概要
70年代、『神の街(シティ・オブ・ゴッド)』と呼ばれるリオデジャネイロの貧民街で起こった、実際のギャング同士の抗争を題材にした作品。
出演者のほとんどが素人であり、そのほとんどがスラムの出身である。
アドリブ主体での撮影が行われており、麻薬汚染や警察機関の腐敗、貧富の格差や銃社会などと言った〝ブラジル社会の闇”を、陽気なラテン系のノリで、テンポ良く描いた傑作である。
ストーリー
60年代
街はずれのスラム『神の街』に、『優しき三人組』と呼ばれるギャングがいた。
盗んだ金品のほとんどを、貧しいスラムの住人に分け与えるため、住民たちからの信頼を勝ち取っていた彼らだったが、そんな彼らにも終わりのときが近づいていた。
70年代
かつて『優しき三人組』に憧れていた少年リトル・ダイスは、大人になり、長年の野望を果たそうとしていた。
それは『神の街』のギャングを皆殺しにして、自分が『神の街』の新しいボスとして君臨することだった。
リトル・ゼと名を改めた彼は、街のギャング団をほとんど壊滅させ、神の街のほとんどを自らの手中に収める。
だがある事件がきっかけで、事態は、街全体を巻き込んだ抗争へと発展してしまう・・・。
登場人物
ブスカ・ペ
この物語の主人公で語り部。
兄のマヘクは『優しき三人組』の一人でギャングである。
しかし彼からしてみれば、ただのチンピラとのこと。
リトル・ダイス(リトル・ゼ)
実在したギャングの親玉で、神の街の住人。
非常に粗暴な性格で、強い野心を抱いている。
気に入らない相手であれば、相手が十歳にも満たない子供であろうと、容赦なく殺す残虐な一面を持ち合わせている。
かつて、優しき三人組に憧れ、いずれは自分も街一番のギャングになることを夢見ていた。
ベネ
実在の人物。
リトル・ゼの親友で、彼の少年時代からの友人である。
兄のカヴェレイラは、優しき三人組の一人。
粗暴なリトル・ゼとは対照的に、人当たりが良く、誰からも好かれる性格である。
横暴なリトル・ゼも、親友である彼の言うことだけは素直に聞くため、周りからはリトル・ゼのブレーキ役としての信頼を集めている。
その影響力はすさまじく、彼の死がきっかけで、街全体を巻き込んだ抗争に発展してしまう。
マネ(通称・二枚目マネ)
実在の人物。
神の街の住人で、二枚目マネの愛称で親しまれているイケメン。
バス会社に勤める平凡な青年だったが、彼を妬んだリトル・ゼに、恋人をレイプされたうえに、家族を殺される。
復讐のためにギャングに身をやつし、神の街全体を巻き込んだ全面戦争へと発展させる。
かつて軍隊に所属していたらしく、射撃の腕はかなりのもの。
セヌーラ
神の街のギャングで、リトル・ゼと対立している。
リトル・ゼに復讐を誓うマネを仲間に囲い、それがリトル・ゼの気に触れ、街全体を巻き込んだ全面戦争へと発展してしまう。
粗暴なギャングではあるが、人当たりは良く、リトル・ゼに比べれば遥かに人格者である。
優しき三人組
カヴェレイラ
ベネの兄で、リオデジャネイロ一恐ろしいギャングとのこと。
三人組の中ではもっとも粗暴であり、ギャングの鑑のような人物。
リトル・ダイスを弟分として可愛がっており、彼からも実の兄のように慕われている。
マヘク
ブスカ・ペの兄で、三人組の一人。
適当な性格であり、やはり粗暴。
街の住人からは恐ろしいギャングだと思われているが、弟のブスカ・ペにしてみればただのチンピラとのこと。
リトル・ダイスに対して横暴な態度で接するため、彼からは非常に嫌われている。
アリカーチ
非常に信心深い性格で、三人組の中ではもっともおとなしい。
後に、ギャングとしての自分のあり方に疑問を覚え、教会に帰って行った。
評価と反響
この作品は、ブラジルの作家パウリ・リンスの小説を、映画化したものである。
ブラジルの都市部には、ファベーラと呼ばれるスラム街が多く群立しており、本作の舞台『神の街』も、実際に存在するファベーラである。
この作品はブラジル国内で大ヒットを記録し、歴代ブラジル映画の興行収入記録を大きく塗り替えた。
海外でも好評であり、アカデミー賞を始めたとした多くの映画祭で、受賞・ノミネートされた。
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