概要
軽自動車としてのレックス
スバルの軽乗用車と言うとスバル360以来キテレツな形のクルマばかりだが、レックスはその合間でオーソドックスなデザインと構成を持つ、良く言えば落ち着いた、悪く言えば没個性的なクルマだった。初代こそ前年発売のレオーネとイメージを共有するやや癖のあるデザインだが、冒険的とは言えず、2代目、3代目に至っては、ライバルのアルトやミラ同様の横置きFFコンポーネントの平凡なデザインであった。
しかしながら、内面には確実にスバル・スピリットの血が流れていた。頑丈で壊れにくく、特に「軽の5ドアは後席の蝶番が弱くボディの痛みが早い」と言われる中、レックスだけは例外視されていた。
この為、物品税課税なし・任意保険低額・2年車検というメリットを生かした軽ボンネットバン全盛期にありながら、レックスは5ドアセダンSXばかりが売れていた。このあたりやっぱりスバルである。
なお、1981年発売の2代目から、3代目550cc最終型までのボンネットバンの商標は「レックス・コンビ」である。1989年に、550cc化・昭和53年排ガス規制実施以降では初となる軽4気筒エンジン採用のエポックを打ち立てる。1990年の規格改定に伴って排気量を660cc化。このエンジンこそが、約20年に渡ってスバル軽の主力エンジンとなるEN07型である。
当時、業界自主規制枠64ps(550cc時代は61ps)を発生する軽スポーツは、他社ではターボを採用していたが、スバルは3代目レックスからルーツブロア式スーパーチャージャーに変更した。ターボの他社はターボによる排気抵抗増大を改善する為DOHC化を行っていたが、レックスVXはSOHCでありながら同等のパフォーマンスを発揮した。ただ、「DOHCである」と言うことがマーケティング上の宣伝にもなる為、この点では不利だった。
1992年に発売された後継モデルとなるヴィヴィオの強烈さもあり、レックスは印象に残らない、残っていない車である。だが、歴代スバル軽乗用車の中で、同一商標のまま2回ものフルモデルチェンジを受けたのもまたレックスのみである。スバルの縁の下の力持ちであった。キラ星のごとき名車ではない。いわば偉大なる凡作であった。
1994年生産終了。僅かに平成にはみ出すものの、高度成長期とその弊害による排ガス規制、それに伴う2度の規格変更と、「激動の昭和」を象徴し、そしてその終わりと共に走り去って行った。
OEM車としてのレックス
そして元号が平成から令和になった2022年、ダイハツ・ロッキーのOEMとしてレックスの名が復活することが発表された。
グレード構成はロッキーの「X」に相当する「G」とロッキーの「Premium G」に相当する「Z」の2種で、エンジンラインナップは1.2Lエンジンの2WD車のみとなる。
「Z」はロッキー「Premium G」の2WD車ではメーカーオプション設定となっているBSM(ブラインドスポットモニター)、RCTA(リアクロストラフィックアラート)、寒冷地仕様が標準装備される。また、メーカーオプションについてはロッキーに設定されているスペアタイヤ(テンパタイヤ)の設定が無い違いがある。