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シビュラシステム

しびゅらしすてむ

シビュラシステムとは、アニメ『PSYCHO-PASS』に登場するコンピューター、またはそれによって運営される社会制度。
目次 [非表示]

「成しうる者が為すべきを為す。これこそシビュラが人類にもたらした恩寵である」


概要編集

西暦2112年の日本で運用されている社会制度。管轄は厚生省。サイマティックスキャンにより読み取った人々の生体力場を解析し「サイコパス(PSYCHO-PASS)」として数値化、それを元に精神の健康状態・個人の能力を最大限生かした職業適性を示し、人々が最適で充実した人生を送れるように支援を行う包括的生涯福祉支援システム。

『シビュラ』とは、アポロンの神託を受け取る古代の地中海世界における巫女のこと。


精神状態が数値化されたことで効果的な心理療法が確立され、人々は心の安寧を手軽に得られるようになった。さらに犯罪を犯す可能性がある者、又は犯罪を犯した者は街頭スキャナによるサイマティックスキャンで即座に判別できるようになり、治安は劇的に改善。これにより犯罪は一種の病とされ、刑事裁判・刑務所といった制度も消滅した。

数値化されたPSYCHO-PASSは「色相」と呼ばれる視覚的バロメーターに変換され、その色合いや濁り具合などによって個々人の精神状態を簡単に測れるようになっており、市民達の日頃のメンタルケアなどに用いられるのみならず、進学・就職・結婚といった市民の人生設計そのものを決める指標としても活用されている。


日常的に発生する膨大な量の演算処理に対応するため、システムは都内各所に設置された複数のスーパーコンピューターによる並列処理、あるいはグリッドコンピューティングによって構成されている。

公安局の用いる携帯型心理診断鎮圧執行システム『ドミネーター』もこのシビュラシステムと直結しており、これによる犯罪係数測定を行う際は(緊急性の観点から)シビュラが常に最優先でその処理を行うようになっている。


導入の経緯編集

そもそもは自由主義経済の崩壊による世界的紛争の余波を受けた日本が国内経済を立て直すための失業者支援策として作られた「職業適性考査」が始まり。その後、このシステムが発展を遂げ、「シビュラシステム」として社会を包括的に管理するようになった。

(※なお、同じく国民支援策として経済省より「パノプティコン」という交通・銀行情報を用いた管理システムが同時期に提案されていたが、そちらは後に諸問題からお蔵入りとなっている。)


当作品の世界においては、日本以外の国では経済崩壊後の混乱が未だ続いており、かろうじて日本のみがシビュラシステムによって法治国家の体を保っている。

日本政府はシビュラの国外輸出政策も同時に進めており、国外の治安回復を試みている。その実地実験としてSEAUn(東南アジア連合)首都シャンバラ・フロートにおいてシビュラ導入のための試験運用が行われている。


特別機密条項編集

作品における重大なネタバレがあるため、閲覧にはご注意ください










表向きは、システムは大量のスーパーコンピューターの並列分散処理によって構成されているということになっているが、実際コンピューターに出来るのはせいぜい表層的なストレス係数の提示くらいであり、心の深層までを計測することなどは不可能である。

では、一体どうやってそれを可能としているのか?




真理

「あらゆる矛盾と不公平の解消された合理的な社会の実現。それこそが全ての人類の理性が求める究極の幸福です。」


シビュラシステムの実態は、元々あった高度な柔軟性と多様性を持つ装置を並列、拡張したもの―――つまり本物の人間のを基にしたバイオコンピューターとでも言うべきものだった。

本体は厚生省本部ビル「ノナタワー」の地下深くに安置されており、その存在は極秘とされている。


現在の構成員(?)数は247体、そのうち常時200体ほどが交代で接続し、拡張された一つの巨大な頭脳を形成して国民のPSYCHO-PASSの診断・判定を行っている。


さらにヤバいのがその個体で、彼らは現実のサイコパスをモデルにした、PSYCHO-PASSを測れない、他者への共感をせず物事を俯瞰して判断できるとされる症例を持つキャラを中心に選別されている。その中には槙島聖護が起こした事件すら真っ青の凶悪犯罪を犯した者も多数含まれている。

早い話、国家を存続させるために、間違っても権力を与えたり欲望を爆発させてはならない外道を裁かずに肉体を捨てさせる事を条件に与えてヒャッハー!させているようなものである。

それ故に、思考ロジックはお世話にも良いとは言えず、本当に公正で善良なものであるかどうかは疑わしいレベル。



自らの機能向上にも余念が無く、その手段として「今のシステムから逸脱した者(=新たな免罪体質者)の脳を自らのシステムに取り込むことで更なる柔軟かつ盤石なシステムを構築する」ことを欲しており、それ故に1期後半では仲間入りを拒絶して逃走した槙島を生け捕りにすることに執着していた。


それぞれの脳はシステムの一部として機能するのみならず生前の人格も残っており、シビュラから専用の外部端末用の義体内へと人格を移動させることで外界での行動も可能。文字通りシビュラの「傀儡」として、公安局を始めとする省庁を影から操る、シビュラの秘密に近づく者達を始末する等の暗躍を行っている(その他、単なる息抜きとして用いられることもある模様)。

なお、義体は複数種類存在することが明らかになっている。


一方、やがては世間に自らの存在を公表する事も念頭に置いており、「その時、シビュラの支配を素直に受け入れる理想的な市民」のサンプルとして相応しいと睨んだ相手に対しては、自ら正体を明かすことも。



本作におけるディストピア的社会を作り上げた張本人(?)であり、それに伴う様々な悲劇を生み出す要因ともなった、ある意味では諸悪の根源とも呼べる存在。

しかし上述の通り、荒廃した世界で日本がいち早く復興を遂げられたのはこのシステムのお陰であり、シビュラ抜きでの社会秩序維持がもはや極めて困難であるのもまた事実であるため、後にその正体を知らされた常守朱は、あるべき正義と社会の姿を巡って長く苦悩することとなる。


調査報告編集

上述の経済省のパノプティコン・システムと国民管理システムの座を巡り競合していた頃、これを蹴落とすために工作を仕掛け、導入試験段階で様々な不具合を誘発させた疑いが持たれている。

この不具合により交通事故・航空機事故の件数が通常の数十倍に跳ね上がった「地獄の季節」と呼ばれる時期が存在しており、この時引き起こされた悲劇の数々が、後に更なる悲劇の引き金となっている。


関連タグ編集

PSYCHO-PASS 携帯型心理診断鎮圧執行システム 禾生壌宗

常守朱 霜月美佳 慎導灼


デスティニー・プラン: 世界規模の戦争から生き残るべく、職業適正をベースに開発された事が、類似していると現実でも話題になった。ただし、戦争そのものをテーマにしている元ネタに対して、PSYCHO-PASSシリーズは戦争の火種の一つである、犯罪の在り方をテーマにしている。


STAR WARS・アナキンエピソード: ジャンル柄、価値観や多様性こそ異なるが、腐敗や法の貶めが常習化している所が共通している。対応できる治安維持組織すら暗躍する黒幕の存在に気付くことが出来ずに壊滅、「傲慢ゆえに見えるものが見えなくなったか」と真っ当な正論と共に馬鹿にされる有様であった。

しかも開発、稼働してから50年以上も経過してようやく改善され始めたシビュラに対してこちらは実情を訴える者こそ現れたが、黒幕に利用される形でロクな改善が為されぬまま崩壊してしまう。


時空管理局・最高評議会: 肉体を放棄して電脳化で脳を稼働させる存在繋がり。シビュラと同じく、長い間歪んだ思考が進み、黒幕を作り上げて、マッチポンプを企てるもナンバー2を通じて拒絶されながら破壊される。少なくともシビュラにとっては彼ら等恐れるに足らない存在だろう。


マモー: 『ルパンVS複製人間』に登場する怪人で、複製人間(クローン)で、脳が本体繋がり。神を自称する点も共通する。

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