を中心に、北海道を除く日本全国で広く栽培され、コシヒカリとその派生品種は現在の日本で最も普及した系統群である。
解説
すぐれた耐寒性と多収量で寒冷地の稲作に革命を起こした「水稲農林1号」の子品種として、福井農事改良実験所(現:福井県農業試験場)で作種された早生品種。本種は農林1号の良食味性と耐寒性を引き継いでいるが、その欠点であるいもち病の弱さも受け継いでいるうえ、収量は農林1号ほど多くなかった。また肥料を与えすぎると倒伏しやすい。このことが食糧難だった時代には否定的に評価され、作種地の福井県では奨励品種としての採用が見送られたが、新潟県と千葉県で奨励品種として採用、「コシヒカリ」のブランド名が与えられた。福井県が本品種の「生みの親」とするならば、新潟県と千葉県は本品種の「育ての親」といえよう。
米余りの時代の中で、食味に優れた本種が高く評価されるようになり、1979年には全国作付け面積1位となった。現在では各地方で多数の派生品種が現れたためシェアを減らしているが、日本で一番作付け面積の多い米(ブランド)の座は揺らいでいない(またあきたこまち・ひとめぼれ・ふさおとめなど後続品種の多くもコシヒカリおよび農林1号の血を引く米である)。ただし、現在売られているコシヒカリのほとんどは、いもち病耐性を持つように改良された派生品種の「コシヒカリBL」であり、本来のコシヒカリから切り替わっている。
品種名の由来
「越の国(北陸地方)の光り輝くお米」という意味を込めたもの。漢字で書くと「越光」。
「腰光」ではない。