慨要
世界各地のディズニーのテーマパークに存在するがここでは、
東京ディズニーシーにあるフリーフォール型アトラクションについて説明する。
遊具としての概要
ホテルを模した形の所謂フリーフォール型絶叫マシン。
所要時間は約2分、後述のストーリーがコンセプトとなっており、基本的に外から内部は見えないが途中で窓が開く場面があり、乗車中の客の悲鳴が時々外に聞こえる。
落下は内部で数回に分けて行われる。基本の落下回数は3回だが、後述のスペシャルイベントによっては落下→急停止の回数が増やされる。
3歳未満および妊婦、身長102cm未満は乗車禁止。
TDR全体で最も怖い絶叫マシンと評される一方でミドルティーン前後以降の若年層中心に人気も高く、特に修学旅行生が多い時期や1〜3月のキャンパスデーの時期は、スタンバイパスが早い時間に発券定数に達してしまいやすいので、早めにチケットを取ることをオススメする。
ストーリー
ニューヨークにある高級ホテル「ホテルハイタワー」のオーナーであるハリソン・ハイタワー三世は世界中から様々な美術品を収集していた。
1899年12月31日、彼はゴンゴ川流域に住むムトゥンドゥ族から譲り受けた(実際は強奪した)という、呪いの偶像「シリキ・ウトゥンドゥ」のお披露目パーティーを「ホテルハイタワー」で開催する。
パーティーも終わりに近づいたころ、彼は「シリキ・ウトゥンドゥ」を最上階にある自室に飾るためにエレベーターに乗り込み、彼の従者のスメルディングのシリキ・ウトゥンドゥに対する忠告に対し「バカげた呪いとやらの正体を見てやろうではないか」と言い放ちシリキ・ウトゥンドゥに煙草を押し付けた。
午前0時、突然ホテルは停電となりそれと同時にホテルは緑色の閃光と爆音が響き、最上階にあるハイタワー3世の自室からエレベーターが落下!!しかし落下したエレベーターからはハイタワー3世の姿はなく、あったのは彼のトルコ帽子と「シリキ・ウトゥンドゥ」だけだった…。
この事件以来ホテルは閉鎖され、やがて「ホテルハイタワー」は恐怖のホテル「タワー・オブ・テラー」と呼ばれるようになった。
そして、時は流れ1912年。U.S.スチームシップカンパニーによりホテルハイタワーを取り壊し、新しいホテルの建設計画が持ち上がる。しかし、U.S.スチームシップカンパニー社長のエンディコット三世の娘、ベアトリス・ローズ・エンディコットを会長としたニューヨーク市保存協会が設立された。そして「建築物の歴史的価値が高い」という理由でホテルの保存と改修工事を決定、これにより計画は中止となる。しかしこれはベアトリスがハイタワー三世に対し並々ならぬ尊敬の念もっており何としてもホテル破壊をくい止めたかったためであった。
ホテルがニューヨーク市保存協会により修復された後、同協会主催によるツアーが開催される。ゲストはツアーの参加者となり、ホテルなどに関しての説明を受け、ホテル内を見学する。そして最後には業務用エレベーターに乗り込み、最上階のハイタワー三世の部屋へと向かうことに。この後恐ろしい出来事が待ち構えている事も知らずに…。
登場人物
ハリソン・ハイタワー三世
「ホテルハイタワー」のオーナー。
世界各地を冒険し、文化的遺産を収集していた、と言えば聞こえはいいが欲しい物のためには手段は選ばず、彼のコレクションの多くは強奪したものである。
また、彼は自分の冒険の数々を本にして出しているがその内容は嘘と脚色にまみれたものである。(著者はチェスター・ファリントン・ウールブールこと執事のスメルディング)
1899年12月31日、「ホテルハイタワー」で突然失踪する。
その後、彼の会社のほとんどは宿敵であるエンディコット三世の会社に吸収される。
ハイタワー3世の失踪の謎については、事故の13年後(1912年)になっても明らかにはなっていない。
ちなみに、「奪った」シリキ・ウトゥンドゥに対して彼は、ホテルの最上階にある自室に飾ろうとしていたり、タバコの火で根性焼きしたり、終いには「呪いの偶像だと… 馬鹿馬鹿しい」と記者会見で発言している。そりゃ誰だって怒る。
アーチボルト・スメルディング
32年間にわたり、ハイタワー三世の忠実な従者だった執事でありハイタワー三世の唯一の友人。
ハイタワー三世の探検旅行にも常に同行していた。
20カ国以上の言語を流暢に話し、かつ戦略家の才能もあった事からハイタワー三世の通訳兼影の参謀として活躍した。
ハイタワー三世のコレクションの管理も任されていた。
シリキ・ウトゥンドゥの呪いを信じており、アフリカからアメリカに帰国する間は常に自身が偶像を管理し呪いが降りかからぬよう用心していた。
失踪直前のハイタワー三世と最後の会話を交わした人物であり、彼にくれぐれも偶像には敬意を払うよう忠告するも聞き入れられずに、失踪事件が起こってしまう。
ハイタワー三世の失踪後はホームレスとなり、1902年に放浪罪で逮捕された後の動向は不明。
ベアトリス・ローズ・エンディコットにホテルツアーを勧めた謎の男、アーチーと同一人物ではないかと噂されている。
マンフレッド・ストラング
ニューヨークの新聞社「ニューヨークグローブ通信」の記者。
ハイタワー三世が失踪する数時間前に開かれた記者会見で「シリキ・ウトゥンドゥ」に関する質問をしつこく聞き会見場から退場させられる。
その後ホテルのウェイターに変装してパーティー会場に潜り込む。
ハイタワー三世の失踪事件に遭遇した。
以降、長年ハイタワー三世の失踪の謎を追いつづけている。
ベアトリス・ローズ・エンディコット
コーネリアル・エンディコットの娘でありニューヨーク市保存協会の会長。
ハイタワー三世の冒険記を読みハイタワー三世に憧れを抱いている。
謎の男アーチーの勧めによりニューヨーク市保存協会を設立し「ホテルハイタワー」の保護に乗り出すが、そのことで父親ともめている。
コーネリアス・エンディコット三世
ニューヨークに本社を持つ「U.S.スチームシップカンパニー」及び「ニューヨーク・グローブ通信」の社長。
ハイタワー三世とは祖父の代からのライバルでさらに10歳のときイギリスのスノッティングトン校に在学中に、ハイタワー三世の冷酷極まりない嫌がらせに遭い、このため長年確執があった。会社はS.S.コロンビア号やS.S.ガルガンチュア号など様々な豪華客船を製造する一方で、ホテルの建設にも意欲を示しており、ホテルハイタワーが閉鎖されたのち、ホテルを取り壊し自分の会社が経営する新しいホテルを建設しようとしていたものの娘のベアトリスにより阻まれる。
ホテルハイタワーを新ホテルの建設地とした理由はハイタワー三世の栄華の象徴であるホテルハイタワーを自らの力で破壊したいためである。
アーチー
ホームレス風の謎の男。
かつては「ホテルハイタワー」でコックの弟子として雇われていたらしいが、「ホテルハイタワー」の閉鎖で失職したらしく、現在はブルックリンに住んでいる姉のもとで暮らしているという。
ベアトリス・ローズ・エンディコットにホテルツアーを勧める。
かつてハイタワー3世の執事をしていた、アーチボルト・スメルディングと同一人物ではないかと噂されている。
用語
ホテルハイタワー
もともとこの場所はハイタワー三世の屋敷であったが、それを取り壊し建築された高さ59メートル、14階建ての高層ホテル。
建築にあたっては、1886年にロシアの著名な建築家オスカー・キルノフスキーにホテル・ハイタワーの建築を依頼する。しかし、ハイタワー三世とキルノフスキーの間で意見が合わず、後にキルノフスキーは解雇されることになる。以降、設計はハイタワー三世の主導によって行われることになる。
このホテルはハイタワー三世が自らの偉大さを誇示するために作ったもので、自分自身の象徴としていた「美・力・気品・卓越性」を全て具現化しているらしい。
建築様式は、ゴシック様式のほか、世界のさまざまな建築様式を取り込んだものとなっている。
またこのホテルにはハイタワー三世が冒険で集めたコレクションが内装や装飾品に使われている。
しかしこのホテルの建設費はあまりにも膨大であり採算を得るのは不可能であった、そのため、ホテルの運営にはニューヨーク市の市民の税金が使われた。よって、ハイタワー三世は自分の財産を減らすことなくホテルを運営することができた。
「美・力・気品・卓越性」とは聞こえよく感じるが、ホテル内の絵画や美術品などを観察すると、強欲で信仰心のないハイタワー三世の本性を垣間見ることができるだろう。
シリキ・ウトゥンドゥ
シリキ・ウトゥンドゥとは部族の言葉で「災いを信じよ」という意味。所有するものには初めは幸運が訪れるようになるが、徐々に災いが起きるようになり、ひどい場合は部族そのものをこの世から消し去ってしまうという。そのため部族から部族へとたらい回しにされ、ハイタワー三世が発見した際はコンゴのムトゥンドゥ族が所有していた。シリキ・ウトゥンドゥの一部には古代の呪術師シリキの遺骨(または遺体)の一部が使われているという。
そのため「シリキ・ウトゥンドゥ」を扱う際には以下の決まりがある
・火に近づけない
・ひたすら敬い、怖れる
・雨や風にさらさない
・屋内に置いてはいけない
・完全に覆ってはいけない
・埋葬したり、譲渡したり、捨てたりしてはいけない
などの厳しい決まりがあり、万が一1つでも決まりを破ると
「シリキ・ウトゥンドゥ」が不快を覚え呪われるという。その際には偶像の目が緑色に光るとか…?
なお、「LEVEL13」の特設サイトにおいては、以下のルールに変更された。
・崇拝すること
・燃やさないこと
・閉ざされた場所にしまわないこと
・おろそかにしないこと
・馬鹿にしないこと
・他人に渡さないこと
・放置しないこと
・そして何より、恐れること
偶像には、必ず守らなくてはならないいくつかの“崇拝の掟”があり、もしもこの掟を一つでも破ってしまった場合、偶像の怒りを買い、その者は呪われると伝えられている。
ムトゥンドゥ族
コンゴ川流域に住む部族。シリキ・ウトゥンドゥをもともと所有していた部族である。
シリキ・ウトゥンドゥを奪われた後、ほかの部族に攻撃を受け滅亡。
族長の息子であった「キブワナ・キジャンジ」だけが辛くも生き延び、現在はS.S.コロンビア号の石炭供給者の勤務に就いている。
一族が壊滅したのはあの像の呪いとも…?
ハイタワー三世失踪事件
1899年12月31日、ハイタワー三世のコンゴ遠征帰還記念パーティー兼ニューイヤーパーティーが開催された。この日の昼に行われたコンゴ遠征に関する記者会見の際のハイタワー三世とストラングとの会話がレコードに録音されており、当時の様子をうかがうことができる。
ニューイヤーパーティーの途中で、ハイタワー三世は最上階にある私室に行くために一人で専用エレベーターに乗ったことが目撃されている。深夜0時にホテルの停電とともに、最上階で爆発が発生し、専用エレベーターのケーブルが切れ、落下事故が発生する。壊れたエレベーターからは先のコンゴ遠征でハイタワー三世が持ち帰った偶像「シリキ・ウトゥンドゥ」そして彼のトルコ帽だけが発見され、ハイタワー三世本人は発見されることがなかった。
パーティーに出席したゲストの証言には、「ハイタワー三世の絶叫を聞いた」「ホテルから緑色の閃光が放たれるのを見た」といったものもある。事故の原因が判明するまで、ニューヨーク市消防署はホテルハイタワーの閉鎖を決定した。
ハイタワー三世の失踪により、ハイタワー三世の経営する会社は、いずれも衰退して行くことになる。ホテルハイタワーも例外ではなく、営業を再開することはなかった。
後に、ニューヨーク市の住民は、放置されていたこのホテルを「タワー・オブ・テラー(恐怖のホテル)」と呼ぶようになった。
ニューヨーク市保存協会
歴史的・芸術的価値がある古い建築物を保護する団体。会長はベアトリス・ローズ・エンディコット。市民の間でホテルハイタワーの修復・保護だけの目的で設立されたという噂が立っている。
このツアーの主催団体でもある。
ニューヨーク・グローブ通信
コーネリアス・エンディコット三世が経営している新聞社。船舶業界紙ニューヨーク・シッピング・ガゼッターが前身である。マンフレッド・ストラングが勤務している。
スペシャルイベント
2012年より、1月から3月の春キャン期間中、スペシャルイベントが開催されている。
タワー・オブ・テラー:LEVEL13
開催期間
2012年-2014年、2024年1月9日から2月4日
アトラクションオープン以来初めて行われたイベント。
特筆すべきはライドの挙動に変更がかかったところである。
演出の変更・追加や、落下回数が4回に増え、更に不規則な動きが加わり上昇・落下のタイミングが予想しづらいものとなった。
タワー・オブ・テラー:LEVEL13 シャドウ・オブ・シリキ
開催期間
2015年-2018年、2024年2月5日から4月7日
副題の通り、シリキ・ウトゥンドゥの影が見え隠れするスペシャルバージョン。
演出の変更は勿論、落下回数は7回に増え、ライドの挙動も激しいものとなった。
また2024年のタワー・オブ・テラースペシャルバージョン投票回で見事期間延長することとなった人気バージョンである。
タワー・オブ・テラー:アンリミテッド
開催期間
2019年-2023年(2021年のみ新型コロナウイルス感染対策として開催無し)
「今度は何が起こるかわからない」タワテラ。
果たしてどこがアンリミテッドなのか…真相はその身で体感しよう。
関連タグ
レイジングスピリッツ・・・タワー・オブ・テラーにはレイジングスピリッツの絵がある。また、レイジングスピリッツ付近にはホテルハイタワー行きの荷物がある。
知らぬが仏・・・普通は知れば腹も立つが、知らないから仏のように平静でいられる、という意味だが、もう一つの意味として本人だけが知らないで平然としているのを、あざけっていう語という意味合いもある。ハイタワー三世の行動はまさしく後者そのもの。余談だが、このホテルハイタワー観光ツアーに参加しているボランティアのキャストたちは、シリキの呪いの力を全く知らないという噂も…?