第1部から登場するレギュラーキャラで、ある意味で『ブッダ』の中盤までは、彼の物語でもある。
CV:大谷育江(少年期・映画版第一部) / 松山ケンイチ(青年期・映画版第二部)
不死身の山賊タッタ様の概要だぜっ!
生い立ち
カーストに加えられない下層階級・バリアの少年で、母や姉と共にシャカ(釈迦)族の首都カピラヴァストウに住んでいた。ある時タッタは、シュードラ(奴隷)階級のチャプラを襲って彼が運んでいた反物を盗んでしまう。それはタッタ達が生きるには当然の権利でもあったのだ。
だが、それがないとチャプラの母が売られてしまうと聞いて同情し、助けることになる。その時に使ったのが動物に乗り移る能力で、大きな虎に乗り移ったタッタの剣幕に恐れをなしたチャプラの主人である悪党商人と一味は逃げ出し、見事にチャプラと母を助け出す。
しかし、カピラヴァストウはコーサラの侵略にさらされており、タッタの村も襲われて母と姉は焼き殺され、わずかな仲間を残して全滅。コーサラ将軍ブダイに報復を試みるも失敗し、縛られて処刑されかけるが、イナゴの襲来を利用したチャプラの機転で九死に一生を得る。その時に出会ったバラモンのナラダッタは、噂でも耳にしていたタッタの能力を目の当たりにして、彼こそ「世界の王となるお方」ではないかと思うようになる。
幼き日に背負った業
チャプラと義兄弟になったタッタは馬に乗り移り、兄貴分を乗せて探索をしていた際、死にかけたブダイ将軍を殺そうとするがチャプラは彼を助けて養子になる。チャプラの母を母ちゃん、ナラダッタを坊さんと呼んで旅をしていた際、卵を貰う代わりにと大蛇に飲まれるがバンダカに救い出され、チャプラの消息を知る。
チャプラはブダイ将軍の御曹司として持ち前の武勇を生かし、貴族令嬢を婚約者にするなど栄達を極めていたが、バンダカに射られて死にかけてていたのだった。助けようとしたチャプラの母は人質にされ、ナラダッタはタッタに頼んで師匠のアシタ仙人に治療法を聞いてもらうのだが、乗り移った馬や鳥を酷使して死なせてしまい、罰としてナラダッタは畜生道に落とされる。
こうした経緯があってからくもチャプラを助けるのに成功するが、母が口封じされかけたのを助けに入った彼は奴隷身分が発覚して母子共々に死刑の判決を受ける。1人になってしまったタッタは処刑妨害を試みるが、チャプラと母は串刺しにされて死亡。タッタは復讐を誓って逃亡したのだった。この時、わずか7~8歳だった。
王子との出会い
各地を転々としていたタッタは青年となっており、カピラヴァストウの王子シッダールタに接近して城外に連れだす。理由は、病弱な体に優れた素質を秘めた彼を鍛えることでコーサラ国を倒し、家族や友人、そして『兄貴、母ちゃん』として慕ったチャプラ母子の仇を討つことだった。その上で政治を改めてもらい、身分差別を解消する夢があったのだ。
女盗賊ミゲーラと出会ったタッタは、シッダールタとヤショダラ姫の婚姻を妨害するなどしてシッダールタを救おうとするが、ミゲーラは処罰を受けて失明。逃亡した二人は手下を従えて盗賊になる。出家したシッダールタを呼び戻そうとして何度も失敗してしまうが、ミゲーラ共々彼に助けられたのを機に足を洗い、『いつか、オレ様をお前の一番弟子にしてくれよな』と約束してしばしの間、別れることとなった。
復讐に駆られた最期
シッダールタと別れたタッタはマガダ国でダイバダッタに出会い、彼の口添えでビンビサーラ大王配下の戦士として仕官が叶う。子供を殺された恨みで暴走したナーラーギリと言うオスの象を倒して名を上げ、コーサラと領土支配権をめぐった試合ではルリ王子の切り札である巨人のヤタラと互角に戦う。その時、すでに乗り移り能力は消えていた。
その時、謀略に巻き込まれてミゲーラを殺されかけるが、ブッダとなっていたシッダールタに助けを求めて回復してもらう。コーサラとマガダの紛争ではルリ王子を殺そうと暴れ込むが、ブッダに叱られて退却した。
その後、ブッダがマガダ国を訪問した時には王様や仲間たちと出迎え、「ボーズにゃなりたかねえ」と言って優婆塞(在家信徒)になった。それに前後して3人の子供をミゲーラとの間に設けており、ブッダに名付け親になってもらうまで名前を付けなかった。
ブッダの一番弟子を自任して教団に仕えるタッタだったが、ダイバダッタを頼ったり、反ブッダ教団の僧俗を殴ろうとするなど、無法者としての振る舞いは相変わらずだった。派遣されてブッダを追いかけてカピラヴァストウに向かった際、ルリ王子らに殺害された人々の土饅頭(墓)を見て激怒、騎士のベーランダと共に蜂起を決意。
巡察の兵士(ブッダを迫害した異教徒を追っていた)を殺害したのを皮切りに、恨み重なるコーサラ人を殺しまくって大暴れしたタッタだったが、怪我を負って戦う力を失う。その時に出会ったのが、同じくブッダに出会って改心し、ビドーダバ王となったルリ王子だった。
ビドーダバは虫の息のタッタを見て命は助けようとするが、彼がそれを拒絶したため悶々としながらも象で踏みつぶしてとどめを刺す。彼の死から間もなくしてカピラヴァストウは陥落してシャカ国は滅亡、ブッダはタッタの亡骸を前にして号泣した。残されたミゲーラと子供達はブッダの教団に引き取られ、余生を送っている。