概要
2015年から2020年までコミックアンソロジー『楽園 Le Paradis』(白泉社、2月、6月、10月の年3回発行)にて連載された。連載開始から3年後の2018年6月に単行本の1巻が発売された。2021年9月現在、単行本2巻は未発表。
『かってに改蔵』『さよなら絶望先生』をはじめ、作者久米田康治の過去作品の登場人物を「役者として出演していた」という体で、その俳優生活を描くメタフィクション的作品。
上記のような作劇手法をスターシステムと呼ぶが、作者は「スターシステムなのにスターがいない。せいぜいB級スター」として、「B級スターシステム」を自称している。
ジャンルは一話完結式のギャグ漫画。社会風刺や裏社会、猟奇オチなどを用いるブラックコメディで、中期以降の『かってに改蔵』に酷似した作風や登場人物の言動から、『かってに改蔵2』と揶揄されていることを作者自身が明かしている。
登場人物の多くが『かってに改蔵』『さよなら絶望先生』などの同作者の過去作品からの出演となっているほか、人外を含めたモブキャラクター、背景、劇中劇やフレーズなどに過去作品からの引用が散見され、過去作品からの読者を意識したつくりになっている。
あらすじ
無名の新人役者役者丸ひろ子はスターを目指し撮影所を訪れた。しかしそこは名前も代表作も知らないB・C級スターしかいない街、スタジオパルプであった。
登場人物
「スタジオパルプ」所属タレント
スターを目指して撮影所にやってきた無名の新人役者。
主人公のはずなのだが、かってに改蔵の頃からキャラの濃い高橋、小林、佐藤の面々が話を勝手に進めているため、早々に主役っぽい事どころか、出番すら危うい。
- 高橋
『かってに改蔵』で勝改蔵を演じた俳優。相手を煽るための文句も健在。
- 小林
『かってに改蔵』で名取羽美を演じた俳優。名取羽美同様、20を超える人格を持つ多重人格者で、猟奇的な行動で周囲を振り回す。自意識過剰で思い込みが激しく、役者丸ひろ子をライバル視してしばしばつけ狙う。
- 佐藤
『かってに改蔵』で坪内地丹を演じた俳優。B級スターばかりのスタジオパルプでは一番の売れっ子。人気はあるが、その分他人に対する態度が悪いのも健在。
- 佐々木
『さよなら絶望先生』で糸色望を演じた俳優。ハマリ役はやはり「先生」のようだ。一時期少しだけ売れていたが現在は大部屋役者で、年収は180万(バイト代込み)。
- ローラ
声優出演時に、監督が連れて来たひろ子にNGワード部分だけ代わりに言ってもらう代役(スタント)を頼んだ。
その他の登場人物
現段階で役者であることが明言されていない人物。
- 広報部長
彩園すず同様、佐藤を焚き付けてその気にさせて罠にはめたりして酷い目に遭わせる。
- 森本
佐々木の付き人。死体役の佐々木を足蹴にする等、当時の役だった頃とは態度が同じではない。
- 動物タレントの配役担当
「しっぽ動物プロダクション」で動物を世話する人。人間を動物そのものに変形させる企業秘密もあるとか。
- キャスティング担当
キャスティング能力を買われ、配役調整の仕事をしているが、共演NGに頭を悩ませる日々を送る。
- クレーム受付係
映画制作会社のクレーム処理部署に所属。佐藤の起こしたトラブルに対処しようと努力したものの、高橋に代役を立てたら、佐藤の代わりで高橋が冤罪で逮捕された。
- 枕営業の販売員
「10Qハンズ」の枕売場で枕の実演販売をしている。アイドルの「秘蔵写真」をファン達に差し出し「枕を涙で濡らす事態」に追い込んで枕を買わせるように仕向けた。
- CG加工処理担当
問題を起こした出演者をCC加工による処理でいない風に加工を頼まれるも、矛盾が生じて映像が使い物にならないと指摘。
- スタント講師
JIAC(地味に痛いアクションクラブ)で地味に痛いことへのスタントをひろ子にレクチャー。あまり役に立たなそうなので早々に帰ろうとした。
ちなみに…
「かってに改蔵」以降の作品のキャラが多数登場するが、作風がアレで作画も全く違う「行け!!南国アイスホッケー部」のキャラクターや作者自身が完全に黒歴史認定している「太陽の戦士ポカポカ」のキャラクターについてはほぼ背景でしか登場していない…